生徒さんに気持ちよくヨガプロップスを使ってもらうために、インストラクターができる工夫や声がけを集めました。
ヨガプロップス使用の誘導についてレベルアップしたいインストラクターさんは参考にしてくださいね!
なぜ生徒さんはヨガプロップスを使いたがらないのか?
ほとんどのヨガスタジオには、ヨガブロックやヨガベルト、瞑想時に座るブランケットや座布を用意していると思います。
どんな人でもヨガはできますが、体型や骨格、筋力や姿勢は人それぞれ個人差が大きいものですから、全員が全く同じポーズをすることは不可能で、できないポーズや苦手なポーズがあるのは当然です。
どちらかというと苦手なポーズになった時、あきらめるのではなく軽減したり類似ポーズで代用しながら、自分に合ったヨガを見つけていくことがヨガを続ける秘訣であり、ヨガの効果を得るコツとも言えます。
そして、そのためにはプロップスを有効活用することが求められます。
しかし、インストラクターが例えば「膝の後ろが床から離れてしまう人はブロックを置いて高さを調整してください」とか、「腰が丸まってしまう人はブランケットを丸めてお尻の下に敷いてください」と誘導しても、ほとんどの生徒さんはその指示に従うことはありません。
これはほとんどの生徒さんが「他人と違うことをしたくない」「自分だけ特別扱いされたくない」「自分だけできないことを認めたくない」と、プロップスを使うことに心理的抵抗感を持っているからです。
では心理的抵抗感をできるだけ減らし、気持ちよくプロップスを使ってもらうにはどうすれば良いでしょうか。
5つの工夫をご紹介しましょう。
生徒さんにプロップスを使ってもらうための工夫5つ
1.最初から配っておく
プロップスを当たり前に使ってもらうために、クラススタート時に全員にプロップスを配っておくことで心理的抵抗感をかなり減らすことができます。
マットと一緒にブロックやベルトを並べておくことで「使ってもいい」ではなく「使うのが当たり前」「積極的に使うべき」という雰囲気作りに役立つからです。
プロップスを「ご自由にどうぞ」という感じで所定の場所に置き、生徒さんが必要に応じて取りに行くというスタイルのヨガスタジオやクラスをよく見かけますが、このパターンだとほとんどの生徒さんがプロップスを遠慮して使いませんので注意が必要です。
2.任意ではなく使うべきポーズを教える
例えば最初のスッカーサナの時に、参加者全員に「ブランケットを丸めてお尻の下に敷く」というのをやってもらうようにしましょう。
ポーズごとに「届かない場合はブロックに手を」とか「膝が痛かったらブロックを」と、「あくまで任意で」プロップスの使用を誘導するインストラクターが多いですが、「使っても使わなくてもいい」ではなく「必ずプロップスを使う」ポーズをクラスの中で1つか2つ入れることで、クラスがはじまる前に自分からプロップスを手にとるようになり、プロップスを使うことの抵抗感を減らすことが可能になります。
スッカーサナの他に、トカゲのポーズ、三角のポーズ、開脚、前屈、ツイストなどもプロップスを「必ず」取り入れるのに効果的なポーズになります。
3.使わなかった場合と比較させる
プロップスを使う経験を全員にしてもらった後に、使わないバージョンで同じポーズを取ってもらいましょう。
すると比較ができます。
その状態で「プロップスを使わない方が安定する」という生徒さんだけ、プロップスを外しても良いことを誘導します。
それでも毎回「不要になる」とは限らず、体調などによって「プロップスを使った方が気持ちがいい」と感じる日もあるので、その日の自分に合わせてプロップスを使ったり使わなかったり、自ら選べるようになっていくことが理想的であることをお伝えしていきましょう。
4.「恥ずかしい」のマインドブロックを外す
プロップスを使うことに抵抗感を持っている生徒さんのほとんどが「恥ずかしい」というマインドブロックを持っています。
「他人と違って恥ずかしい」「人よりできないようで恥ずかしい」「体が硬いですとアピールしているようで恥ずかしい」。
この「恥ずかしい」というマインドを強く持っている人は、ヨガ以外の日常生活でも同じような苦労をしていることが多く「他人と違うことは恥ずかしい」というマインドブロックを持っているケースがほとんどです。
「他人と違うこと」の何が恥ずかしいのか。
「他人と違うこと」の何がいけないのか。
「他人と全く同じ」や、本当の意味での「平均」や「人並み」は存在するのか?
ヨガの練習をしていると、他人それぞれ体も感じ方も大いに異なることを目の当たりにしますが、これは「他人と違うことは恥ずかしい」というマインドブロックを外すのにも最高の訓練になります。
ヨガをしていれば、自分の呼吸のスピードと他人の呼吸のスピードは違うことに気がつきますし、体型も見た目も本当に全く同じ人などいないという当たり前を痛感します。
ですから、同じポーズをするのにプロップスを使った方が気持ちいい人もいれば、そうでない人もいるというそれだけのことで、そこに正解や優劣など存在しない、という話を繰り返す必要があります。
「恥ずかしいからプロップスを使わない」から卒業できれば、日常生活でも「他人と違ってOK」と思えるおおらかさが身につくはずです。
5.「頼ること」を学んでもらう
プロップスを使うのが苦手な人の中には「頼ることが苦手」「頼ってはいけない」「頼ることはサボること、怠けること」といったマインドブロックを持っている人もかなり多くいます。
ですから頑張り屋さんが多く、根性でなんとかなる、頑張ればなんとかなる、自分の力でなんとかなる、と思いがちな人が多いのです。
プロップスを使うことはサボることでも怠けることでもありません。
逆に言えば、必要に応じでプロップスを使える人とは「必要な時に必要な道具や必要なサービススを使える人」「それに感謝できる人」「できないことはできないと素直に認め、できるように工夫することができる人」という素晴らしい人が圧倒的に多いのです。
このようなお話をクラスのどこかで散りばめるのも、生徒さんのマインドブロックを外しプロップスへの抵抗感を減らすのに役立ちます!
まとめ
プロップスを使うことは「今の自分を知ること」、そして「自分のヨガを見つけること」に役立ち、ヨガのポーズの効果の恩恵を最大限に受け取れるようになるだけでなく、怪我のリスクを減らし、さらにはマインドブロックまで外すことに役立ちます。
たかがプロップスですがされどプロップス。
どのような気持ちでプロップスを使い役立てるかが日常生活でも影響を与えるので、上手にプロップスと付き合えるよう、生徒さんに誘導してみてください。