最近はヨガ保険に加入しているインストラクターも増えていますが、できればそんなものは使わずに怪我をさせることなくレッスンを楽しく終わらせたいですよね。
ここではレッスン中に生徒さんが怪我をした場合の適切な対応について一緒に考えていきたいと思います。
レッスン中に起こりやすい怪我やアクシデント
一般的なヨガのポーズの練習はそれほど難しいことをしませんので大怪我をするリスクはそれほどありません。
それでもレッスン中に起こりやすい代表的なアクシデントは次の3つあると頭に入れておきましょう。
筋肉の痙攣(つってしまった)
筋肉の痙攣の原因には次のようなものが考えられます。
- 準備運動が足りない。
- いきなり強度が強めのストレッチを行ってしまった。
- その部分に疲労が溜まっている。
- 普段使うことのない筋肉を意識して使おうとして筋肉が驚いた。
- 水分不足。
足の指や足の裏がつる人もいれば、お腹がつる人など場所はさまざまです。
そして、攣る人は大体「つりやすい人」で、ヨガ以外の日常生活でも割と頻繁に痙攣を起こしています。
ですので、クラスの最初の「つりやすい人は気をつけてください」とか「このポーズはつりやすいです」と事前にお話してご本人に気をつけてもらうなど、あらかじめ危険性が伴うことを認識しておいてもらうと良いでしょう。
転倒やふらつき
これは深い前屈から立ち上がる時、後屈の時や片足立ちのポーズの時に起こりやすいです。
急激な血流の変化や血圧の変動が原因です。
年齢が高い方や貧血傾向の女性に起こりやすいアクシデント。
そのようなタイプの参加者がいる場合は動きを慌てずに行うよう、必ず事前に誘導するようにしましょう。
少し早めのヴィンヤサなら、ある程度体が動き慣れている状態まで持っていって徐々に強度を上げることが大切です。
しかし、生徒さんに疲れが見えているのに激しいヴィンヤサを続けると、それはそれで転倒やふらつきのリスクを上げてしまうので見極めが必要です。
尚、貧血でもなく、若いのに転倒する場合は息を止めてヨガをしている場合が多いので、それも注意して呼吸の誘導を続けましょう。
片足立ちでフラつく分には転倒にまで至らないので、何か壁などに捕まりながら行うなどで対処しましょう。
オーバーストレッチによる違和感
開脚や前屈、後屈などにおいて自分の可動域より伸ばすと気持ちがいいのですが、それが微妙なラインでオーバーストレッチになることも。
生徒さんが自分でストレッチをしている時にオーバーストレッチになることはあまりないですが、インストラクターが良かれと思ってアジャストを行ったときにオーバーストレッチになるとかなり問題です。
アジャスト(生徒さんの体に触れて負荷をかける)をするのであれば、生徒さんに様子を伺いながら正しい知識を持って行う必要があります。
アジャストに自信が持てないならアジャストはむしろ行う必要はないでしょう。
例えばフィットネスクラブでのヨガはアジャストをほとんどしません。
インストラクターがアジャストをしている最中に「いてて」とか「ぐき(変な音)」と怪我が発生したのを見てしまうと、事実はどうであろうと「インストラクターが悪い」という印象は与えてしまうと思います。
インストラクターが悪いの?生徒さんが悪いの?
私が生徒としてクラスに参加している側の時に、他の生徒さんの怪我が発生する場面に遭遇したことは何度もあります。
しかし、「インストラクターが悪い」という場面はアジャストが入っている場面以外では見たことがありません。
気がついたら突然参加者の誰かが痛がっている、という感じです。
- 生徒さんの足がつった
- 片足立ちでフラフラした
- 突然「痛い」と誰かが声を出した
といったことが起こってもインストラクターは焦ると思いますが、他の参加者は案外気にしていませんので、インストラクターは自信を持って堂々とクラスを進行すべきです。
怪我発生!インストラクターはまず何をすべき?
大切なことは痛がっている生徒さんに適切な対応をすることと、同時にクラスの進行を止めずに適切に行い続けることです。
まず、怪我をした生徒さんには何が起こったのかを聞き「ちょっと休んでもらう」「つったのなら反対の方向に筋肉を引っ張ってあげる」などの応急処置をします。
冷やす、出血を止めるなどの行為が必要ならクラスを止める必要があるので、その旨を説明して他の参加者に待っていてもらう間にすべきことも伝えてから処置に入りましょう。
処置の間、もしスタジオ内に他のインストラクターがいてお願いできることがあるのなら協力してもらうべきですし、インストラクター一人なら常連さんなど信頼できる生徒さんに場をつなぐ協力してもらっても良いでしょう。
怪我をした生徒さんにしてもらう3つのこと
- 怪我をした生徒さん側には「シャバアーサナ」など仰向けポーズやチャイルドポーズで落ち着くまで待ってもらうよう誘導
- 水分を取ってもらう
- そのあとは軽減ポーズを行ってもらうように誘導
余程のことでなければクラスを退出させない方がいいです。
退出してしまうと雰囲気が悪くなりますし、インストラクターも動揺してしまうでしょう。
また、生徒さんの怪我の経過も見られなくなります。
怪我や違和感を訴える生徒さんが途中で発生しても「終わりよければすべてよし」で、最後は参加できたり「気持ちよかった」と言ってもらえるように最後までベストを尽くすことが大切です。
怪我をした生徒さんが発生した時にインストラクターがすべきこと
生徒さんに怪我をおこるとインストラクターは動揺しがちですが、まずは自分が落ち着いて他の生徒さんに動揺を伝染させないようにすることが肝要です。
クラスを長い時間止めてしまうと他の生徒さんはそのことにがっかりしてしまいます。
怪我の生徒さんをサポートしながら堂々とクラスを最後まで続けることができれば、誰かの怪我が原因で失客することはありません。
つまり他の生徒さんの存在を忘れないことが大切です。
怪我をしてしまった生徒さんにはレッスン中だけでなくレッスン後もフォローし、できれば翌日なども様子を確認できるように連絡を取ることが望ましいです。
病院に行くレベルの怪我かどうかを共有する必要があります。
また、次週のレッスンで「●●のポーズをしていたらこんな怪我があった、でももう回復しています」とか「今日も●●のポーズを練習しますが、難しい人は▲▲の方法に軽減してください」と共有することも大切です。
怪我をしやすい関節問題
インストラクターの勉強をした人は、起こりやすい怪我として「関節」について学んでいると思います。
関節は確かに怪我をしやすいのですが、普通のヨガのクラスで一度のポーズで関節怪我をすることは滅多にないと思います。
むしろ関節に怪我が起こるのは、それまでの誤った身体の使い方の蓄積によるものです。
だからこそポーズのアライメントが大事になります。
ある日突然関節を痛めないように、日頃から参加中の生徒さんの体の使い方をインストラクターはきちんと見て誘導してあげるようにしましょう。
まとめ
怪我が発生すると、考えていたシークエンスができなくなったり、頭が真っ白になったりすると思いますが、落ち着いて対処することが肝要です。
クラスの主導権を握っているのはインストラクターです。
みんながざわざわしたら落ち着ける、みんなの元気がなくなったら盛り上げる。
そういうことができるのはインストラクターのみです。
生徒さん側に引っ張られないように適切に対応してくださいね。