寝苦しい季節になり、寝つきが悪い人、眠りが浅い人、眠りの質をUPさせたい人など『睡眠』に関するお悩みを抱える人は少なくありません。
そこで、今回は安眠に欠かせない「478呼吸法」のやり方や、その驚くべき効果とメカニズムを現役ヨガインストラクターである筆者が分かりやすく解説します。
1分で眠れると話題の「478呼吸法」とは?
「478呼吸法」は専用の本も売られていますし、数年前に安倍晋三首相が健康維持のために実践していると報道されたことがあり、ネットでは今も注目されている呼吸法の一つです。
この呼吸法は「とにかく簡単なのに睡眠に効果がある」とされています。
日本人の4人に1人以上が「睡眠に問題を抱えている」とされており、日本人の睡眠不足の問題は世界的に見ても深刻です。
安眠を得るためには、日中の活動量や就寝前の環境、あるいは就寝時の環境も大事で、不眠の原因を1つに特定することは難しいですが、布団に入っても考え事が浮かんでしまったり、なんだか頭の中が鎮まらないから眠れないタイプの人は「脳疲労」が原因かもしれません。
脳疲労とは文字通り「脳が疲れている状態」を指していますが、現代人のほとんどは脳疲労状態に陥っています。
日本人のほとんどが就寝直前までスマホをいじり、あるいはテレビやタブレットを眺めています。
特にSNSのようなツールを使っていると、脳は興奮状態に陥ります。
要するに、脳のスイッチがオフになっていないことが「スッと落ちるような入眠」を妨げてしまうのです。
「478呼吸法」のやり方
「478呼吸法」は、20年ほど前にハーバード大学卒のアンドルー・ワイル博士があらゆる医学的健康法から見つけ出した究極のストレス解消術とされていて、そもそも自然治癒力を高めるのに効果的とされます。やり方はとても簡単です。
「478呼吸法」のやり方
- 一度完全に息を吐き切る
- 1〜4を数えながらゆっくり鼻から息を吸う
- 同じペースで7数えながら息を止めておく
- 同じペースで8数えながら口からゆっくり息を吐き出す
これだけです。
仰向けになって寝る前にやると、たった2〜3回やるだけで本当にあっという間に眠りに落ちることができ(もちろん個人差はあります)、確かに1分で寝落ちするというのもあながち誇張ではなさそうです。
「478呼吸法」メリット・デメリットは?
「478呼吸法」の効果の仕組みとメリット
「478呼吸法」が他の呼吸法と違う点は「数を数える」「吐く息を長くする」「息を意図的に止める」といったところにあります。
まず、息を吐き切ってから吸うことで自然に腹式呼吸になります。
腹式呼吸とは、よく知られているように「リラックスしている時に自然に起こる呼吸」です。
日中、私たちが仕事などで興奮状態にあるときは、ほとんどが浅い胸式呼吸になりがちです。
ヨガでも腹式呼吸が推奨されますが、それは腹式呼吸がリラックスを促してくれるからです。
腹式呼吸がリラックスに効果がある理由は複数ありますが、まずはお腹にある臓器(腸や横隔膜)は自律神経の中でもリラックス系を司る副交感神経と関係しているからです。
お腹を呼吸で動かすことは、副交感神経を刺激し、リラックススイッチを入れてくれます。
また「数を数える」ことで、私たちの意識は「数」に集中し、他の雑念から意識をシャットアウトすることができます。
「吐く息」も私たちの副交感神経を刺激する行為です。
どんな呼吸であっても、息を吸う時に交感神経が刺激され、吐く時に副交感神経が刺激されます。
ですから、呼吸を丁寧に行うだけで自律神経のバランスが整うのですが、あえて吐く息を長くすることで、副交感神経を優位にできるのです。
さらに「息を意図的に止める」。これはヨガでは「クンバカ」と呼ばれるテクニックになります。
私たちの脳は非常に多くの酸素を必要としており、特に脳疲労が激しい時や考え事をしている時に酸素量が多く必要となります。
つまり、脳疲労や考え事で頭を使っていると、どうしても酸素がたくさん欲しくなり、早く忙しい呼吸をしがちで、余計リラックスできなくなってしまうのです。
しかし、意図的に息を止めると、脳の動きも一時的に止まります。
すると、ざわざわしていた心も休まり、安定します。
つまり脳や心の動きをコントロールするために「クンバカ」は最適なのです。
「478呼吸法」を行うことで、副交感神経が優位になり、脳が鎮まることで、自律神経が整ったり、脳疲労が解消されたり、体の強張りが取れたり、血圧が下がったりするので、スッと眠りにつける。
これが「478呼吸法」のメカニズムです。
「478呼吸法」のデメリット
基本的に「478呼吸法」は、どなたにでも試していただける安全性の高い呼吸法とされています。
また、効果を感じるかどうかは、その人の脳や体の疲労度によって異なるので、疲労が高い人ほど、1分とは言わず、10分くらい行わないと効果が感じられないかもしれません。
基本的にデメリットはないとされますが、息を止めることが苦手な人は、止める時間は少しずつ長くするようにした方が安全です。
4秒で吸って、4秒止めて、8秒で吐く、といった感じで、まずは自分のペースで息を止める時間を調整すると良いでしょう。
「478呼吸法」のデメリットとしては言われていませんが、ヨガではクンバカをするには体内の浄化が行われている必要があるという考え方もあります。
息を止めている時に体内の不純物や老廃物が全身に回ってしまうので、呼吸法を行う時は空腹で、アルコールなどの毒物が体内になく、また気持ちもなるべくネガティブでない時(早朝など)に行うべき、と教えている先生もいるのです。
「478呼吸法」についてまとめ
寝つきが悪い、気持ちが不安定という人は、「478呼吸法」を試してみると良いでしょう。
続けるほどに効果が高くなるので、効果が感じられたら、前後の食事に気をつけたり、アルコールを控えてから「478呼吸法」を行うなど徐々に深めていくと、さらに相乗効果が期待できますし、より深い睡眠が得られるはずです。
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