ですが、「筋膜リリースってそもそも何?」「やってみたけれど、何となく感じるこの効果の正体って?」など、イマイチよくわからないところが多いというのが本音ではないでしょうか。
心も身体もゆったり緩めてくれる筋膜リリースは、カチコチに凝り固まりがちな我々現代人が今まさに必要とするリラクゼーション法でもあります。
この記事では、筋膜リリースの詳しい解説と自宅で簡単にできるやり方を紹介していきたいと思います。
筋膜リリースのメカニズム
まず最初に、筋膜リリースがどういうものなのかをお話します。
“筋膜”とは
筋膜は、第二の骨格とも言われています。
皮膚が身体の外側を覆っているように、頭のてっぺんから足の先までネット状の線維で覆い、筋膜を介して身体の内側の骨や筋肉、内臓、神経、血管などを支えています。
もっと簡単に言うと、筋膜=筋肉の周囲の膜なのですが、皮膚の表面から表皮→真皮→皮下組織→筋肉と構成されるうちの“皮下組織”に浅筋膜があり、その下の筋束の束を深筋膜が覆うように位置しています。
筋膜はコラーゲン繊維とエラスチン繊維からなる
筋膜は、膜に強度と形態を与えるコラーゲン繊維と、形態記憶性と伸張性を与えるエラスチン繊維からなります。
コラーゲン繊維は伸張性がないスジ状の線維、エラスチン繊維は伸張性があるゴムのような性質の異なる繊維なのですが、特に前者は硬くなりやすく伸びるのに時間がかかるため、日常的にヨガやストレッチなどをする習慣がない方の多くは短縮してしまっていることが多いと言われています。
それが身体の可動域を狭めたり、歪みを作ったり、リンパの流れに影響を与えたりする原因のひとつになるのです。
また、短縮した筋膜は理論値で90秒以上の時間をかけて伸張してあげる必要があります。
大きく太い筋肉になるほど、その時間も長く必要になる(2~4分ほど持続的に伸張することもある)。
筋膜リリースで得られる4つの効果
筋膜リリースをすることによって期待できる代表的な効果には、次のようなものが挙げられます。
筋・筋膜の緩みによるマッサージ・リラックス効果
筋膜および、筋肉が緩むことでマッサージ効果が高まります。
また、肋間の筋肉や横隔膜が弛緩することで呼吸が深まり、深いリラックス感を得る効果にも期待できるでしょう。
筋膜の短縮改善による歪みの調整
姿勢のくせや過去の怪我などによる身体の歪みはコラーゲン繊維を癒着させ、筋膜を短縮させます。
筋膜リリースによって対象部位を伸張することは、歪みの調整にも役立つと言えるでしょう。
リンパの流れの改善
浅筋膜の動きが良くなるとリンパの流れが改善し、免疫や代謝アップにもつながります。
内臓器の不調改善
ディープフロントラインという内臓をまとっている腹膜とのつながりのある筋膜をリリースすることで、内臓器の不調改善に働きかけてくれます。
脳を活性化したいときや眼精疲労を軽減したいときは背面、呼吸を深めたり、負の感情を放出したりしたいときは前面の筋膜をリリースしてあげるのも良いとされているので、心や身体の状態に合わせて取り入れるのも良いでしょう。
身体の表層から深層まで連続して繋がりながら、立体的にすみずみまで張り巡らされる筋膜。
その縮みを持続的な優しいストレッチでリリースしてあげるのが筋膜リリースなのですが、“静止ポーズ”で“伸ばす”ということが大事なポイントになってきます。
次に、自宅で簡単におこなえるポーズを3つ紹介します。
自宅でできる簡単な筋膜リリースポーズ3つ
ポーズ①上肢・下肢の伸展
- 仰向けになり、両腕を頭上に伸ばしたら左右片側ずつ手と足を上下に引っ張り合うように90秒以上キープする。
ポイント
右手と右足、左手と左足がペア
ポーズ②腹部伸展
- 仰向けになってひざを立てたら、左足を上にして足を組む
- 足を左側に倒し、目線は右側に向けて90秒以上キープする。
- 反対側も同様におこなう。
ポーズ③胸部伸展
- あぐらの姿勢で座り、手を胸の前で重ねたら頭をうしろに倒して90秒以上キープする。
ポイント
手は胸を引き下げるイメージで。矢印の方向に引っ張り合うように意識しながらおこなってみてください。
筋膜リリースの効果とやり方解説まとめ
以上、筋膜リリースのメカニズムと自宅でできる簡単なポーズを3つ紹介しました。
今回紹介した3つのポーズのほかにも、ヨガのポーズには筋膜リリースに役立つものが非常にたくさんあります。
身体が無理に頑張り過ぎることなく、適度に心地よく引き伸ばされた感覚が得られるポーズを、いつもよりキープ時間を少し長くしておこなってみるのも良いでしょう。
身体が温まった状態だと筋膜もまた温まり、伸張しやすくなるので、お風呂上がりや軽い運動、ヨガであれば動的シークエンスの後などにおこなうのもオススメです。
筋膜リリースをおこなうときの参考にしてみてください。