日本では特化したヨガクラスはほとんどないので聞き馴染みのない響きかもしれませんが、実際には日本のヨガクラスでもシヴァナンダヨガの要素が多く取り入れられていることがあります。
ここでは、シヴァナンダヨガの効果や目的を解説し、代表的なポーズや順番についてもご紹介していきます。
シヴァナンダヨガとは?
シヴァナンダヨガは、精神面に重きを置いたヨガのスタイルです。
近代インドを代表するヨガ指導者である、スワミ・シヴァナンダ氏(1887~1963)によって生み出されました。
スワミ・シヴァナンダ氏は医師として活躍した後にヨガの道を切り開き、世界的なヨガブームにも大きく貢献した方です。
有力な弟子を多く輩出しており、シヴァナンダヨガはアメリカ、カナダなどでも人気のあるヨガのスタイルとなりました。
日本では、一般的なフローヨガのクラスでシヴァナンダヨガの特徴が取り入れられていることがあります。
シヴァナンダヨガに特化した指導者は、全米ヨガアライアンス協会のRYT200やRYT500を修了した後に、個々にワークショップやレッスンに参加してシヴァナンダヨガについての学びを深めているようです。
シヴァナンダヨガの特徴と目的
シヴァナンダヨガの大きな特徴は、精神へのアプローチができる点です。
アシュタンガヨガと同じように、呼吸と共に12のポーズで行う「太陽礼拝」が基本フローとして用いられますが、アクティブに動くアシュタンガヨガとは異なり、静の要素を多く取り入れることで精神を整えていきます。
さらに生活習慣や食事法、生き方にも積極的にヨガの教えを取り入れることを推奨しています。
気持ちを整えること、心の静寂を得ること、人生そのものを整えていくことが、シヴァナンダヨガの目的なのです。
シヴァナンダヨガの具体的な特徴としては、以下のようなものがあります。
休息ポーズを取り入れる
アーサナの合間にシャヴァーサナ(屍のポーズ)やバラーサナ(チャイルドポーズ)といった休息ポーズを取り入れ、身体や呼吸の変化に目を向けます。
マントラを唱える
始めと終わりにチャンティング(マントラを詠唱すること)を行います。
マントラを取り入れたヨガクラスに参加すると、「唱えられない」「意味を知らない」などの理由で不安を抱かれる方がいますが、ヨガ愛好家の中にはただ単に唱和の心地良いヴァイブレーションが好きで取り入れている方も多くいます。
ただ響きを感じてリラックスするだけで良いのです。
日本のヨガクラスではマントラの代わりに、クリスタルボウルの響きで心を静める方法をとることもあります。
マントラよりも誰でも癒し効果を感じやすい、人気のあるメソッドです
2種類の呼吸法を用いる
連続して強く短く息を吐くカパラバティ、左右の鼻から交互に呼吸を行う片鼻呼吸法の2つの呼吸法を行いエネルギーの流れを整えておきます。
8点太陽礼拝
12のポーズからなる太陽礼拝が基本フローですが、チャトランガの代わりに8点のポーズが用いられます。
両つま先、両膝、両手、胸、おでこの8点が床に下りる、アップドッグ前に行われるポーズです。
上級者向けポーズ
本来のシヴァナンダヨガのフローには上級者向けポーズが多く存在します。
シルシャーサナ(頭立ちのポーズ)、スコーピオン(さそりのポーズ)などが代表的です。
尚、これらのポーズを省いたシヴァナンダヨガのフローが行われることもあります。
鍛錬することもヨガにとっては大事なので、できそうなものには積極的にチャレンジしていきましょう。
シヴァナンダヨガの効果、こんな方におすすめ!
シヴァナンダヨガは、アクティブなフローヨガとは違った効果があります。
リラックス効果
シヴァナンダヨガは癒し効果の高いヨガのスタイルです。
まず、ヨガの始めにマントラを詠唱するときに心がスッと静かになるのを感じられます。
さらに深い呼吸と共に太陽礼拝の動きを行っていくことで、自然と心と身体の緊張をほどくことができます。
→リラックス効果が高いヨガポーズ5選!緊張やストレスを抱える人におすすめのヨガ
ストレス解消、ストレスに強くなる効果
精神面に良い影響を与えてくれるシヴァナンダヨガ。
呼吸と共に身体を動かすことでストレスが解消されることはもちろん、続けていくことでストレスに強い柔軟な精神を手に入れられるようになります。
小さなことで腹を立てず、穏やかな心を保てるように。
→「力を抜いて」ストレスケアするヨガポーズ3選!何事にも手を抜けず頑張り過ぎる人へ
自律神経が整う
シヴァナンダヨガは、乱れた自律神経を整える効果もあります。
ポーズとポーズの間にバラーサナやシャヴァーサナといった休息を目的とするポーズを取り入れることで、交感神経と副交感神経を交互に働かせていきます。
普段の生活ではなかなかできないことですね。
自律神経は体温調節、内臓機能の調整など、健康そのものに関わっている神経なので、乱れがなくなれば毎日が快適に過ごせるようになります。
→自律神経を整えるために効果的なヨガポーズ3選!ダルい、眠れないは自律神経失調性かも?
柔軟性が高まる
前屈や後屈の動きを繰り返していくため柔軟性を徐々に高めることができ、肩甲骨や股関節の可動域も広がります。
丁寧な動きで行うため、現時点では柔軟性に自信がないという方でも取り組むことができます。
身体の柔軟性が高まると、怪我をしにくくなる、疲れにくくなるなどのメリットがあります。
→お風呂上がりのヨガ【柔軟編】|股関節や肩甲骨の柔軟性を上げよう
自分を見つめなおすことができる
一つ一つのポーズに時間をかけて呼吸にもしっかり目を向けるシヴァナンダヨガは、自分を見つめなおすためのメソッドとしても世界中で愛されています。
集中力や直観力もアップし、継続することで、より心の変化を感じることができます。
→【ヨガで自己肯定感UP】自己肯定感が低い方に、ヨガをオススメしたい8つの理由
安眠効果
高いリラクゼーション効果のあるシヴァナンダヨガは、不眠の解消にも最適です。
夜眠る前に行うと副交感神経が優位になり、ぐっすり眠りにつくことができます。
安眠できると、翌朝の心と身体の軽さが変わってきます。
→ストレス不眠でもぐっすり眠れるヨガポーズ3選!寝る前のヨガ習慣で睡眠不足を解消しよう
人生そのものの質が上がる
静の要素が多く自分と向き合う時間が多いシヴァナンダヨガは、幸福度を上げる助けにもなります。
柔軟で穏やかな心、不調の少ない身体を手に入れることができれば、人生の質がぐっと上がるはずです。
また、チャレンジグなポーズも多く、日々の小さな成長が感じられ自信に繋がるメリットもあります。
シヴァナンダヨガの代表ポーズや順番の紹介
他のフローヨガとは少し違うシヴァナンダヨガのポーズや内容についてご紹介します。
あくまでも基本の一例で、実際にはさらに色々なポーズを挟むことが多いです。
また、シヴァナンダヨガは自分のレベルに合わせてポーズを選択できるので、上級者向けのポーズは無理せずスキップしましょう。
間違ったアライメントだと身体を傷める危険性があるので、始めはヨガ講師に教わるのがおすすめです。
- マントラを唱える…坐法で座り、マントラを唱えます。ヨガのアーサナを始める準備として、気持ちを落ち着け、集中力を高めましょう。
- シャヴァーサナ…仰向けになり全身の緊張を手放していきます。①のマントラを唱える前に、長めの時間をかけて行われることもあります。
- 2種類の呼吸法(プラーナヤーマ)…相反する2種類の呼吸法を用いてエネルギーをコントロールします。カパラバティは少し練習が必要ですが、片鼻呼吸法は誰でもすぐに取り組むことができます。
2つの呼吸法
- カパラバティ…連続して強く短く息を吐くことで、熱を作り体内にエネルギーを巡らせる呼吸法。下腹部に力を入れるのが特徴。呼吸器系の浄化になるとされています。
- 片鼻呼吸法…左右の鼻から交互に呼吸を行うことで、自立神経の乱れを整えていく呼吸法。ストレス解消や集中力のアップに最適です。
- 8点太陽礼拝…呼吸と連動させながら太陽礼拝を数回繰り返していきます。チャトランガダンダーサナの代わりに8点をつくアシュタンガナマスカーラを行うのが基本です。腕への負担が少ないことから、日本のヨガクラスではチャトランガダンダーサナの軽減法としてもよく用いられています。
- ヘッドスタンド(シルシャーサナ)…頭立ちのポーズを行います。数分キープすることもあります。
- 肩立ちのポーズ~魚のポーズ…肩立ちのポーズ、鋤のポーズ、橋のポーズ、魚のポーズを順に行います。すべて仰向けで行うポーズです。
- シャヴァーサナ…シャヴァーサナでしばらく呼吸を整える時間をとります。心と身体の変化を感じます。
- アームバランス…シャヴァーサナの後は、少しチャレンジングなポーズを行います。アームバランスのポーズであるカラスのポーズ、マユラーサナを行うのが基本です。
- 三角のポーズ…体側を強く伸ばし、身体で三角をつくる立位のポーズです。全身のバランスを整えます。左右各3~5呼吸ずつ行います。
- シャヴァーサナ…ここまで30分程度のアーサナを行い、最後に5~10分シャヴァーサナで休息します。全身の状態を観察します。心地よい疲労感を感じましょう。
- マントラを唱える…坐法で座り、マントラを唱えます。始めに唱えるマントラとは内容が異なります。
シヴァナンダヨガで人生の幸福度を向上しよう
心の疲れやストレスに効果的なシヴァナンダヨガは、究極の癒しを求めている方にもおすすめです。
自分を見つめなおす助けにもなるはず。
そして、生活の一部として取り入れていき、精神の変化を感じていくのが良いでしょう。
緊張の多い日々を過ごしている方は、ぜひシヴァナンダヨガのメソッドを取り入れてみてください。