筋膜の縮みやねじれを持続的な優しい伸びによって元に戻す筋膜リリースでは、筋肉が正しく動けるようになるため、身体の疲労回復にも効果を期待することができます。
ですが、一般的なストレッチとは異なるため、「そもそも筋膜リリースがどういうときに必要なのかわからない」「私はやった方がいい? それとも?」など、どんなときに行えばいいのか、自分には必要なのかわからないという声もよく耳にします。
そこで今回は、筋膜リリースをおこなうタイミングやどんな方にオススメなのかをお話していきたいと思います。
筋膜リリースには時間が必要!
まずは、筋膜リリースについてざっくりとおさらいしていきましょう。
筋膜リリースとは、“筋膜”の縮みやねじれを持続的な優しい伸びによって元に戻す方法のこと。
筋膜と筋の伸張性が回復して、筋肉が正しく動くためのサポートをしてくれます。
しかし、その構造や性質は複雑。
特に、筋肉のうえをウェットスーツのように覆っている“深筋膜”。
厚さは約1mmで、3層構造。
そして、弾性線維(エラスチン)と膠原線維(コラーゲン)からなるこの深筋膜は、姿勢や運動のコントロールにおいて重要な役割を担います。
さらに弾性線維は10秒ほどで伸びてくるのに対して、膠原線維の制限は90秒以上の時間をかけないとリリースされません。
伸びの最中、動きが止まるような感覚がしてくるのは膜に強度を与える膠原線維の制限によるものなのです。
つまり、筋膜リリースをするには膠原線維が伸張されるまでの十分な時間が必要になるというわけです。
→今さら聞けない筋膜リリースとは?効果が実感できる正しいやり方を解説
筋膜リリースをおこなうタイミング
続いては、筋膜リリースをおこなうタイミングについて。
必ずこのタイミングにということではないのですが、筋肉が温まっていると筋膜もまた温まっているので伸張しやすくなります。
なので、運動のあとや、入浴後におこなうとよいでしょう。
偏った筋肉の使い方をしたときや、同じ姿勢・悪い姿勢が長く続いたときなどにぜひおこなってみてください。
また、疲れを感じるときにも筋膜リリースはオススメです。
私たち現代人は休むことが苦手で、身体を酷使してヘトヘトになるまで頑張ってしてしまう方が少なくありません。
このような頑張り続けている状態は、筋膜を硬くしてしまいますので、一日の仕事のあとやちょっとした休憩時間におこなってみてはいかがでしょうか。
先にお話したように、筋膜リリースには時間を必要とするので自宅でゆっくりとおこなえるとなお良いのですが、椅子から立ち上がってさまざまな方向へ伸びをする、座ったまま腹部をねじるなどの簡単な動きでもOKです。
筋膜リリースをした方がいい人
次のような心身の不調に心あたりがある方は、筋膜リリースをおこなってみるとよいでしょう。
1:最近、リラックスできていない
筋・筋膜が緩むことによって、マッサージ効果や深いリラックス効果を感じることができます。
なかでも呼吸器筋である肋間の筋肉および横隔膜が弛緩すると、呼吸が深まってリラックス効果がより高まるでしょう。
肩を下げ、肩甲骨同士を中央に寄せるようにして胸を開くとさらに呼吸しやすくなりますよ。
→リラックス効果が高いヨガポーズ5選!緊張やストレスを抱える人におすすめのヨガ
2:身体の歪みが気になる
姿勢のクセによって隣り合う膠原線維同士の癒着が起こると、筋膜が短縮し、身体に歪みを作る原因のひとつになります。
左右で硬さが違うようなパーツがあれば、“硬い方”を重点的にリリースしてあげましょう。
3:ストレスを感じている
情緒的ストレスが身体に緊張を生じさせるように、身体的ストレスは情緒面での緊張を作り出すのだそう。
筋膜組織が身体的緊張から解き放たれると、情緒的にも解放されていくでしょう。
そこで試してもらいたいのが、身体の前面を伸ばす姿勢。
負の感情は、身体の前面を伸ばすことでもリリースできると言われているためです。
次のような姿勢で下を向いていた目線を引き上げ、呼吸を深めてあげると気持ちが前向きになるでしょう。
※ 頭をうしろに倒し、手で胸を引き下げるようにする
→「力を抜いて」ストレスケアするヨガポーズ3選!何事にも手を抜けず頑張り過ぎる人へ
4:免疫力や代謝を上げたい
皮膚のすぐ下にある浅筋膜には、毛細リンパ管や末梢血管が走っています。
浅筋膜の動きがよくなると、リンパ系の流れもよくなり、免疫力や代謝アップに期待できるでしょう。
では反対に、筋膜リリースを控えた方がよいタイミングや身体の状態は?
お酒を飲んだあとや体調が優れないとき(病中)、怪我をしているとき、身体に痛み・違和感があるときなどは筋膜リリースを控えましょう。
→ヨガでストレスを解消して免疫力を高めよう!免疫力を高めるヨガポーズ3選
筋膜リリースの方法
筋膜リリースの方法としては、
①静止した姿勢で
②身体を一定方向ではなくさまざまな方向へと解きほぐすこと
が大事なポイントになってきます。
例えば、ヨガのポーズ。
静止した姿勢で身体のねじりや伸びを意識するヨガのポーズは、筋膜リリースに適していると言うことができます。
各ポーズ5呼吸ほどキープすることが多いかと思いますが、筋膜をリリースするためにはもう少し長く。
90秒以上のキープ時間でおこなってみてください。
その際、強すぎる力(伸び)や無理な引きはがしは筋膜を痛める原因になるので気を付けてくださいね。
筋膜リリースで体の悩みを解消!
ここまで、筋膜リリースの効果や方法を説明してきました。
いろんな効能があるので、ぜひ生活に取り入れてみてください。