ここではなぜ瞑想によって「集中力」と「生産性」が高まるのか。
そのメカニズムと、またどんな瞑想法が良いのかについて解説していきましょう。
集中力と生産性が低下しがちな現代人
瞑想を毎日練習すると、おそらく数ヶ月で体感できるようになることが、
- 頭が整理されている
- 思考がシンプルになる
ということです。
私たちの脳内は、乱雑なデスクトップ画面やアプリが溢れたスマホ画面に非常によく似ています。
「これも必要」「あれも必要」「これも気になる」「あれも気になる」といろいろなことを「キープ」している状態です。
気になることを同時進行で進めるのは仕方ありませんが、それぞれがきちんと整理されず、乱雑だと、私たちの集中力は途切れやすくなり、生産性が低下してしまうのです。
ほとんどの現代人はどうしても脳内が情報で溢れがちです。
例えば、仕事で気になることを調べようと思ってスマホを手にしても、まずいったんニュースページを経由してしまい、そこで気になるニュースをチェックしてしまう。
そのままネットサーフィンして、ようやく調べものに着手する。
このような経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
これでは1つのものを調べるのに、余計な時間がかかり、余計な情報まで入ってきて、とても効率的とはいえません。
脳内は乱雑になりがちなストックスペース
先の例で言えば、調べものをするために、スマホやPCのトップ画面からニュースサイトは削除する、あるいは音声入力などで直接調べたいことにリーチする、など、導線をシンプルに設計しなおすことで解決します。
しかし、実際はそのような整理整頓に至りません。
「グチャグチャ」な机の上を「面倒だし、そのままでいいや」「いつか片付ければいいや」と放置している人が圧倒的に多いのです。
もっと言えば、整理しても整理しても、脳とは情報のストックスペースでもあるため、すぐに乱雑になってしまう場所なのです。
集中力と生産性を高めるのになぜ瞑想が効果的なのか
脳を意識的に整理する時間が私たちには必要です。
情報社会に生きる人ほどその必要性は高まるはずです。
ではどうやって脳内を整理すれば良いのか。
脳にはそもそも「デフォルトモードネットワーク」といって、自動的に整理整頓してくれるシステムが備わっていることが解明されています。
しかし、情報が溢れすぎている脳では、デフォルトモードネットワークが過活動状態になり、脳がオーバーシュートを起こしてしまいます。
そこでこの過活動状態を意図的に休ませてあげることで、デフォルトモードネットワークの機能が正常になり、脳が整理整頓されやすくなることも解明されています。
そのもっとも簡単な方法が「瞑想」です。
とはいえ、特別な瞑想方法があるわけではなく、本サイトでもよく紹介されている「呼吸瞑想」を毎日のルーティンとして取り入れるのがもっとも簡単で効果的でしょう。
>>ヨガの呼吸法を習慣化するメリットと効果は?正しい呼吸法も丁寧に解説します
脳のデフォルトモードネットワークについて、もう少し知っておきましょう。
私たちの脳内は寝ている時もぼんやりしている時も含め、絶えず活動をしています。
ですから、人間の体の中で酸素の消費量が最も多いのは脳になりますし、脳は肝臓に続き消費カロリーが多い臓器でもあります。
そして近年、さまざまな脳科学の研究から、脳が酸素やカロリーをもっとも消費しているのは「何かに集中している時」よりも「ぼんやりしている時」であることが解明されています。
なぜぼんやりしている時に消費カロリーが増えるのか。
それはまさに脳のデフォルトモードネットワークと呼ばれるシステムが働いているからです。
私たちの脳は、ぼんやりしている時にこそ、勝手に脳が整理整頓をはじめ、乱雑になった「感情」「記憶」「意識」「無意識」「過去」「未来」を整理整頓してくれます。
脳のデフォルトモードネットワークがオンになることは必要ですが、これが過活動になるすぎると脳が疲れすぎてしまい、肉体的には「疲労が取れない」「深い睡眠が得られない」「不安で一杯になる」「無気力になる」といった症状が現れると考えられているのです。
つまり、集中力の欠如、生産性の低下に直結します。
脳のデフォルトモードネットワークを意図的に休ませてあげること、これは脳の消費カロリーを抑え、脳を回復させるのに必要なことであり、集中力や生産性を高めるのに必要なことなのです。
集中力と生産性を高める瞑想
不思議なことで、「何か一つのことに集中している時」に脳のデフォルトモードネットワークは活動が低下することが知られています。
つまり「呼吸」に集中する「呼吸瞑想」をするだけでも、脳のデフォルトモードネットワークを休ませてあげる=脳を休息させてあげあることができるのです。
脳内のデフォルトモードネットワークをしっかり働かせるために、デフォルトモードネットワークをあえてオフにする時間が必要ということです。
椅子または床に背筋を伸ばして座ったら、目を閉じて、息を吸う、息を吐く、に意識を集中させていきます。
最初の数分はすぐに意識が雑念に向きますが、それでも何度も意識を呼吸に戻します。
それを続けていくうちに、慣れてくると1〜2分で、最初の数ヶ月は15分くらいで、意識が呼吸に集中できるようになってきます。これが呼吸瞑想です。
そのまま呼吸瞑想を続けているだけでも良いですし、呼吸瞑想からさらに深い瞑想に入って行っても良いでしょう。
目的は脳を雑念から切り離し呼吸に集中することなので、呼吸に集中できる時間が1分でも2分でも維持できればOK。
練習を重ねていくうちに継続時間が長くなるので、慣れてきたら、5分10分と呼吸瞑想の時間を増やしていきましょう。
集中力と生産性を高める瞑想はいつ、どれくらいの時間すべき?
この瞑想をするのにおすすめの時間帯は朝の起床後すぐです。
朝は睡眠によって脳がだいぶ整理されている状態で、何も考えられないという人も多いと思います。
その状態だと、呼吸瞑想に入りやすいのです。
時間は呼吸に集中できるまでの時間プラス2〜3分でOK。
もちろん、慣れてくると気持ちが良くなり、10分でも15分でも続けられるようになり、中には毎朝1時間の瞑想が必要だという人も少なくありません。
一方、日中、仕事がピークに忙しい時間帯に敢えて呼吸瞑想を入れるのも効果的ですが、これはかなり上級者でないと「いやいや、仕事していた方が効率的」と思ってしまい、瞑想への意識が低下しがちです。
毎朝の瞑想をルーティンにしてその効果が体感できるようになれば、日中の瞑想も効果的に行えるようになるはずです。
それまでは少し朝の瞑想を頑張って継続練習してみてください。
呼吸瞑想で脳を整理して、生産性を高めましょう
脳内をスッキリ整理整頓するには「脳内のデフォルトモードネットワーク」を正常に働かせることが必要です。
しかし、私たちは情報社会に生きているため、デフォルトモードネットワークが過活動状態になっています。
脳内のデフォルトモードネットワークを正常にするには、敢えてデフォルトモードネットワークを休ませることが必要で、休ませるためにもっとも簡単な手段が「瞑想」であるということです。
呼吸瞑想の他に歩く瞑想でもデフォルトモードネットワークの活動は低下することがわかっているので、朝のルーティンに「歩く瞑想」を取り入れるのもおすすめですよ。