そのため何を食べるか、いつ食べるか、何と食べるか、どのように食べるか、など、食べることをあらゆる角度から大切にしています。
ここでは食べる行為の中でも「咀嚼」にフォーカスし、そのメリットやダイエット効果についてご紹介。
咀嚼だけで痩せるって本当なの?
咀嚼、つまり食べ物をよく噛んで食べるだけで痩せるというのは嘘ではありません。
有名な料理評論家や食事レポーターなどの仕事をされている人は食べる量が多くなりがちですが、食後に必ずガムを食べて咀嚼の回数を意図的に増やすことで、体重と体型をキープするというテクニックを採用している人が少なくありません。
また先日SNSで某女優さんが、一口100回の咀嚼を実践することでデトックスを実施。
1日2合も玄米を食べているのにダイエットに成功していると投稿し、多くのファンからその驚くべき効果についてコメントが寄せられていました。
このように、食べる量を変えたくない人にとって咀嚼は味方になることは間違いないのです。
咀嚼の驚くべき効果
そもそも咀嚼には大きく8つの効果があることが報告されています。「1:胃腸の働きを活性する」「2:口腔内環境を衛生に保つ」「3:肥満を予防」「4:脳の働きを促進」「5:若返り」「6:全身の運動効果」「7:がんの予防」「8:言葉の発達」です。
胃腸の働きを活性する(咀嚼の回数=胃腸の運動数)
咀嚼をすればするほど胃腸は動きます。
胃腸の運動(消化)で使用される消費カロリーは基礎代謝の大部分を占めますので、噛めば噛むほど胃腸が動き、代謝が上がるのです。
口腔内環境の衛生を保つ
咀嚼をすることで唾液が分泌され、虫歯や歯周病、口臭の予防に働きます。
肥満を予防
咀嚼によって満腹中枢が刺激されるので、空腹感を和らげ、食欲を起こしにくくします。
脳の働きを促進
口と脳は近いので、咀嚼をすることで脳の血流が促進され、記憶力が向上し、子供であれば知能の発達をサポート、高齢者は認知症を予防するのに役立ちます。
若返り
パロチンという成長ホルモンの一種である成分が、咀嚼によって分泌されます。
パロチンは若返りホルモンの一つで歯の再石灰化や、皮膚・目・髪などの新陳代謝を促進させます。
全身の運動効果
咀嚼は最も小さい全身運動とされます。
歯や顎のトラブル、食べ物の変化で咀嚼が減る、咀嚼が疲れる、咀嚼がしにくくなると感じたら、全身の運動機能の低下サインの一つと捉えて良いでしょう。
がんの予防
咀嚼でよく分泌される酵素の一つ「ペルオキシダーゼ」が、食品由来の発がん物質を抑制することが確認されています。
言葉の発達
お子さんの場合言葉の発達を促しますし、高齢者にとっても、口を開けてしっかり発語することは加齢とともに難しくなってきます。
咀嚼をして普段から口をよく使うことが、適切な発語の機能維持に不可欠です。
そもそも、なぜ咀嚼をするべきなのか?
このように咀嚼にはさまざまな効果があり、この効果を知るだけでも「もっとちゃんと咀嚼しなくちゃ!」と感じた方が多いと思いますが、ヨガやアーユルヴェーダでは咀嚼の一番の役割は「消化を手伝うため」と考えられています。
胃腸の働きを活性する、と同じ意味ではありますが、なぜ咀嚼によって胃腸の働きを助ける必要があるかをよく考える必要があります。
そもそも口に入るものは、体にとっては食品であってもすべて「異物」です。
その異物には、ウイルスや見えない細菌が付着しているかもしれません。
あるいは胃腸では消化できないもの(食物繊維など)が含まれているかもしれません。
口の中に入れた食品は全て食道→胃→腸の順番で体内を運ばれ、最終的に不要なものは便になって排出されます。
熱い食べ物も、冷たい食べ物のも、辛いものも甘いものも、固形物も流動物もすべてこの順番で体内を移動し、最後不要なものは便となって排出されます。
あらゆる食品を体内で別の形に変形させ、最終的に不要なものを便として排出させるプロセスが消化です。
そして便の温度は、ほぼ体温と同じです。
どんな食べ物も最終的に36度前後の便の形にして排出させるという、消化のプロセスは相当大変で負荷がかかるものです。
イメージできるでしょうか?
だからこそ、食道に流す時にはなるべく食品は流動する形が望ましいのです。
大きければ大きいほど硬ければ硬いほど、胃や腸には負担になりますし、消化にも時間がかかります。
消化に時間がかかるということは、それだけ体内に不要なものが残ってしまう時間が長くなるということ。
この不要なものが毒となり病気の元になる、とヨガでもアーユルヴェーダでも考えてられているのです。
咀嚼だけで痩せるメカニズム
咀嚼をするというのは、口に入れたものからすみやかに栄養分を取り出し、不要なものはすみやかに外に排出させるのに最も効果的な方法であり必要な行為です。
そして咀嚼をすればするほど満腹になり、虫歯にならないような酵素が分泌され、脳や運動機能も活性し、体内では見えない胃や腸まで動いてくれます。
咀嚼という単純な行為は、全身の健康の鍵を握っていると言っても大袈裟ではありません。
どんなものを食べようと、咀嚼さえしっかりすれば食べ過ぎることはなく、また不要なものが入ってきてもそれは体内に余分に蓄積されることなく外に排出されるように人間の体は作られているのです。
さらにこのために使われるエネルギー量も増え、自然に痩せていきます。
痩せなくても太ることはないのです。
咀嚼を日常で意識しよう
咀嚼にはこれだけのパワーが秘められていますが、私たちはそれを軽視しています。
咀嚼をするだけで人生が変わったという人もいますが、そこまで咀嚼の効果を感じるにはやはり一口で30回以上を「当たり前」にする必要があります。
しかし咀嚼は難しい!
なぜなら市販の食品の多くが、歯応えよりも「柔らかく」「とろけるような」食品ばかりだからです。
せめて飲み込む前に「あと10回!」を意識してみるのはどうでしょうか。
咀嚼の回数が一口30回に満たなくても、回数を増やすことに意味があります。
お子さんを育てている方であれば、咀嚼が習慣として身につくように一緒に「よく噛んで」を合言葉に食事時間を楽しんでほしいと思います。