ヨガでトラウマを克服することはできるのか?ヨガで突然涙が出る理由

ヨガでトラウマを克服することはできるのか?ヨガで突然涙が出る理由
ヨガをトラウマのケアに応用できるという話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

実際「トラウマをヨーガで克服する」という書籍は、ヨガ指導者を中心に高く評価されています。

また海外ではPTSDをヨガで緩和するプログラムがさまざまな場所で実践されているだけでなく、医学的な研究も進められています。

まだまだ解明されていないことも多いのですが、ここではヨガがトラウマ解消に繋がるメカニズムに迫ります。

※ここでご紹介することはあくまでヨガインストラクターとしての活動の中での気づきに過ぎず、治療や緩和を保証するものではありません。ヨガでトラウマをケアする方法についてより詳しく知りたい方は、専門的に勉強されているインストラクターさんや心理学理、カウンセルリングと合わせて勉強している方にアプローチしてください。

「トラウマ」や「嫌な感情」はそもそもどこに存在しているのか?

「トラウマ」や「嫌な感情」はそもそもどこに存在しているのか?

個人的には生きていく上で大きな障害となるようなトラウマは持っていませんが、ヨガの練習を通して(それは特定のポーズの練習中や誘導瞑想の最中などに起こることが多いのですが)、忘れていた昔の記憶を突然思い出すことがあります。

特にヨガニードラの最中やインヨガ・リストラティブヨガのような動きの少ないヨガをしているときに、古い記憶が呼び起こされることが多いように感じます。

このことについて私自身、自分の先生に質問をしたことがあります。

その時に教えてもらったことが「記憶は心ではなく筋肉などの肉体にも宿る」ということでした。

さらに「ヨガの練習を通じ、普段動かさない筋肉を動かし、日常生活ではしないような動きを取り入れることで、動きのせいで筋肉に閉じ込めていた記憶がまるで浮き上がるように蘇り、それがうまく昇華されると、例えばトラウマのようなものもふっと消えることがある」、という説明を受けたのです。

ヨガのクラス中に、古傷を思い出す人は少なくない

ヨガのクラス中に、古傷を思い出す人は少なくない

「記憶は心ではなく筋肉などの肉体にも宿る」ということに、私は非常に納得しています。

例えば、自転車の運転や車の運転など体で覚えたことは忘れにくく、しばらく運転から離れていてもハンドルを握ると割とスムーズに元に戻れるのは、おそらく筋肉に記憶がストックされているからだと思うのです。

またヨガをまったくはじめて行う生徒さんの多くが「健康です」とか「どこも悪いところはありません」といってクラスに参加されますが、クラスが終わる頃には「学生時代に怪我をした膝がちょっと痛かった」とか「昔、交通事故で鞭打ちをしたところが気になった」とか、古傷の記憶を突然思い出して共有してくれるケースも非常に多いのです。

ヨガのクラスで突然涙を流す人も少なくない

ヨガのクラスで突然涙を流す人も少なくない

ヨガでトラウマケアをしようと思っていなくても、例えば、インストラクターがクラスのテーマの話をしている時や、ヨガ哲学の話をしている時などに、突然涙ぐむ生徒さんも割と多くいますが、これも先生の話が何かのトリガーになって、生徒さんの古い記憶を引き出して心を揺さぶった結果だと思います。

一般的なセラピーだと、そこで対象者さんにはとことん話をしてもらうなど、感情を吐き出すような誘導をすることが多いようです。

しかし、ヨガは違います。

実際にトラウマを解消するためのヨガのクラスではどのようなアプローチをしているかわかりませんが、そうではなく一般的なクラスの最中に生徒さんが涙を流したとしても、インストラクターはティッシュくらい渡すかもしれませんが、基本的にはその方だけに構っていられないので、そのままクラスを進めるでしょう。

これによって、涙を流した生徒さんはそこに留まることなく、再び自分の呼吸や肉体に意識を戻し、自分と向き合うことができます。

こういったことはクラスを行なっていても、私が生徒としてクラスに参加していても割とよく起こります。

このような場面を見るたびに、私はどんなヨガクラスであってもトラウマや嫌な記憶、嫌な感情をデトックスする効果があると感じているのです。

ヨガによる肉体のケアでトラウマが解消されるメカニズム

ヨガによる肉体のケアでトラウマが解消されるメカニズム

このような個人的な経験を通し、私が感じていることは、強い記憶や感情は肉体にも宿っているということ。

そしてそれは普段は蓋をしていたり、気づかないふりをしているけれど、動かしてみると痛みや強烈な記憶となって表面に出てきやすいということです。

もちろん、そこでもう一度蓋をすることもできますが、マインドフルネスに淡々と、痛みや苦痛を伴う部分を動かし、その痛みが肉体的なものなのか、感情的なものなのか、自分を見つめて見極めていき、さらにインストラクターの誘導も参考にしながら動きを深めてみたり、少し緩和してみたり、調整を加えていく。

このヨガを通じたボディワークが、結果としてトラウマの解消につながるメカニズムなのではないかと考えています。

痛みや嫌な感情に飲み込まれている状態はまさにトラウマの真っ只中ですが、それを冷静に自分で見つめることができるとそれはセラピーに変わると思うのです。

体のどの部分にトラウマは残りやすいのか

体のどの部分にトラウマは残りやすいのか

これもあくまで個人の感覚ですが、喉や首を使うポーズ(ライオンのポーズ、鋤のポーズやショルダースタンド、音を出す呼吸法や、マントラを唱えるなど)、胸を開くポーズ(コブラのポーズやラクダのポーズなど)、太ももの後ろハムストリングスを使うポーズ(パーシュボッターアーサナ、ハヌマーンアーサナなど)、をするときに、生徒さんの多くがつまづいたり、拒否感を示したり、ときに涙することが多いと感じます。

つまり、喉・首・腿裏〜腰あたりにトラウマを残している人が多いのではないかと感じています。

私自身、どんなに練習をしても動かしにくいパーツやどうしても可動域や柔軟性が上がらないパーツがあり、これは骨格や体格の問題の可能性もありますが、一方で、心が制限をかけている可能性も大いにあると自覚しており、これは自分でも気づいていないトラウマと関係しているのかもしれません。

ヨガでトラウマがケアできるのか?

ヨガでトラウマがケアできるのか?

私はイエスだと思っています。

ヨガでトラウマを解消するのは時間がかかるかもしれませんし、有効な方法かどうかもわかりません。

トラウマが解消できたとしても、それはヨガのさまざまな効能の中でも「おまけ」のようなものだと思います。

ただ、日々、自分の肉体と向き合うことで、心の声を聞いてあげられることに間違いありません。

悲しかった記憶を思い出し、そこに向き合うのは容易ではありませんが、単純に肉体と向き合いそこから何らかの記憶が出てくる場合、それは辛い作業ではなく、誰かに受容してもらったような安心感の方が大きいと感じます。

私の場合ヨガの最中に嫌な記憶を思い出しても「ああ〜そうだったね」「あの時は辛かったね」「思い出したよ」「でももう大丈夫」という気持ちになれるのです。

この辺りはあくまで個人の経験ですが、ヨガがセラピーでもあるというのは間違いないと思っています。

みなさんもヨガをしていて、何かを思い出したり、涙が流れたりすることがあると思います。

それは間違いなく癒しであり、浄化でもあると思います。

トラウマ解消のためにヨガを行うのではなく、日々のヨガを通じ、自分の内側にためているネガティブな記憶や感情を、無理なく、ゆっくり手放していければ良いのではないでしょうか。

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