しかし、難易度の高いポーズにいきなり挑戦しても、上手くいきません。
難しいポーズは急にできるようになるものではなく、一つ一つ問題をクリアしていく必要があるのです。
それが、ヨガにおける「ステップ練習法」です。
今回は、ヘッドスタンドとピンチャマユラーサナ(孔雀の羽のポーズ)を例に、ステップ練習法についてご紹介していきます。
ヨガポーズはステップを踏んで練習すべし!
ヨガにはさまざまなポーズがあり、中には「これどうなっている!?」というほど難しそうなポーズもありますよね。
いずれのポーズも、柔軟性が必要であれば柔軟性を高めてから、筋力が必要であれば筋力をつけてからでないと、絶対にできるようにはなりません。
ヨガを続けていく中で柔軟性や筋力が備わってくると、難しいポーズが突然できるようになることもあります。
筆者の場合も、ある時期からアームバランス系のポーズが楽にできるようになりました。
当時通っていたヨガクラスの中で、ヨガの基礎的なポーズを繰り返していくことで、自分でも気が付かないうちにベースとなる身体ができていたのです。
そのポーズができるようになるために、一つずつ必要な要素をクリアしていくのが、ヨガにおける「ステップ練習法」と呼ばれるものです。
ヨガをしているけれどステップ練習法なんて聞いたことがない!という方も多いことでしょう。
筆者自身、ステップ練習法をしましょうと声を掛けて、ヨガのプラクティスを進めていくことはありません。
しかし多くのヨガクラスでは、その日のクラスの終盤に挑戦する中級~上級ポーズのために、柔軟性や筋力を高めるようなポーズが自然に組み込まれています。
それを考えるのがヨガ講師の仕事でもあります!
そういった、一つのポーズに向かうための練習が「ステップ練習法」なのです。
基礎となる太陽礼拝を何度も繰り返すことも、あらゆるポーズに繋がる重要なステップ練習法です。
すでにできるポーズであっても、ステップ練習をしっかり取り入れることでより安定感のある快適なポーズをとれるようになります。
ステップ練習法の効果をまとめると
- できなかったポーズができるようになる
- ポーズが安全に行える
- ポーズがやりやすくなる
- ポーズの安定性が増す
ヨガのステップ練習法の必要性
いきなり難易度の高いポーズに挑戦してしまうと、身体を痛めてしまう可能性があります。
怪我にも繋がるので、無理は禁物です。
特に柔軟性を必要とするポーズは、勢いでできてしまうこともありますが、その後から痛みとなって現れることがあるので注意しましょう。
プロップスを使う、できるところまでの前屈・後屈にするなど正しい調整が必要です。
ヨガに長年親しんだ方でも、基本となる太陽礼拝などを繰り返し行い、身体を目覚めさせ集中力を高めてから、難易度の高いポーズへと移行していきます。
特に自分で新たなポーズにチャレンジをするときには、いきなりポーズをするのではなく、一歩ずつ進むことを忘れないようにしましょう。
ヘッドスタンド、ピンチャマユラーサナができるようになる!ステップ練習法
ヘッドスタンドとピンチャマユラーサナ(孔雀の羽のポーズ)ができるようになるための、ステップ練習法をご紹介します。
いずれのポーズも、十分な筋力と適度な柔軟性を必要とします。
コツコツと身体を作っていきましょう。
ステップ1:肩回りを強化する①
ヘッドスタンドは前腕と頭頂で、ピンチャマユラーサナは前腕のみで全体重を支えます。
ポーズの安定には、前腕で強く床を押すための、肩回りの強さが欠かせません。
ヘッドスタンドは、肩回りの筋肉が弱いと首に負担がかかり大変危険です。
そうならないためにも、前腕で身体を支えるコツを掴んでおきましょう。
スフィンクスのポーズ
前腕でしっかりと床を押し、身体を安定させること、肩と耳とを遠くに離すことを、スフィンクスのポーズで身に着けていきます。
やり方
- うつ伏せで寝ます。脇を締め、両手を胸の横に置きます。両足は腰幅程度に開きます。
- 息を吸いながら、前腕で軽く床を押します。顔と胸を床から離し引き上げます。
- 胸を開き、首を長く保ちます。肩と耳を遠くに離します。
- 3~5呼吸程度ホールドします。
- 吐く息でゆっくりと上体を床へ下ろしてポーズを解放します。
→ヨガのスフィンクスのポーズとは?3つの効果と正しいやり方を徹底解説
ステップ2:肩回りを強化する②
肩周りの筋肉が弱いままだと、安定したヘッドスタンド、ピンチャマユラーサナは行えません。
肩の筋肉と共に、腕にある上腕二頭筋、上腕三頭筋の筋肉を強化しましょう。
プランクポーズ→チャトランガダンダーサナ
ヨガフローの基本である太陽礼拝に出てくる、プランクポーズ(板のポーズ)とチャトランガダンダーサナ(四肢で支える杖のポーズ)を行うことで、肩回りを強化していきます。
体幹の強化に欠かせない重要なプラクティスです。
この2つのポーズを安定的に行えるようになると、あらゆる難易度の高いポーズができるようになります。
プランクポーズのやり方
- 両手と両足のつま先で全身を支える姿勢で、頭頂からかかとまでが一直線の姿勢になるようにします。
- 両手は肩幅の広さに開き、両足は肩幅よりやや広く開きます。
- 肩の真下に手首がくるようにします。
- 両手の平を均等に広げます。中指が真っすぐ前を向くようにします。
- 体重が手の平全体に均等にかかるようにします。
- 手の平を床で押し、肩が沈みこまないようします。
チャトランガダンダーサナのやり方
- プランクポーズの姿勢を保ちながら、吐く息で肘を曲げて床へ降りておきます。脇を締めて、肘を90度まで曲げます。斜め前へ降りていきます。
- 肩がすくまないように、耳と肩を遠くに離します。
- 胸を開いたり、お尻をつき出したりせず、背中を平らに保ちます。
- 1~2呼吸ホールドし、床へ降りましょう。
ステップ3:体幹を強化する
脚を持ち上げ、さらにそれをキープするためには体幹の力が必須です。
舟のポーズで体幹を強化していきましょう。
腰を反らないことを意識します。
特にピンチャマユラーサナでは、お腹の力が抜けて反り腰になるとすぐに転倒してしまいます。
舟のポーズを10呼吸ほど楽にキープできるようになってから、ピンチャマユラーサナにトライしてみましょう。
舟のポーズのやり方
- 両膝を曲げて床に座ります。息を吐きながら上体を後ろに傾け、両足を床から浮かせます。両手は手のひらを上にして真っすぐ前に差し出します。
- 腹筋に力を入れバランスを保ちます。目線は力強く前方~斜め上の天井へ。
- 余裕があれば、両膝を伸ばし「V」の形を目指します。
- 3~5呼吸ホールドして、ゆっくり元に戻ります。
- 一度、膝を抱えて背中をゆるめて呼吸を整えます。
- 再度行いましょう。
ステップ4:逆転への恐怖心を無くす
ヘッドスタンドもピンチャマユラーサナも「怖い」と思ってしまうと上手くいきません。
ダウンドッグをアレンジして行う壁を使った逆立ちを取り入れることで、逆転への恐怖心を無くしていきましょう。
ダウンドッグをアレンジした逆立ちポーズのやり方
- 壁を背に四つん這いになり、つま先を立てて準備します。手の5本指は均等に開き、中指を真っすぐ前に向けます。肩の真下に手首がくるように。
- お尻を高く上げて、かかとが壁につくようにしてダウンドッグのポーズに入ります。
- 股関節をしっかり曲げて身体全体で山の形を作ります。
- 腰を反らずに、左右均等な山の形をイメージします。首の力を抜いて楽に保ち、目線は床へ。
- 息を吐きながら両手の平で床を押し、太もも裏を十分に伸ばします。
- 吸う息で右足を床から離し、後ろの壁に上げます。
- 3~5呼吸ホールドし、右足を元に戻します。左足も同様に行います。
- 今度は片足ずつ壁を歩かせ上っていきます。
- できるところまででOK。逆さになった状態を感じてホールドします。
- ゆっくりと元に戻りましょう。
ステップ5:股関節を柔らかくする
ヘッドスタンドとピンチャマユラーサナのポーズに入るとき、戻るときには、股関節を深く折り曲げます。
そのため股関を曲げる筋肉(腸腰筋)のストレッチも必要です。
ローランジのポーズを繰り返し行い、柔軟性を高めていきましょう。
ローランジのポーズやり方
- ダウンドッグのポーズを行います。
- 右足を両手の間に踏み込みます。左足はつま先を寝かせて、後方へ伸ばします。
- 両手を真っすぐ上げ、耳の横でキープ。胸を軽く開き、目線は真っすぐ前へ。
- 吐く息で右ひざを深く曲げます。
- 3~5呼吸ホールドします。反対側も同様に行いましょう。
→ヨガのダウンドッグとは?5つの効果と正しいやり方を徹底解説
ヘッドスタンド、ピンチャマユラーサナ前にマスターしたいポーズ
ドルフィンポーズ
ドルフィンポーズは、ピンチャマユラーサナに入るときの姿勢によく似ています。
ヘッドスタンドが安全にできるかどうかのチェックポーズでもあります。
この時点で辛さや痛みがある場合は、ヘッドスタンドやピンチャマユラーサナへの挑戦はまだ待った方が良いでしょう。
肩回りの筋肉が十分に発達していない、体幹が弱い、股関節やハムストリングスが硬い証拠です。
反対にこのポーズが楽にできたなら、あとはチャレンジしてコツを掴むだけです!
やり方
- ダウンドッグのポーズを行います。
- 姿勢はそのままで、両腕の前腕を床に下ろします。
- 前腕で床をしっかりと押し、首回りが詰まらないように意識します。顎を軽く引きます。
- 3~5呼吸ホールドして、元に戻ります。
ブリッジポーズ
ヘッドスタンドとピンチャマユラーサナを行う前には、ブリッジポーズを取得しておくことをおすすめします。
ブリッジポーズができない状態だと、後ろに転倒したときに背筋や柔軟性でカバーできずに、後頭部を強く打ってしまう可能性があるからです。
やり方
- 両膝を立てて、仰向けに寝ます。両足は腰幅に開きます。
- 脇を締めて、手の平を床に向けて、腰を浮かせます。肩から膝が一直線になるようにします。
- 3~5呼吸ホールドしたら、両足を太ももに近づけます。
- 脇を締めて肘を天井に向けて、両手の平を耳に横につきます。
- 手の平と足裏で床を押し、腰を高く持ち上げます。首は楽にしておきます。
- 肩甲骨を寄せて胸を開きます。足の膝が開かないように注意しましょう。
- 3~5呼吸ホールドして、手に力を入れながらゆっくりと床に下ります。
ステップ練習法でヨガポーズをマスター!
ヘッドスタンドとピンチャマユラーサナができるようになるための、ステップ練習法についてご紹介しました。
ヨガのステップ練習法は、安全かつ快適にヨガポーズをとるために欠かせません。
コツコツとヨガを行うことで自然とステップ練習ができているので、かっこいいポーズができるようになりたい!という方は、ぜひヨガのプラクティスを続けてみてください。