たかが呼吸、されど呼吸ということを実感させてくるのが「ヨガの呼吸法」ですよね。
ヨガを習っている方は呼吸法も勉強なさっていると思いますが、ヨガの呼吸法とはいったい何種類くらいあるのでしょうか。
今回は、代表的なヨガの呼吸法をご紹介したいと思います。
ヨガの呼吸法とは
人間は何も考えず、無意識に呼吸をしていますよね。
普段は全然意識を向けない呼吸というものに、あえて意識を向けていくのがヨガの呼吸法です。
ヨガで呼吸法を行う大きな目的の一つは、心のコントロールです。
ヨガの経典「ヨガ・スートラ」によりますと、そもそもヨガを行う目的は心を落ち着かせることにあるといいます。
心を常に、波の立たない湖のように静かにさせておくこと。
それがヨガの最大の目的だというのです。
そのために欠かせないのが、呼吸法なのですね。
呼吸をコントロールすることで、心はビックリするほど落ち着くようになります。
また、ヨガの呼吸法をすることで、カラダの不調も改善します。
そんなわけで、ヨガの代表的な呼吸法をご紹介していきましょう。
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ヨガの代表的な呼吸法5つの解説と効果
腹式呼吸法
腹式呼吸法とは、肋骨などの胸郭をなるべく動かさずに、横隔膜を上下させて呼吸することをいいます。
もっとわかりやすく言うなれば、お腹をひっこませたり膨らませたりする呼吸法です。
息を大きく吸うときにお腹が一緒に大きく膨らんだら、それが腹式呼吸です。
歌を歌う時や、俳優さんが舞台上でセリフをしゃべる時などは、腹式呼吸を使っています。
腹式呼吸法の効果
腹式呼吸法を行うと、副交感神経が優位になるんです。
つまり、ものすごくリラックス効果が期待できます。
イライラした時、怒っている時、ストレスがかかっている時などには、腹式呼吸を行うと落ち着くことができます。
また、腹式呼吸法を行うことでカラダが温まりますので、夏の冷房で冷え切っているという方にもオススメです。
ヨガの基本的な呼吸法になりますので、ぜひ行ってみましょう。
腹式呼吸法のやり方
やり方
- 仰向けになる。
- おへそに手をあてる。
- 鼻から4秒間で息を吸い込む。この時、お腹がふくらむのを手で感じる。
- 鼻から8秒間かけて息を吐きだす。お腹がへっこんでいくのを手で感じよう。
- これを繰り返す。
胸式呼吸法
胸式呼吸法とは、肋骨を大きく動かして行う呼吸法です。
息を大きく吸い込む時、肋骨を大きく膨らませてみて下さい。
それが胸式呼吸法です。
ラジオ体操の深呼吸は、たいてい胸式呼吸法で行っています。
胸式呼吸法の効果とは
胸式呼吸法を行うことで、交感神経が優位になります。
交感神経が活動スイッチですので、朝一番に頭をシャキッとさせて、リフレッシュしたい時に行うのが良いでしょう。
また、胸式呼吸法は姿勢もよくなります。
ぜひ朝の太陽を浴びながら行ってください。
胸式呼吸法のやり方
やり方
- 安定座で座る。椅子の上に座ってもよい。ただし、背筋はしっかり伸ばしておこう。
- 肋骨に手を当てて、息を鼻から大きく吸い込む。肋骨が膨らむのを意識する。
- 口からゆっくりと息を吐きだす。肋骨がしぼんでゆくのを意識する。
- これを繰り返す。
完全呼吸法
完全呼吸法とは、ざっくりと言えば腹式呼吸法+胸式呼吸法のことをいいます。
つまり、息を吸い込む時にお腹も肋骨も両方しっかりと膨らませるということです。
そして、息を吐くときには、カラダ全体から息をしっかりと吐きだします。
ヨガのレッスンでは、ポーズをとる前のウォ―ミングアップなどで行います。
完全呼吸法の効果
完全呼吸法を行うと、横隔膜が大きく上下に動きます。
すると、横隔膜の下にある内臓も一緒に動かすことができます。
普段の私たちは、肝臓を動かそう、または腸を動かそうと思って動かすことはできません。
けれども、完全呼吸法を行って横隔膜を動かしたら、内臓も一緒に動かすことができるわけです。
内臓を動かすことで、内臓をマッサージしたような効果が出て、内臓の動きが活発になります。
また、大きく息を吸い込みますので、酸素をたくさん取り入れることができます。
酸素を多くカラダに取り込むことで疲労回復が期待できますし、集中力や記憶力もアップしますし、老化防止にも役立ちます。
良いことづくめの完全呼吸法ですので、ぜひ行ってみましょう。
完全呼吸法のやり方
やり方
- 安定座で座る。椅子に座ってもよい。背筋はしっかり伸ばしておく。
- 息をしっかりと吐ききる。下腹部がしっかりへこむまで、頑張って息を吐く。
- 息を吸い込む。お腹、胸と順番に膨らむのを意識する。鎖骨に手を当てて、鎖骨が上に持ちあがるまで、とにかくカラダ全体に息を入れる。
- 息をゆっくりと吐いていく。できるだけ長く吐くことがポイント。最後までしっかりと吐ききる。
- これを繰り返す。
スカアプルバク呼吸法
スカアプルバク呼吸法とは、片鼻呼吸と呼ばれるものです。
私たちの鼻は、右の鼻と左の鼻でバランスよく五分五分に呼吸しているわけじゃないということが、最近わかってきました。
右の鼻でばかりで呼吸していたり、左の鼻ばかりで呼吸したりしてしまうというのです。
ですが、右と左の呼吸の量のバランスが悪いと、自律神経のバランスが崩れます。
体温調節もしにくくなります。
そこで、役立つのが片鼻呼吸。
片鼻呼吸をすることで、右と左でバランスよく、五分五分に呼吸ができるようになります。
鼻づまりの解消などにも効果がありますので、試してみてくださいね。
>>片鼻呼吸法とは?ノーベル賞も受賞したヨガの片鼻呼吸法の効果ややり方についてご紹介
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スカアプルバク呼吸法のやり方
やり方
- 安定座で座る。椅子に座ってもよい。姿勢を伸ばすことを心がける。
- 左の鼻の穴をふさぐ。
- 右の鼻で2秒間かけて息を吸い込む。
- 両方の鼻の穴をふさぎ、8秒間息を止める。
- 左の鼻を開け、左の鼻で4秒間かけて息を吐く。
- この逆を行う。
- それを繰り返す。
バストリカ呼吸法
バストリカとは、「ふいご」という意味があります。
ふいごとは鍛冶屋が鉄を鍛える時などに使う道具で、ふいごを使うことで炎が強くなるんです。
バストリカ呼吸法は、そんなふいごのイメージを持つ呼吸法で、勢いよく息を吸い込んで、カラダに酸素を送り込みます。
勢いよく酸素を送り込まれたカラダは、炎が強くなるように、とても元気になり、内臓も刺激されて活発化します。
元気を出したいという時に行ってほしい呼吸法になります。
バストリカ呼吸法のやり方
やり方
- 安定座で座る。椅子に座ってもよい。背筋はしっかり伸ばすこと。
- 口を閉じて舌を上あごにつける。
- 軽く鼻から息を吸い込む
- フンッ!と激しい鼻息を出しながら、お腹をへこまして息を強く吐ききる
- 素早くお腹を膨らませて、息を吸い込む。
- これを速いテンポで繰り返す。1秒間に1呼吸をするイメージで行おう。
ヨガの呼吸法は何種類?代表的な呼吸法5つの解説と効果まとめ
この他にも、ヨガの呼吸法には様々な種類があり、ここには書ききれないくらいです。
決して大袈裟ではなく、呼吸をコントロールすると心もカラダもコントロールできるようになるほど、呼吸はとても大事です。
呼吸法ならお金もかかりませんし、いつでもどこでもすぐに取り組むことができますよね。
ぜひ、気軽な気持ちで呼吸法を行ってみてくださいね。