シンプルなポーズですが、背骨の端から端までの広範囲を効果的にほぐすことができるので、筆者が行う中級者~上級者向けのヨガレッスン中にも準備ポーズとして頻繁に登場します。
今回は、猫のポーズがもたらす効果や正しいやり方についてご紹介していきます。
ヨガの猫のポーズとバリエーション
ダイエット効果や疲労回復効果が期待できる、ヨガの猫のポーズ。
非常に覚えやすい名前で、やり方も一度覚えれば簡単なので、テレビや雑誌などのメディアで紹介されることの多いヨガポーズの一つです。
猫のポーズは、四つん這いで背中を反らせるシンプルなポーズで、ヨガフローに組み込まれる場合は猫のポーズと牛のポーズを1セットにし呼吸と共に繰り返す「キャット&カウ」として登場することが多いですね。
また、猫のポーズとして「猫の伸びのポーズ」が紹介されることもあります。
猫の伸びのポーズは、四つん這い状態から重心を後ろに移行し、お尻を高くつき上げ、胸を床に近づけるポーズです。
その名の通り、猫が伸びをしているかのような姿勢になります。
猫のポーズは比較的強度が低く、前後のポーズにも制限なく始められるため、ヨガ初心者はもちろん、ヨガをしていない方がストレッチ感覚でも取り組みやすいのが特徴です。
猫のポーズで得られる8つの効果
誰にでもできるシンプルなヨガポーズである猫のポーズは、シンプルだけれども奥深く色々な効果が詰まっています。
簡単にできる猫のポーズで、期待できる効果を8つご紹介しましょう。
猫背改善
肩甲骨を寄せて背中を大きく反る「猫のポーズ」は姿勢改善効果があり、猫背を直したい方には最適です。
猫背の方は肩甲骨が常に開いた状態で胸が縮こまっているので、始めのうちは猫のポーズが辛く感じることでしょう。
続けることで肩甲骨の可動域が広がり、日常生活でも猫背の癖が改善されていきます。
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ダイエット効果
多くの方が期待している通り、「猫のポーズ」にはダイエット効果があると言えます。
猫背を改善する、代謝を上げるなどの効果が期待できるため、スタイルアップや体重の減少に役立ちます。
ただし、即効性を期待するとがっかりしてしまうことになるのでご注意を。
ポーズ自体の消費カロリーは低く、筋肉もさほど鍛えられません。
食事や運動によるダイエットの補助的な役割を果たすものだと考えておきましょう。
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お腹をへこませる効果
「猫のポーズ」でお腹をへこませるには、牛のポーズとセットにして「キャット&カウ」を行うと効果的です。
牛のポーズには体幹部のインナーマッスルを鍛え、ぽっこりお腹をへこませる効果があります。
そのためには呼吸をしっかり連動させる必要があります。
お腹がへこむ「キャット&カウ」のやり方については後半でお伝えしていくので、ぜひチェックしてみてください。
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疲労回復効果、リフレッシュ効果
背中全体を大きく動かす「猫のポーズ」には疲労回復効果があります。
ガチガチになった背中がほぐれると、スッと身体が楽になるのを感じられるはず。
リフレッシュしたいときにも最適なヨガポーズです。
また、普段から猫背になっている方は、胸を大きく開くことで呼吸が楽になります。
続けることで深い呼吸が身に付くと、疲労の溜まりにくい身体になれます。
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肩こり、首こりの解消&予防効果
肩こりや首こりの元凶は、肩甲骨回りの筋肉が凝り固まっていること。
「猫のポーズ」は肩甲骨回りを大きく動かすポーズなので、肩こりや首こりの解消に効果的です。
常に柔らかな肩甲骨を手に入れておくと、そもそも凝らない身体を作ることができます。
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リラックス効果
ストレスや緊張で固まった背中を深い呼吸と共に動かしていく「猫のポーズ」はリラックス効果も絶大です。
ヨガのポーズの中でも難易度が低めで、誰でもすぐに気持ちよさを感じられるのも魅力。
1日の終わりに行うと、リラックスした状態で眠りにつくことができます。
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便秘解消効果
「猫のポーズ」は鈍った腸の機能を取り戻し、便秘解消する効果が期待できます。
便秘は自立神経の乱れによっても起こります。
緊張やストレス状態が続き交感神経が優位になっていると、蠕動運動が鈍くなります。
深い呼吸と共に猫のポーズを行うことで副交感神経が優位になれば、蠕動運動が促され便秘が解消されます。
便秘が解消されることで腸内環境が整えば、基礎代謝が上がり、痩せ体質になると言えますね。
そういった面からも、ダイエットに良いアプローチができると考えて良いでしょう。
→便秘はヨガで解消できる!便秘解消に即効性のある腹式呼吸とヨガポーズ4選を解説
反り腰改善効果
「猫のポーズ」のバリエーションである「キャット&カウ」の動きでは、骨盤も前傾させたり後傾させたりと大きく動かします。
骨盤の位置を調整する効果もあるので反り腰改善になり、ひいては姿勢の改善や腰痛の予防に役立ちます。
反り腰は内股になりやすく、太ももの張りだしの原因になるため、改善されていくと美脚効果も期待できます。
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猫のポーズの正しいやり方
猫のポーズとして紹介されることも多い「キャット&カウ」のやり方を解説していきます。
誰でもできる簡単な動きですが、細かい点もチェックして行うとさらに高い効果を感じられるのでおすすめです。
特に四つん這いのポーズは、意識したいポイントがたくさんありますよ。
猫のポーズのやり方
- 四つん這いになり、肩の下に手を骨盤の下にヒザを置く。
ポイント
両手は肩幅、両足は腰幅程度に開き、肩の真下に手首、腰の真下に膝がくるようにします。
手首のシワが真横になるように置き、手の指をすべて広げて、肩周りが沈みこまないように手で床を軽く押す感覚を持ちます。
お腹を引き上げて(軽く力を入れて)、背中が平らになるようにします。息を吐くとやりやすいでしょう。
骨盤は前傾も後傾もしてないニュートラルな状態を意識しましょう。お尻が突き出ないよう注意。
首の力を抜き、目線は床へ向けます。
- 息を吸って猫のポーズ
ポイント
息を吸いながらゆっくりと背中を反らしていきます。
首からお尻まで繋がる背骨全体を動かしていきましょう。
手でしっかりと床を押しつつ、目線は斜め上へ。骨盤を前傾させて、お尻を突き出します。
- 息を吐いて牛のポーズ
ポイント
息を長く吐きながら、今度は背中を丸めていきます。同様に背骨全体を動かしていきましょう。
息を吐く力を利用して腹圧をかけると、お腹痩せに効果的です。目線をおへそに向け、お腹を丸めるイメージ。
お尻の穴をキュッとしめながら骨盤を後傾させます。
- ②〜③の動きを呼吸と共に続けていきます。5~10回を目安に行ってみましょう。
ヨガの猫の伸びのポーズのやり方
次に、お尻を高く上げて行う「猫の伸びのポーズ」のやり方をご紹介していきます。
腰を大きく反ったあとは、チャイルドポーズなどで腰を緩やかに丸めて身体のバランスをとっていくことをおすすめします。
くれぐれも無理をしないようにしてくださいね。
- つま先を立てた四つ這いになる
ポイント
キャット&カウでご紹介した四つん這いの姿勢がとれたら、両足のつま先を立てておきます。 - 息を吸って準備
ポイント
息を吸いながら両手を少し前に伸ばしていきます。 - 息を吐いて猫の伸びのポーズ
ポイント
息を吐きながら重心を後ろに移行させ、腰を反り、胸を床に近づけていきながらお尻を高くつき上げます。余裕があれば、胸と顎を床に下ろし、目線を前方へ向けます。体側が伸びるのを感じましょう。
- 数呼吸ホールドしてチャイルドポーズ
ポイント
猫の伸びのポーズのまま5呼吸ほどホールドしたら、つま先を寝かせます。息を吐きながらお尻を足の上に下ろします。
首の力を抜き、目線は床へ。手は前方に楽に伸ばしたまま背中をゆるやかに丸めてチャイルドポーズで休みます。
1回でもすっきりするポーズです。
朝、身体を目覚めさせたいときなどは、数回繰り返してみましょう。
猫のポーズで意識したいポイント
シンプルな「猫のポーズ」ですが、より正しく行うためにはポイントがいくつかあります。
ポーズを深く掘り下げることで、得られる効果は高まるもの。
特に、ヨガ初心者の方に着目して欲しいポイントをご紹介します。
呼吸に注意
呼吸をコントロールしながら動作を行うのは、慣れていないと想像より難しいものです。
初動でたくさん息を吸いすぎてそれ以上吸えずに息を止めてしまったり、急いで吐き出してしまったりしないように注意が必要です。
吸ったり吐いたりする呼吸の量を一定に保つように意識してみましょう。
猫のポーズは、どのくらいの配分で呼吸すると動きやすいのかを探るのにも適しています。
呼吸と動きが気持ちよく連動する、自分に合ったタイミングを見つけましょう。
足の甲を使う
猫のポーズは色々なバリエーションがありますが、足首は伸ばして足の甲を床につけて行うことも多いです。
つま先の後ろを意識して軽く床を押すようにすると、ポーズが安定しやすいでしょう。
特に、猫のポーズになる時はつま先の後ろを床に強く押してみましょう。
そうすることで腹筋に力が入りやすくなり、お腹周りの燃焼を手助けし、ポーズの効果を高めることにつながります。
尾てい骨
猫のポーズで初心者の方がよくやってしまうのは、骨盤を動かすのを忘れてしまうこと。
背中だけ動かそうとしても、骨盤と共に動かさないとポーズがやり難くなってしまいます。
骨盤を置き去りにしないためにオススメなのは、尾てい骨を意識するということです。
しっぽがあるかのように尾てい骨を意識して、猫のポーズでは尾てい骨が下を向くように、牛のポーズでは上を向くようにイメージしましょう。
尾てい骨を意識するだけで、背中全体を動かせるようになるでしょう。
簡単な猫のポーズは効果がたくさん
基本のヨガポーズのひとつである「猫のポーズ」についてご紹介しました。
ヨガ未経験者やヨガ初心者でも簡単にでき、高い効果があることで知られる猫のポーズ。
嬉しい効果を得るためには、今回の解説を参考に細かいポイントをおさえて、無理のない範囲で行うことをおすすめします。
継続すれば、プチ不調がなくなり、痩せやすい身体になれますよ。
腹圧を意識できるようになると、ボディラインもすっきりしてくることでしょう。
何よりとっても気持ちの良いポーズなので、ぜひ日々の習慣にしてみてください!