ただ座っているだけのこのポーズにも、実はさまざまな効果効能があることをご存知でしょうか?
ここでは「知れば知るほど奥が深い!スッカーサナ」について徹底的に解説します。
スッカーサナってどんなポーズなの?
スッカアーサナの「スッカ」とはサンスクリット語の「sukha」で、「楽」「幸せ」「安楽」を意味するとされます。
アーサナは「ポーズ、体位」の意。
そのため「安楽座のポーズ」と日本語で訳されます。
このポーズをすることで文字通り楽に座れ、幸せを感じやすくなるので、呼吸法や瞑想時に最適なポーズとされ、ヨガのクラスでも最初にこのポーズを行い、自分自身を内観し、呼吸や心を整えてからアーサナ(ポーズ)の練習をし、その後に呼吸法、そして瞑想へと練習を深めていくのが良いとされます。
スッカーサナと胡座は同じなの?違うの?
ちなみにスッカーサナと胡座は似ていますが、若干異なる点があります。
胡座は足首を好きなポジションに置いて良いのですが、スッカーサナの場合、会陰の前に両踵を持ってくることが指導されます。
そのためスッカーサナは足の裏が天井に向いて開きますし、足首がストレッチされ、股関節も開きます。
だから「安楽座」なのにスッカーサナはできない、苦手、痛い、でも胡座ならできるという人が案外多いのです。
実際のクラスでも「胡座かスッカーサナで座りましょう」という指導をする先生が多くいます。
スッカーサナの効果効能とやり方
一見、ただ座るだけのスッカーサナですが「背筋が伸びる」「腹筋が引き締まる」「呼吸量が増える」「背筋が活性する」「膝や股関節、足首が柔軟になる」「リラックスする」「心が安定する」といったさまざまな効果が得られるポーズです。
さっそくやってみてください。
時間は3分程度からはじめますが、徐々に慣れてくると座り姿勢はいつでも「スッカーサナが一番楽」というほどになります。
やり方
- お尻の下に座布団やブランケットなど敷くものを用意しておく
- 両脚を前方に伸ばして座ったら、右足の踵を会陰の前に持ってくる
- 左足の踵を右足の足首の前におく
- 会陰、右踵、左踵の順番で、それぞれの踵が会陰の前に一直線にセットされる
- お尻を持ち上げるようにして坐骨に均等に体重をかけ、お尻の穴が真下に向くようにする
- 骨盤を床に対して垂直に立て、背骨を頭頂まで無理なく引き上げる
- 肩や首、目をリラックスさせ、手は膝の上など楽な場所におく
- しばらく深呼吸をしたら、足を組み替えて同じことをする
もし腰が丸まってしまうようなら、お尻の下の敷物を丸めて少し高くしてあげると腰が立ちやすくなります。
膝が浮きすぎて痛い人は、膝下にブロックなどを置くと安定するでしょう。
スッカーサナのために他のポーズをするのもあり
スッカーサナはポーズですから、他のポーズと同じようにポーズの練習をするだけでも身体的な効果が得られます。
しかし、もし少し長くキープできるのであれば、ぜひそのまま呼吸法や瞑想など意識を内側に向け、自分自身の心や思考を観察することもしてみましょう。
するとさまざまな気づきがあるはずです。
よくあるのが、体がもぞもぞしてポーズをキープするのが難しいというケース。
これは心に何か気になることがある場合もありますし、座ることで、トイレに行きたい・どこかが痛い・冷たい・疲れる・音や匂いが気になるなど肉体面への気づきによる場合もあります。
ただ静かに座りたいだけなのに、それを妨げるものがあるとわずか数秒でも静かに座れない。
このことに気がつくだけでも、大きいのです。
一方、ある程度ヨガのポーズを練習した後だと、心がおおらかになったり、体の緊張が取れることでスッカーサナが長くキープできることが多々あります。
このタイプの人はただ座るだけですが、それを極めるには心身の準備が必要だということなのです。
クラスの最初にスッカーサナをしてみて違和感や不快感を感じたら、一度それを受け止め胡座になり、クラスの最後にスッカーサナをしてみてその変化を味わうと、ヨガの効果や自分自身の変化に気づくでしょう。
スッカーサナは最も忍耐力のいるポーズ
スッカーサナは基本的なポーズの一つですが、忍耐力のいるポーズです。
私たちは、心や体、環境など、さまざまな影響を受けるため何もせずにじっと座っていることが非常に難しいのです。
しかし、1分・3分・5分・10分とスッカーサナをキープする時間を長くしていくことで、静かに座ることがマインドフルネスや瞑想・呼吸法の最も基本的な練習になり、忍耐力も育っていきます。
生徒さんの中には「膝が痛い」とか「たくさん動くポーズの方が楽しい」といってスッカーサナの練習を飛ばす人もいます。
しかしそういうタイプの人は10年以上ヨガをしていても、例えば自分の苦手なことからいつも逃げ出したり、楽な方を選びがちな癖が抜けなかったりする人が多いように思います。
また、時間のかかること、すぐに結果のでないことを嫌がる傾向があります。
一方、地味でも苦手でもスッカーサナを必ず行い、その時に心や体にどんな変化があるかを毎回確認するなど真摯な態度でスッカーサナに取り組んでいる方は、病気を克服したり、嫌なことがあっても「そういうこともある」とおおらかな気持ちで受け止められたり、どっしりとした安定感を示してくれることが多いように思います。
スッカーサナの効果だと断言はできませんが、10年以上ヨガを指導していて感じることは、スッカーサナを飛ばさずに練習している人の方が精神的に安定しているということです。
不調がなければスッカーサナはおすすめ
スッカーサナは全員に万能のポーズではありません。
すでに膝を故障されている方、股関節や足首を故障している人などは、スッカーサナはすべきではないとされます。
クラスの最初に出てきても、インストラクターに自分の状態を説明し、違うポーズで待たせてもらう工夫しましょう。
もし特別な不調がなく、ただ苦手・退屈、というだけでこれまでスッカーサナを軽く行っていたのであれば、ぜひじっくり座ってみてさまざまな体感を得てみてほしいです。