生姜はヨガの姉妹とも位置付けられる伝承医学アーユルヴェーダでも大事な食材の一つ。
ここでは生姜を使ったさまざまな健康法をご紹介。
この秋冬は生姜を上手に活用して不調に負けず、ポカポカの毎日を過ごしてみては。
ほぼ薬?生姜が体に良いとされる理由
生姜は漢方の世界では生薬として使用され、欧米ではジンジャーはハーブとして扱われ、さまざまな効果効能が期待される食品です。
また薬膳において、生姜は「発汗させる」「気と血の巡りをよくするもの」として利用されます。
和食では薬味で利用されることが多く「食欲増進効果」や「殺菌作用」を目的としていることが多いです。
生姜に薬理作用があるのは、生姜に含まれる香り成分である「シネオール」に食欲増進効果、血液循環作用、痛みの緩和、冷えの緩和効果などがあり、他にも生姜に含まれる「ジンゲロン」や「ジンゲロール」「ショウガオール」にも消化促進、発汗、保湿、唾液の分泌促進などの効果があるからです。
特に「生の生姜」に多く含まれる「ジンゲロール」には消化や食欲を促進させて、唾液の分泌も促すなどの作用から風邪の初期症状に効果があるとされ、生姜紅茶や生姜湯などは多くの人が実際に試して効果を感じたことがあるのではないでしょうか。
アーユルヴェーダでも生姜は最も「サットバな食品(バランスの良い)」とされよく食されます。
アーユルヴェーダでよく知られる使い方が、生姜のスライスにレモン汁と岩塩を散らしたものを食前(20分〜30分前)に食べるという方法。
これをするだけで胃がポッと暖かくなり、消化力がアップし、食べ過ぎを予防し、食べた後の胃もたれなども防いでくれるのです。
ちなみにこの方法は、ヨガのポーズの練習の前に「ちょっとお腹が空いている気がするけれど、これからヨガだから何か食べるわけにはいかない」というタイミングでもおすすめです。
ヨガの練習と生姜の相乗効果でいつも以上に代謝がアップします。
生姜でアンチエイジングを実践できる
近年、生姜には抗酸化物質がかなり豊富に含まれることもわかってきて、数々のエビデンスが報告されています。
ショウガオールやジンゲロールももちろん抗酸化成分の一つです。
抗酸化成分とは、老化の原因となる活性酸素を除去したり、細胞のダメージを減らすことに必要な物質。
さらに生姜がアンチエイジングに効果的なのは、唾液を促進させるからだとも考えられています。
唾液そのものに老化予防の物質とされる成分(パチロン)が含まれますが、唾液は加齢とともにその分泌量は減ります。
そうなると口の中が乾燥して、歯周病のリスクが高まったり、腸内細菌叢のバランスも連動して崩れてしまいます。
高齢の方の方が口臭が強くなるのもこのためです。
赤ちゃんやこどもは口の中が潤っていますが、そのおかげで免疫力も高く、虫歯にもなりにくいのです。
生姜で唾液を促進させることはオーラルフレイル(口腔内の脆弱状態)を予防することになるので、アンチエイジングに有効と言えるでしょう。
生姜による主な効果
生姜で冷え対策!肩こりや疲労、むくみ対策にもなる
生姜に含まれる「ジンゲロール」には、毛細血管を拡張させて、血行を促す働きがあります。
特に体の表面の血管を拡張させるので、冷えやむくみ、肩こりにも効果的だとされるのです。
ジンゲロールは生の生姜に含まれていますが、酸化しやすいため、食べる直前にすりおろし、すりおろしたらすぐに食べると効果が発揮されやすくなります。
また、面倒でなければ生姜を薄くスライスして30分くらいセイロを使って蒸し、それを屋外で2日ほど蒸した「蒸し生姜」にすると、ジンゲロールの量が10倍近く増えるとされます。
生姜で美肌効果
生姜にはビタミンCやビタミンB、ナイアシン、鉄分、カリウム、リンなどのミネラル類も豊富に含まれています。
ビタミンやミネラルが不足しがちの現代人。
生姜を積極的に摂ることは、ビタミンミネラルを補うことにつながります。
特にビタミンCやビタミンBは美肌に不可欠な成分です。
生姜で風邪予防
生姜湯は風邪の引き始めに摂るようにすると効果が高いとされます。
生姜を摂ることで、冷えを解消してからだを温めるだけでなく、新陳代謝を促し発汗を促す効果があるからです。
生姜をすりおろしたものをお湯に入れ、甘さが必要なら蜂蜜を加えて飲むと生姜湯になります。
生姜で痛みを緩和
生姜成分のジンゲロールは加熱するとショウガオールに変わります。
ショウガオールには発熱や痛みの原因物質とされるプロスタグランジンの生成を抑える働きがあるとされるので、体の痛み、特に頭痛や生理痛などがあるときには加熱したショウガを使うとより効果的です。
ちなみにプロスタグランジンに類似した医薬品成分として有名なものに「インドメタシン」があります。
湿布や頭痛薬に含まれています。
ショウガオールの抗炎症作用はインドメタシンと同等という研究調査もあるほど。
薬では胃が荒れてしまう、眠くなってしまうなどの心配があるときに使い分けてみるのも良いでしょう。
ただし!生姜の摂りすぎには注意
生姜の摂取目安料は1日5〜10g。
すりおろしは小さじ1、スライスで6枚までとされます。
過剰に摂取すると、胃が荒れて胸焼けや下痢が起きることも。
小さいお子さんや妊婦さんも過剰摂取には注意が必要です。
またチューブの生姜には効果があるという説と、酸化していて効果がないという説があるので、できれば生の生姜をその都度使う方が効果は期待できそうです。
冷蔵庫に放置してしまった生姜も入浴剤に!
うっかり活用し損なった生姜が冷蔵庫から出てきたら、細かくスライスして、スーパーなどで売られているお茶パックに入れ、そのまま入浴剤として湯船に投入しましょう。
市販の入浴剤のような華やかさはありませんが、生姜の香りとエキスがじんわり広がる「生姜風呂」が楽しめます。
まとめ
生姜は多数の効果が期待でき、この時期にぴったりの「食べるお薬」のようなものです。
生の生姜が苦手な人は、市販のジンジャーシロップやジンジャーティーなどで試してみるのも良いでしょう。
マグボトルにスライスした生姜4〜5枚と白湯を注ぎ「生姜白湯」を作っておき、水分補給のたびに飲むのもおすすめです。
寒くなり代謝が落ちがちな秋冬ですが、生姜を上手に活用して乗り切りましょう!