現代女性は生涯に400〜500回も月経を経験するとされますが、ほとんどの女性が月経を煩わしいものと感じているようです。
この月経と上手に付き合うのにもヨガは役立ちます。
その一つに「月経血コントロールヨガ」という方法があるのです。
ここでは月経血コントロールヨガについて詳しく解説し、その驚くべき効果についてもご紹介。
ぜひ試してみてくださいね。
そもそも月経血をコントロールすることができるの?
近年「月経血コントロールヨガ」を専門で教える先生が増えています。
修了証をもらえるものから、簡単なワークショップタイプまで、さまざまな場所で学べるようにもなっています。
しかし、そもそも月経血をコントロールすることはできるのでしょうか?
「月経血コントロール」という言葉は疫学者の三砂ちづる先生が著書の中で使ったことがはじめのようで(諸説あり)、2004年にベストセラーとなった「オニババ化する女たち」の中に「昔の女性は月経血をコントロールしていた」というエピソードが紹介されています。
さらにこの本の中では明治時代に生まれたある女性が当時ナプキンはなかったので「丸めた綿」を膣のところにちょっと詰めていたこと、この本が発刊当時に60代後半の芸妓さんが、月経の時に上質な和紙を丸めて膣に詰めていた話などを証言しているのです。
とはいえ医師であっても「そもそも月経血はコントロールできない」と断言する人もいて「エビデンスのない話」と月経血コントロールに批判的な意見があるのも事実です。
また現代女性の多くが「月経血はコントロールできないもの。生理中、血液は垂れ流し状態が当たり前」と考えているようです。
中には月経血コントロールは体に悪い、ということを主張している人もいます。
月経血を完全にコントロールするのではなく、意識して過ごすことが大切
私自身は月経血のコントロールができていると思いますが、それは完全に排尿や排便と同じようにコントロールできているわけではありません。
なんとなく月経血をトイレで排泄するタイミングが掴めている、と意味です。
それでも月経血の多くをトイレで排泄できるので「月経期間が短い」「生理痛がほとんどない」「ナプキンがそこまで汚れない」「夜間の経血の漏れがない」「トイレでの粗相などもない」「月経前症候群もほとんどない」など、たくさんの恩恵を受けています。
三砂先生も、月経血コントロールについて「経血を意識して溜まった感覚があればトイレで出せる」とはおっしゃっていますが、「経血を膣内に尿のように溜めておくことではない」「まったく下着を汚さないということではない」と話しており「月経血コントロール」という言葉が「月経血を完全に止めたり出したりできるという意味に誤解されている」ことについても指摘しています。
つまり、月経血コントロールとは「ある程度意識して管理できること」であり「経血の排出を完全にコントロールすること」ではないのです。
月経血コントロールヨガとはどんなヨガ?
骨盤底筋を鍛えよう
さて、世の中で普及している「月経血コントロールヨガ」では主に骨盤底筋群のトレーニングを学びます。
骨盤底筋とは会陰から肛門のあたりにハンモックのように広がる筋肉で膣や子宮を含め内臓を支えている筋肉です。
骨盤底筋は筋肉ですから、使わないと老化してしまうだけでなく、女性は特に出産によって大きなダメージを受ける筋肉です。
産後の女性は骨盤底筋のトレーニングを継続しなければ、将来的に尿もれや子宮脱などのリスクが高くなるとされていますし、フランスではこの産後の骨盤底筋トレーニングが保険適用で学べるそうです。
日本でも出産経験の有無に関わらず40代くらいから多くの女性が尿もれに悩むとされますが、骨盤底筋のトレーニングは泌尿器科でも必ず指導される運動で、毎日5分程度を1ヶ月続けることで尿もれが改善するというエビデンスもあります。
具体的には呼吸に合わせて、息を吐くときに会陰のあたりをお腹の方向に引き上げる。息を吸う時に緩める。これを繰り返します。
これはヨガの「バンダ呼吸」とほとんど同じなので、ヨガを練習している女性は自然と骨盤底筋が鍛えられている可能性が高いといえるでしょう。
他にも排尿時に尿を途中で止めるような動きも、骨盤底筋トレーニングのベーシックな方法です。
骨盤底筋のトレーニングにプラスしてほしい「排泄のタイミングの意識」
骨盤底筋のトレーニングにプラスして欲しいのが「排泄のタイミングの意識」です。
まず、月経期間中は必ず1時間半以内に1回トイレに行くようにしてみましょう。
生理がはじまったら、その後は1時間〜1時間半くらいのタイミングで、膣のあたりを意識するようにします。
すると、大体それくらいの時間で、経血が溜まっている感じがわかるようになってくるはずです。
何も感じなくても1時間半以内にトイレに行ってちょっと腹圧をかけると、経血がどっと出てくるはずです。
経血を出し切ったらまた1時間半くらいでトイレに行く。
これを繰り返すだけでもナプキンはほとんど汚れないでしょう。
これに慣れてくると経血が溜められる、コントロールできる、ナプキンがそこまで汚れない、の意味がわかるはずです。
近くにトイレがなく1時間半過ぎてしまった時などは、膣のあたりが重く感じられるようにもなるでしょう。
月経血コントロールヨガのメリット
月経血コントロールができるようになると、もちろん個人差はありますが生理期間が短くなる、PMSや生理痛が軽くなる、ナプキンの使用量が減る、においの問題が気にならなくなる、お風呂での粗相が起こりにくくなる、など、多くのメリットが得られます。
ナプキンが汚れにくくなるので、布ナプキンに変更する人も多くいます。
私個人は、生理期間が非常に短くなり、初日をピークに3日目はナプキンではなくパンティーライナーで対応できるほどです。
また、生理期間が30日のうちのたった2〜3日のことなので、それほど煩わしいものでもないですし、月に1回のデトックス期間としてポジティブに捉えられるようになりました。
ヨガで月経への考え方を変えよう
すでにヨガをしている人は、骨盤底筋への意識が高いですから、容易に月経血コントロールを習得できるはずです。
すると生理がそこまで大変とか煩わしいものではなくなります。
月経を「月に1回の大掃除」とか「体調のバロメーター」として捉えられるようになると、なんだか自分の体が愛おしく思えるはずです。
まずは「生理を意識する」ことからはじめてみてください。