それらの不調は、体内エネルギーの滞りや自律神経の乱れが原因かもしれません。
そこでおすすめしたいのが、ヨガの呼吸法の一つである片鼻呼吸法です。
呼吸法と聞くと取得するのが難しいイメージがあるかもしれませんが、片鼻呼吸法は手を使って行うので、誰でも簡単に行うことができます。
簡単にできて即効性があるので、ぜひとも日々の生活に取り入れて欲しい呼吸法です。
今回は、そんな片鼻呼吸法を取り入れることで得られる効果、正しいやり方、注意点について詳しく解説していきます。
ヨガの片鼻呼吸法とは?
片鼻呼吸法は、左右の鼻から交互に呼吸することで、エネルギーのバランスを整えるとされる呼吸法です。
サンスクリット語でナディは、エネルギー(=プラーナ)が通る「道すじ」を指します。
ショーダナには、「浄化」という意味があります。(※浄化とは、汚れや悪いものを取り除いて清潔にすることです。)
つまり、片鼻呼吸法を行うと、体内エネルギーの通り道が綺麗になり、心身のバランスを整えることができるのです。
頭がぼんやりしてやる気が起きないのも、体内エネルギーの通り道が滞っている状態だからかもしれません。
片鼻呼吸法=左右の鼻で息をしてバランスを整える
左右の鼻から交互に呼吸を行うというのは日常生活では起こりえないことです。
では、両方の鼻で呼吸を行っているのかというと実はそうではありません。(多くの酸素を必要とする場面では、両方の鼻で呼吸をしていることもあります。)
私たちは、無意識のうちに2~3時間ごとに右と左の鼻を交替して呼吸を続けています。
これは、自立神経によってコントロールされているので、意識して変えられるものではありません。
右と左の鼻による呼吸には、それぞれこんな特徴があるとされています。
- 陽の気質がある(緊張感、興奮感などを生み出す)
- 交感神経とつながっている
- 左脳を活性化させる
- 陰の気質がある(リラックス感、落ち着きなどを生み出す)
- 副交感神経とつながっている
- 右脳を活性化させる
このように正反対の特徴のある左右の鼻の呼吸を意識して片方ずつ行うことで、乱れたエネルギーのバランスを整えて心身を快適な状態に導くというのが、片鼻呼吸法の大きな目的です。
片鼻呼吸法の効果
片鼻呼吸法を行うことで自律神経が整うの?と疑問に思うかもしれませんが、実は科学的に証明されているのです。
片鼻呼吸法はノーベル呼吸とも呼ばれているほど、嬉しい効果が満載です。
頭がすっきりする、眠気が覚める
片鼻呼吸法を行うとすぐに頭がすっきりし、眠気が吹き飛んだような感覚を覚えます。
これは初めて行う方でも実感しやすい効果です。
何となく頭がぼんやりするときに取り入れてみると、とてもリフレッシュできます。
起きたてで頭がぼんやりしているときや、眠気を感じた仕事や勉強の合間に行うのもおすすめです。
やる気、集中力のアップ
エネルギーの道すじを浄化することで、良いエネルギーが巡りやすくなり、やる気や集中力がアップします。
また、片鼻呼吸法を行うと、自然と呼吸そのものに集中することになり、注意散漫になっている心を落ち着けることができます。
ストレスの緩和、リラックス効果
片鼻呼吸法を行うと、自立神経の乱れが整い、ストレスの緩和、リラックス効果が期待できます。
ストレスを抱えて緊張状態が続いている方におすすめです。
ほんの1分間でも取り組むことができ、しっかり効果のあるメソッドなので、自分を労わる時間がないという方にもうってつけ。
不眠解消
眠らなくてはいけない時間になっても上手く寝付けない、ぐっすり深く眠れないというお悩みには、自立神経の乱れが関係しています。
興奮や緊張状態がほどけず、交感神経が優位になっている状態。
片鼻呼吸法を取り入れ、自立神経のバランスを整えると、驚くほどスッと眠れるようになります。
呼吸が自然と深くなるのも、安眠に繋がる理由です。
イライラ、怒りの鎮静
イライラや怒り、悲しみ、不安といった負の感情が湧いてきたときにも片鼻呼吸法は効果的に働きます。
左右の鼻で交互に息をするだけで、気持ちが落ち着いていきます。
即効性もありますが、日常的に続けていくことでイライラしにくい穏やかな心を手に入れることができます。
また、直接的な効果ではないですが、片鼻呼吸法を行うことで鼻呼吸に自然に慣れることができると思います。
口呼吸は、風邪をひきやすくなる、ウイルスに感染しやすくなる、口臭につながる、ほうれい線ができやすくなるなどデメリットだらけです!
片鼻呼吸法を行う準備、ポイント
姿勢を正して座る
猫背になっていると、呼吸が浅くなってしまいます。
ただし、胸を張ろうとすると、反り腰になってしまうので要注意。
骨盤を立てるために、お腹に軽く力を入れましょう。
腰が真っすぐに伸びているか確認してみてください。
リラックスする
肩の力を抜きます。
ストレスや緊張状態が続いていた場合は、肩が無意識に上がっているので、一度両肩をぐっと上げて脱力しながらストンと下げてみてください。
肩と耳を遠くに離すイメージです。
鼻呼吸で行う
片鼻呼吸法は鼻呼吸です。口は軽く閉じておきましょう。
奥歯を食いしばらないように注意してください。
正しい舌の位置は、上あごの歯の付け根あたりです。
息を長く吐く
片鼻呼吸法の効果をしっかり得るためには、なるべく深く呼吸を行うのが理想的です。
深く息を吸うために、息を長く吐き出し、最後まで吐き切ることを意識してみましょう。
すると、自然と吸う息も深くなり、呼吸全体が深まっていきます。
片鼻呼吸法のやり方
嬉しい効果がたくさん得られる片鼻呼吸法ですが、やり方はとても簡単です。
さまざまあるヨガの呼吸法の中でも、片鼻呼吸法は難しいコントロールが不要で、初心者でも取り組みやすい呼吸法だと思います。
始めは1分間を目安に。慣れてきたら、2~5分間続けてみてください。
行うタイミングは自由です。
起床後、就寝前はもちろん、仕事や勉強のちょっとした空き時間に行ってみても良いでしょう。
片鼻呼吸法のやり方
- 左手は軽く膝の上におき、呼吸を整えてから始めていきます
- 右手の人差し指と中指を折り曲げ(もしくは2本指を眉間に置き)、顔の正面に準備します
- 親指で右鼻を抑え、左鼻から今ある息をすべて吐き出します
- 左鼻から4秒かけて息を深く吸いこみます。肩が上がらないように気をつけましょう
- 薬指で左鼻を抑え、親指を外した右鼻から4秒かけて息を吐き出します
- 今度は、右鼻から息を吸いこみます
- 先ほどと同様に、左右の鼻による呼吸を繰り返します
- 最後に手をほどき、自然な呼吸をしばらく続けます
片鼻呼吸法に慣れてきたら…
基本の片鼻呼吸法に身体が慣れてきたら、より本格的な取り組みをしてみるのもおすすめ。
ここでは3つのメソッドをご紹介します。
安楽座のポーズで行う
ヨガの基本の座り方、安楽座のポーズで行ってみましょう。
ヨガのクラスで片鼻呼吸法を行う際は、これが通常です。
安楽座のポーズは両膝を左右に開いたあぐらの姿勢です。
骨盤を立てることが重要なポイントですが、感覚が掴めない方は、お尻の下にたたんだブランケットや座布団をしくのがおすすめです。
骨盤が立ちやすくなり姿勢が整います。
安楽座のポーズやり方
- 両膝を曲げ左右に倒します。かかとを身体に引き寄せましょう。
- 胸を軽く開き、骨盤を立てます。左右のおしりに均等に体重がのるように
- 両手は手のひらを上にして、両膝の上に軽く置きます
- 肩の力を抜き、目線を真っすぐ前へ
- 姿勢が整ったら呼吸を始めます
保息で静寂を感じる
息を吸い吐き出すまでの間の1~3秒間、息を止めてみましょう。
これは、保息と呼ばれるもので、集中力を高める効果があります。
静寂を感じることで、心の鎮静にも効果的。
個人差がありますが、この保息が非常に心地良いと感じる方も多いです。
保息は、通常の呼吸法の際にも取り入れることができます。
呼吸がぐっと深まり、行ったあとはリフレッシュできるのでぜひ試してみてください。
瞑想を行う
片鼻呼吸法を行ったあとは、深い呼吸が自然とできるようになっています。
呼吸に集中でき、雑念も手放せている状態ですから、そのまま両方の鼻から自然な呼吸を続けて瞑想を行うのも良いでしょう。
より心身のバランスが整っていきます。
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片鼻呼吸法の注意点
片鼻呼吸法は、風邪や花粉症で鼻がつまってるとスムーズに行うことができません。
息苦しさを感じることもあるので、無理のない範囲で行っていきましょう。
少し鼻がつまっている程度なら、鼻をかんでから始めてみてください。
ちなみに、ヨガの発祥の地インドでは、鼻の中のほこりや花粉を洗い流すことで風邪やアレルギー症状の予防になるとされています。
ヨガも鼻呼吸が基本ですから、私の知人のヨギーニの中にも鼻うがいを習慣としている方は多いのです。
片鼻呼吸法で不調をすっきり解消!
片鼻呼吸法はとても心地が良く、頭がすぐにすっきりするので筆者も大好きな呼吸法です。
ヨガの呼吸法の中では比較的簡単で即効性があるのが魅力です。ほんの1分間でも効果を感じられます。
ヨガにおける呼吸法は、 単に息をすることではなく、エネルギー(=プラーナ)を運ぶ(=ヤーマ)ためのツール。
片鼻呼吸法でどんどん良いエネルギーを巡らせていきましょう。
何だか体調が優れない、頭がぼんやりすると感じている方は、ぜひ片鼻呼吸法を取り入れてみてください。