例えば「耳鳴り」で検索すると人口の2〜3%に当たる300万人もの人が耳鳴りの悩みを抱えていると報告されます。
ここでは、セルフケアで耳鳴りやめまいの辛さを緩和し、そして予防するアーユルヴェーダ的「耳ケア」についてご紹介しましょう。
アーユルヴェーダで「耳」は「ヴァータ(風)」を司どる
アーユルヴェーダでは耳の問題は「ヴァータ性の疾患・不調」と考えられます。
「ヴァータ」といえば「冷たさ、乾燥、動き」といった要素を構成しますが、例えば忙しすぎていつも以上に動きすぎている、体が冷えているのにケアを怠る・冷たいものを飲食しすぎる、乾燥が進む季節なのに保湿を怠たる、作りたてのものではなく乾いた食品ばかり摂取するなど、過度にヴァータの要素を増やすような生活をすることでヴァータが過剰になり、耳の調子を悪くさせると考えられているのです。
少し話がそれますが、アーユルヴェーダではドライアイや疲れ目、かすみ目といった目のトラブルは、ピッタ(火の要素)が過剰になるような生活をしているサインだと考え、鼻炎や咳などの呼吸器系のトラブルはカパ(水の要素)が過剰になっているサインと考えます。
秋冬はヴァータのエネルギーが強くなる季節
一年の中で秋冬は何もしていなくてもヴァータが強くなる季節。
空気が乾燥し、風が冷たく強くなり、気温が低くなるというのはまさにヴァータのエネルギーが増している状況です。
そうなると腰痛など元々抱えていた痛みは増し、肌の乾燥も強くなり、手足は冷え、循環も悪くなります。
他にもヴァータが増えすぎると起こる症状として「冷え、肩こり、頭痛、関節痛、めまい、難聴、声枯れ、不安、憂鬱、不眠、神経痛、痺れ、震え、免疫力の低下」などがあり、いずれも秋冬に起こりやすい症状であることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
秋冬にこそヴァータを下げるべき、その方法は?
冬はヴァータが強くなり、耳鳴りやめまいを含めた不調が起こりやすい季節であることが分かったと思いますが、いったいどうすればヴァータを減らせるのでしょうか。
アーユルヴェーダでは以下のような方法を薦めています。
- 人肌程度に温めたオイルでのマッサージ
- 食事の時間を規則正しくする
- 休息や休憩の時間、何もしない時間を積極的に作りのんびり過ごす
- スケジュールを詰めすぎない
- 湯船に長めに浸かる
- 暖かいスープなどを毎食いただく
つまり、ヴァータの要素「冷たさ、乾燥、動き」とは真逆の「温かさ、潤い、重さ、安定」といった要素のものを食べ物からも外側からも加えてあげることが効果的です。
耳のオイルマッサージ「カルナプールナ」は特におすすめ
特におすすめなのが耳のオイルマッサージです。
もちろん時間があれば全身のオイルマッサージが効果的ですが、時間がない時や、耳鳴りが気になるときはまず耳だけでもケアしてあげましょう。
インドやスリランカのアーユルヴェーダ施設では耳のオイルケアを「カルナプールナ」といい、専門家が耳のオイルケアをしてくれるコースもあります。
国内ではなかなかないと思いますが、セルフでもできることがあります。
以下の手順でぜひ耳のセルフケアをしてみてください。
全てが同じようにできなくても、できる範囲でやれることをやってみてください。
用意するもの
- 太白胡麻油
- コットン
- ホットタオル
- ラップ
やり方
- ホットタオルで耳を温め、耳全体だけでなく耳の後ろの後頭部あたりも温めほぐす
- 人肌程度に湯煎で温めた太白ごま油(セサミオイル)を手に取り、耳全体、耳の中、耳の後ろまでをしっかりマッサージする
- 温めたオイルにコットンを浸す
- オイルでひたひたになったコットンを丸めて耳の穴に入れる
- コットンを入れたまま、ラップで耳を包みホットタオルで耳を温める
- ホットタオルが冷めたら耳からオイルコットンを抜き、タオルで余計なオイルを拭き取って、クリームを塗って終了※両耳同時に行いましょう。
オイルでもクリームでも耳をマッサージしてあげるだけで頭全体がスッキリする、顔の強張りがとれるといった効果もありますが、使用するオイルやクリームについては「あたたかいもの」という点だけは守ってください。
なぜなら耳を冷やすと耳鳴りの音が大きくなる、目まいがひどくなる、という人が案外多いからです。
温かいオイルやクリームを用意することができないのであれば、レンジで1〜2分温めたホットタオルで耳をほぐすだけでも効果があります。
カルナプールナ(耳のオイルケア)効果のメカニズム
耳の内側には内耳と呼ばれる器官がありますが、内耳は聴覚を司るだけでなく、平衡感覚や気圧の変化をキャッチする役割もあります。
耳が冷えて血流が悪くなると、内耳のリンパ液の圧が高くなり耳鳴りやめまいの原因となるとされているのです。
耳を内側と外側から温め、ほぐしで緩めることで内耳の血流がよくなります。
これが「カルナプールナ」で耳鳴りや目まいを緩和することができるメカニズムになります。
まとめ
他にも秋冬はイヤーマフをする、耳の部分を覆うタイプのニット帽などを使うなど、耳をできるだけ冷やさない生活を寒い時期ほど意識すると良いでしょう。
最近はマスク生活で耳に重さやストレスがかかっています。
終始イヤホンをしている人も耳には相当なストレスです。
意識的に耳をやすませ耳をケアすることで、耳鳴りやめまいはセルフケアできる可能性もあります。
もちろん、あまりにひどい時は専門医に相談してください。