その理由には、健康志向の高まりが挙げられるでしょう。
ヨガを取り入れることで、心や体へのさまざまな効果・作用に期待できると広く知られるようになったことが大きく関係してきているようです。
では、ヨガの恩恵を受けられるのは大人だけなのでしょうか?その答えは、No。
今回は、子どもがヨガをすることのメリットやオススメのポーズについてお話していきたいと思います。
子どもがヨガをすることのメリット
スポーツ庁によると、「子どもの時期に活発な身体活動を行うことは、成長・発達に必要な体力を高めることはもとより、運動・スポーツに親しむ身体的能力の基礎を養い、病気から身体を守る体力を強化し、より健康な状態をつくっていくことにつながる(※ 子どもの体力向上)」とされています。
文部科学省においても、3~6歳くらいまでの幼児にとっての運動には次のような意義があると述べているので、ヨガの効果と照らし合わせて見ていきましょう(※ 幼児期運動指針)。
体力・運動能力の向上
ヨガには、足腰や体幹を鍛えるポーズも多く、体の使い方を学んだり、体力を向上させたりする効果に期待することができます。
健康的な体の育成
スマートフォンやタブレットを見たり、テレビゲームをして遊んだりすることでの運動不足の解消にも、ヨガが役立ちます。
意欲的な心の育成
ヨガをとおしてさまざまなポーズや動きをおこなうことは、新しいことへ取り組む意欲の向上にもつながります。
それに加えて、大人とは異なり、知らず知らずのうちにストレスを溜め込む傾向があると言われている子どもの場合。ヨガを取り入れて、呼吸を深めることに慣れてくると、上手にリラックスするための方法もわかってくるでしょう。
さらに、社会適応力の発達や認知的能力の発達などのためにも、十分な身体活動が必要とのこと。
そして、その目安となるのが、「1日60分以上」楽しく体を動かす時間を確保することだと言います。
また、幼児期は生涯にわたって必要な多くの運動の基となる多様な動きを幅広く獲得するのにも非常に大切な時期であり、特に、「立つ」「座る」「寝転ぶ」「起きる」といった体のバランスを取る動き(回る・転がる・渡る・ぶら下がるも含む)の獲得が推奨されています。
ヨガは、これらの基本的な動きの習得にも適していますから、“子どもがヨガをするメリット”は大いにあると言うことができるでしょう。
欧米ではすでに、幼稚園や小学校に通う子どもたちの教育としてキッズヨガが取り入れられていますし、日本でも注目が集まりつつあるのが、子どものヨガなのです。
子どもにオススメのヨガポーズ7選
ここからは、子どもにオススメのヨガのポーズを紹介していきます。
子どもがヨガをおこなう場合、「飽きさせないように楽しさを重視する」「ポーズや動きの正式名称にこだわらず、興味を持てるような切り口に言葉を変える」などの工夫をするとよいでしょう。
「安楽座」
基本の座法「安楽座」は、気持ちを落ち着かせて座ることの練習になります。
ゆっくりとした呼吸に意識を向けることができたら、なお良し。
やり方
- 両足を伸ばして座ったら、ひざを曲げ、かかとが中央に並ぶようにする
- ~呼吸を繰り返す
ポイント
- どちらの足を前にしてもよい
- 骨盤を立てて、左右の座骨に均等に体重を乗せる
姿勢が安定しない場合、お尻の下に畳んだブランケットを敷くと、骨盤を立てる感覚がつかみやすくなります。
「山のポーズ」&「手を上に上げたポーズ」&「鳥のポーズ」
基本の立ちポーズ「山のポーズ」と「手を上に上げたポーズ」では、足裏で床を踏みしめ、しっかりと“立つ”ことを意識しましょう。足腰の強化にもgoodです。
「鳥のポーズ」は、丸まった肩・胸まわりを広げて呼吸を深めたり、猫背の姿勢を改善したりする効果に期待できます。
やり方
- 【山のポーズ】足を揃え、体の前後左右に偏ることなく真っすぐに立つ~5呼吸。足の裏全体に、均等に体重を乗せ、頭頂は引き上げ、あごは引き下げる。肩は回すようにしてうしろに引き、胸を開いて、肩甲骨を下げられるとなお良い。
- 【手を上に上げたポーズ】両手を真上に伸ばす~5呼吸。首・肩は楽に、力を抜き、腰が反らないように注意。指先で天井を押すようにして、縦に気持ち良く伸びる。
- 【手を上に上げたポーズ】から両手を下ろし、お尻の位置で指を組む。左右の肩甲骨を中央に寄せて、肩をうしろに引く。
- 【鳥のポーズ】目線は斜め上に向け、拳は斜めに引き下げる~5呼吸。
「木のポーズ」
続けて「木のポーズ」をおこないます。
片足で立つため、バランス力を養うことに加えて、集中力・精神力の鍛錬としてもオススメのポーズです。
やり方
- 右足の裏を、左足の付け根に添える。つま先は下に向ける。
- 下腹を正面に向けて姿勢を安定させたら、胸の前で合掌。肩の力を抜き、背筋を伸ばす。
- 合掌した手を頭上に伸ばす~5呼吸。目線を一点に置いて、集中し、お腹とお尻を軽く引き締めてキープ。
グラグラする場合は、右足の位置をふくらはぎまで下げたり、つま先を床についたりしてもOKです。
反対側も同様におこないます。
→ヨガの木のポーズとは?驚くべき4つの効果と正しいやり方を徹底解説
「キャットアンドカウ」
腹部を刺激して内臓機能を高めたり、呼吸をするときに使う胸まわりや背中の筋肉のストレッチができたりするポーズ。
緊張を緩めたり、リラックスしたりする感覚をつかみたいときにも〇。
やり方
- 四つ這いになる。手は肩幅、足は腰幅に開き、肩の下に手首、股関節の下にひざをつく。背中が反りすぎないように、ヘソを引き上げて平らにする。
- 息を吸いながら背中を反らせ、目線を斜め上に向ける。骨盤を前傾させ、背骨が緩やかなアーチを描くように、呼吸に合わせてゆっくりと動かす。肩をうしろに引いて、首筋を長く保つ。
- 息を吐きながら背中を丸め、ヘソをのぞき込むように目線を下げる。手の親指の付け根でしっかりと床を押し、肩甲骨を高く持ち上げ、骨盤は後傾した状態、尾骨は床のほうへ引き下げる。
呼吸に合わせて、3~5回ほど繰り返します。
→ヨガのキャットアンドカウのポーズとは?4つの効果と正しいやり方を徹底解説
「バッタのポーズ」
体の背面や体幹を強化してくれるポーズ。
生き物の名前がついたポーズは、子どもが興味を持ちやすいのでオススメです。
やり方
- うつ伏せになり、両腕を体の下にしまったら、あごを床につける。両足を揃え、手のひらを下に向け、骨盤の位置にセット。
- 両足を床から浮かせる。お尻と太ももの裏の筋肉を引き締め、足を後方に伸ばす。
- 腕と胸で床を押し、足をさらに高く持ち上げる~5呼吸。足は、無理なく持ち上がるところまででOK。
→ヨガのバッタのポーズとは?4つの効果と正しいやり方を徹底解説
子どものヨガは安全に
ポーズ完成後、呼吸を繰り返すうちに飽きてしまうこともあるかと思いますが、大人のヨガのようにきっちりとおこなわなくても良いでしょう。
ポーズの最中は、危険がないように大人の方が見守りながら安全に、楽しくおこなってみてくださいね。
子どもの成長には個人差があるので、年齢や体の状態に合わせて無理なくおこなってください。