これらは、「漠然とした不安」がもたらす不調の一つです。
この不調を放っておくと、不安症や鬱など、精神的病いに発展することもあります。
今回は、漠然とした不安を解消する方法をご紹介します。
不安定なメンタルの時こそヨガは最適
例えば、
夜の就寝時に身体を休めたいのに、理由もなく急に不安になってしまい眠れない。
寝よう寝ようと思っているのに、気づけば時間だけが過ぎている。
また、何かの出来事や考えが頭から離れなくなり「忘れた方がよい」と思っても、頭から追い払うことができない。
気持ちを集中させることができないなくなってしまった。
さらには、現状に不安になる原因がないのにも関わらず強い不安感に襲われてしまう。なんてことはないですか?
そんな時はヨガが最適です。
ヨガには「何か」や「誰か」と自分を比べることをしないという教えが根底にあります。
「誰か」というのは「自分」も含まれます。
例えば、
「若い頃の自分はハヌマーンアーサナ(前後開脚ポーズ)を楽にできたけど、歳を重ねて身体が動かなくなった。昔の自分の比べて今の身体が嫌に感じる。痛いのに無理にポーズをとろうとする。」
こういったことも、過去の自分と比べている思考であり、不安定な心身を作っている原因の一つです。
ヨガでは、運動量の多いクラスも、リラックスクラスも共通した向き合い方があります。
それは「いかに今の自分の心と体の状態に気づいていくか」です。
気づきはいずれ「受け入れる」ことに繋がります。
その受け入れは本心からの「今に満足」という状態になります。
そうすると、メンタルは安定していくのです。
これは、決して諦めることではありません。
何か強い目標に向かって努力をしていたとします。
それは100%努力します。
しかし、結果が望んでいたようにはならなかったとしましょう。
そこで「望み通りにならなった」ということに執着をしないのが、ヨガ的捉え方です。
執着をしないので「また努力しても望む結果が得られなかったらどうしよう」というような「可能性の不安」に苦しむことはありません。
最大に努力したのであれば、自分はやりきったのです。
良い結果であれ悪い結果であれ、その結果は将来的に必ず良い結果として人生に返ってくる、という教えがあります。
そのような強いメンタルが手に入るのが「ヨガ」なのです。
不安や考えごとを吹き飛ばすヨガの瞑想・呼吸法
呼吸法によるメンタルコントロール
不安定なメンタルの時は、自律神経が乱れています。
自律神経というのは、緊張している状態を「交感神経」気持ちが落ち着いてる状態を「副交感神経」といい、どちらもバランスがとれていると、安定した心の状態を保てます。
「自律神経」は私たちの意思とは関係なく働き、内臓や体温などを調整しているため、気温の変化や、食事による影響でも、バランスが揺らぎ心がアンバランスになってしまいます。
眠りたいのに眠れない、すぐに起きてしまう!といった悩みがある場合には、「交感神経」が高ぶっているため「副交感神経」を高めるとバランスが戻り、健やかな心の状態に戻ります。
しかし、ヨガの呼吸法や瞑想によって「自律神経」を整えることができます。
呼吸は、自律神経のバランスを自分の意思で調整できる特別な方法なのです。
例えば、イライラしている時、不安な時は呼吸が浅くなっていますよね。
走っている時もそうで、呼吸は早く「交感神経」が高ぶっています。
意識的に、ゆったりとした呼吸をしてあげること、特に吐く息を意識して丁寧に吐き切ることで、浅い呼吸は徐々に深まり「副交感神経」のバランスがとれてくるのです。
また、ヨガでは呼吸法のことを「プラーナヤマ」と呼びます。
サンスクリット語のプラナという言葉とアヤマという二つの単語から成ります。
プラナは「エネルギー、生命力」、ヤマは「コントロール」という意味です。
生命力をコントロールしていくのが、プラーナヤマ(呼吸法)なのです。
その生命力は空気や酸素よりも小さいエネルギーで、ヨガにおける呼吸法とは肺の中に多くの酸素を取り込むのトレーニングではありません。
生命力を高めるために、呼吸法を使っているのです。
呼吸法の練習によって、まず肺が強くなります。
細胞が活性化しプラナ(生命力)の通り道であるナディが浄化され、心身共に健康になるのです。
漠然とした不安を抱えている場合、呼吸の際に、肺の一部分しか使用できておらず、呼吸を正しく行なえていません。
それにより、呼吸が浅くなり酸素もプラナ(生命力)も少ない状態です。
無意識に行っている酸素を少量取り込む呼吸から、意識的に酸素もプラナ(生命力)も取り込むようにコントロールしていきましょう。
瞑想によるメンタルコントロール
もう一つの方法は瞑想です。
瞑想とは、あちらこちらに動き続ける心を鎮めて、何かに心を集中させることです。
頭の中を巡っている「過去の記憶」や「未来への不安」といった思考(雑念)をストップし、今この瞬間に意識を留めていくことができます。
強力な方法ですが、初心者には非常に難しい方法でもあります。
しかし、瞑想には多くの種類があり、今回は初めての方にもやりやすい瞑想方法をご紹介します。
→イライラする時は瞑想がオススメ!イライラを鎮める瞑想術を徹底解説
呼吸法と瞑想に入る前の準備
ポイント
- 静かな場所で行うこと。
- 現状の中で、限りなく身体をリラックスさせること。
- いつの時間に行っても構いませんが、時間にこだわりたい方は伝統的なヨガの教えに基づき「夜明け」に練習してみましょう。
- 集中力が高まるため、できれば空腹時に行うようにしましょう(最初は気にせず食べた後でもok)
- 床でも、椅子でも構いません、できるだけ骨盤、背骨、首、頭を真っ直ぐに保って行いましょう。(呼吸法と瞑想の種類によっては仰向けでやってもok)
自然呼吸(呼吸法①)
座っても、仰向けで行っても構いません。
目を瞑りましょう。
やり方
- まずは3回、鼻から息を吸い、口からため息をつくように吐きます。4回目からは鼻から吸い、鼻から吐きます。呼吸をコントロールしようとせず、ただ今している呼吸を感じていきます。鼻からひんやりとした呼吸が入り、体内で温められた呼吸は出ていきます。その変化に気づきます。
- 鼻の次は喉に呼吸が流れて、肺にも広がるのを感じてみましょう。
- 胸が広がり、緩んでいくことを意識します。
- お腹にも少量呼吸が広がります。お腹が膨らみ、緩んでいくことを意識します。
- から④の意識の流れを1セットとして、行っていきます。
まずは3分間から始めてみましょう!
終えたら、ゆっくりと目を開けて呼吸法をする前と今とどのように心の有り方に変化が起こったかを感じます。
緊張を取り除く腹式呼吸(呼吸法②)
やり方
- 仰向けになり、目を瞑りましょう。
- 右手を腹部上、左手を胸の中心にあてます。
- まずは3回、鼻から息を吸い、口からため息をつくように吐きましょう。
- 4回目からは腹部に意識を向けます。息を吸うと腹部が膨らみ手の平へ感覚が強まります(この時無理に腹部を動かそうとしないように)。
- 吐く時には腹部が緩み手の平へ押し当たる感覚が弱まります。腹式呼吸を繰り返しながら、胸が膨らまないように意識してみましょう。左手へ胸が押し当たる感覚があれば、胸が動いている目安になります。
無理をせず、1分から始めて慣れてきたら2分、3分、4分、5分と増やしてみましょう。
終えたら、ゆっくりと目を開けて呼吸法をする前と今と、どのように心の有り方に変化が起こったかを感じます。
自律神経を整える鼻呼吸(呼吸法③)
鼻呼吸のことをナディー ショダナ プラーナヤマ(NADI SHODHANA PRANAYAMA)と呼びます。
座り姿勢で行いましょう。
やり方
- 目を瞑ります。右手を使います。
- 親指で右の鼻孔をおさえ、薬指で左の鼻孔をおさえ、小指は軽く折り曲げておきます。人差し指と中指を眉間にあてましょう。
- 薬指を外して左の鼻孔から息を吸い、吐きます。これを5回行いましょう。「自然呼吸」と同様に呼吸の流れ道を意識しながら丁寧に行うことを心がけてください。
- 次に、薬指で左の鼻孔をおさえ、親指を右の鼻孔から開放し、右の鼻孔から息を吸い、吐きます。これを5回行いましょう。
- 手をおろし、左右の鼻孔から息を吸い、吐きます。これを5回行いましょう。
ここまでの意識の流れを1セットとして、行っていきます。
まずは3分から始めて慣れてきたら4分、5分と増やしてみましょう。
終えたら、ゆっくりと目を開けて呼吸法をする前と今とどのように心の有り方に変化が起こったか感じます。
発熱時、風邪をひいてる時には行わないでください。
漠然とした不安をストップさせるジャーナリング瞑想(瞑想①)
ジャーナリング瞑想は脳の排水とも呼ばれる瞑想方法です。
私達の頭の中には絶えずいろんな思考が巡っています。
今目の前にあることを考えていると思ったら、次の瞬間には昨日のこと、一瞬後には食事のこと、仕事のこと、現実ではない憶測で人の感情までも考えます。
楽しいことだけなら良いですが、人間はマイナスなことを考えるようにできているため、頭の中で無意識にネガティブな思考のピラミッドが作られてしまいます。
その結果「漠然とした不安」に襲われてしまいます。
その絶え間ない思考を薄めていくのに最適なのが、思考を書き出していくジャーナリング瞑想なのです。
自分の思考に集中し、それを言葉にする事で巡るのではなく、意識することができます。
不必要に巡っていた思考は消えてなくなってゆくのです。
脳内の雑音が減って、ニュートラルな自分に戻れますよ。
やり方
- ノートとペンを用意します。
- 毎日決まった時間に3分〜10分間、頭に浮かぶことを止めることなく書き出していくこと。
- 自分の感情や気分、体調、悩み事、怒り、悲しみ、焦り、喜び、感謝など何でも良いです。
- 決めた時間内、ひたすらペンを動かして続けること。
- 普段は絶対に口に出さないようなことでもok
深いリラックス効果を得るボディスキャン瞑想(瞑想②)
ボディスキャン瞑想はインストラクターのガイドを聴きながら行う瞑想です。
声のガイドに集中するだけで良いので、初めての人もやりやすい瞑想方法ですよ。
自分の身体のすみずみまで注意を向けていくこの瞑想は、集中状態を作りやすく、脳の緊張(交感神経が優位)を深く緩めます。
脳派を眠る直前であるθ派(シータ派)まで緩ませるため、深いリラックス状態へと導いてくれます。
睡眠不足でお悩みの方にはおススメの入眠方法にもなりますし、「漠然とした不安」でいっぱいの頭から「今ここに」という頭にしてくれます。
マインドフルな時間を過ごしてください。
ヨガでメンタルを鍛えて不安を解消しよう
私たちの脳は日に6万回の思考をおこなっており、そのうちの80%が身を守るための未来への危険を予測しています。
ほとんどの時間、ネガティブなことを考えながら生きているため「不安」を感じやすいのです。
そんな脳の性質を理解して、足りない部分をケアをすることが必要なのだと思います。
すぐに始められる呼吸法と瞑想により、不安を解消してみませんか?