ここでは生理中のヨガの可否についてだけでなく、生理期間の不快感を緩和するヨガ的なアドバイス豊富や、生理痛を緩和するヨガのポーズについて紹介していきます。
生理中にヨガをしていいかどうかは流派によって考え方が異なる
ヨガにはさまざまな流派がありますが「生理中にはヨガをすべきではない」と明確に教えられている流派もあります。
ただ、多くの女性インストラクターは「生理中にヨガをしても問題はない」と感じているはずです。
生理中にヨガをしてはいけないとされる理由には大きく3つあります。
1つはヨガの伝統的な考えによるもの、2つは生徒さん自身の体調によるもの、3つはポーズの影響によるものです。
まずはそれぞれの理由について細かく解説していきます。
インドヨガの伝統的な考え方によるもの
ヨガとはもともとインドの男性が修行目的で行っていたものです。
そのため現在でもインドでは、ヨガ人口は女性より男性の方が多いとされます。
またインドには昔から「不浄」という概念があり、特に生理中の女性は「不浄」とみなされてきた伝統があります。
そのため今でも「生理」の話はダブーとされているようです。
男性の方が多いヨガの場において、「不浄」とされている生理中の女性が神聖な練習の場(アシュラム)に参加することは当然タブーとされ、それがそのまま「生理中のヨガは禁止」という解釈になり、そのまま現代に伝わっていると考えられています。
生徒さん自身の体調によるもの
経血の量は月経中の不快感は個人差が大きいものです。
多くの女性は、仕事を休むほどではないけれど、なんとなく体調が優れないというところではないでしょうか。
だるい、熱っぽい、重い、腰痛、頭痛などの痛みがあると、当然「ヨガをしよう」という気分にはなれません。
そんな時に無理にヨガをすると怪我の原因にもなりかねません。
また、途中でトイレにいきたくなったり、経血が漏れたりするのではないか?と不安になる生徒さんも多いようです。
無理にクラスに参加してストレスを感じるのであれば、休んだほうが良いことは言うまでもありません。
ポーズの影響によるもの
特に逆転のポーズ(中でもお腹より下の下半身が心臓よりも上になるポーズ)は、生理中によくないと教えるインストラクターが多くいます。
例えば、ショルダースタンド(肩立ちのポーズ)やヘッドスタンド(頭立ち)、ハンドスタンド(逆立ち)、ハラアーサナ(鋤のポーズ)などは、全て心臓より脚が上になる逆転のポーズですが、これらを行うと「血流が逆流してしまい、ポーズの後に経血が漏れやすくなる」と言われたりします。
でも、座っている姿勢で立ち上がった時や、横たわっている状態から起き上がった時も、経血が「どっ」と流れることはあり、逆転をしたら経血は流れ落ちやすくなるということは解剖学的には「不明」とされています。
なんとなく、逆転のポーズをするとその間、経血も「逆転」状態になるので、体に悪いイメージを持たれているようです。
生理中のヨガがNGの流派でなければ、生徒さんに決めてもらうべき
上記のような背景を頭に入れつつ、生徒さんにヨガ中のレッスン参加の可否を聞かれたら「体調が良ければ参加してもらっても問題ないです」と伝えましょう。
生徒さん自身に判断してもらうのが一番だからです。
一方、インストラクター側は、生徒さんが生理中であることを把握していると、逆転のポーズを外したり、動きが少なくても心身が軽くなるようなシークエンスを提供することができるので、生徒さんの生理情報を共有してもらえるのはむしろラッキーなことです。
もし生徒さんから相談があったら「生理中でもクラスに参加したい理由」をぜひ聞いてみてください。
むくみの解消、気分の落ち込みの解消、便秘の解消など、何か目的があるはずで、ヨガでお手伝いできることがあると思います。
ただし、ホットヨガや岩盤ヨガなど、全身から発汗を促すヨガは生理中に行うのは難しいと思います。
サップヨガも同様です。もちろん、インストラクターはタンポンなどを利用して月経中もインストラクションをしているので、できないことはないと思いますが、100%快適なヨガとは言えないでしょう。
→生理中にヨガをしても大丈夫?気になる生理中のヨガについてヨガインストラクターが解説
生理中の不快感をなくすポーズは側屈系と骨盤系
生理中の不快感軽減に役立つ代表的なポーズは側屈系のポーズと骨盤系のポーズです。
体側をたっぷり伸ばす側屈を行うことでリンパの流れをよくするので、老廃物の排泄に役立ちます。
また、体側を伸ばすことは呼吸を深くするので、リラクゼーションや自律神経調整効果も得られます。
骨盤系のポーズには足の裏を合わせる合せきのポーズや開脚などがあります。
骨盤周りを刺激することで、骨盤内の血流を促進させるので、月経中のどんよりと重たい骨盤内をリフレッシュさせてくれるでしょう。
もちろん仰向けでのツイストや、仰向けで脚上げを行うのもむくみの解消などに効果的です。
生理の不快感を強めないために注意すべきこと
生理中のヨガで注意すべきことは、あまりに激しいヨガはしないということ。
血流が良くなりすぎることで、いつもより頭痛が起こりやすくなったり、月経中は貧血気味ですから立ちくらみのようなことが起こる可能性もあるからです。
ナプキンがずれたり、タンポンが気になったりするのも激しい動きをした時です。
またヨガは基本的に裸足で行いますが、足元を冷やすことで生理痛が強くなることもあるので、レッグウォーマーをつけるなど、冷えないように対策すべきです。
生理の生徒さんには適切なアドバイスを
個人的には生理中でも軽いヨガをすることで、生理の不快感をほとんど感じずに過ごせると思います。
しかし、生理は経血量も痛みも個人差が大きいもの。ヨガをしているからと言って、必ず生理が楽になるということはありません。
月経血コントロールヨガなどもありますが、誰もができるわけでもありません。
「ヨガで生理痛を解消!」と、ヨガを薬のように伝えるのもおすすめできません。
あくまでセルフケアやリフレッシュとしてヨガを上手に取り入れるよう、インストラクターとして適切なアドバイスができるように心がけましょう。