この時期、特に女性はホルモンバランスが大きく変化するので、その変化によってさまざまな体調の変化や不調が起こりやすいとされます。
そして不調がひどい場合は「更年期障害」と診断されることも。
近年はこの更年期をいかに幸せに乗り切るかがさまざまな角度から話題になっていますが、ヨガも更年期の辛い不調を緩和してくれるお守りになってくれるはずです。
なぜ更年期がこれほどまで話題になっているの?
そもそも更年期や更年期障害は昔からあるものです。
特に更年期に起こる象徴的な変化は女性の場合「閉経」ですが、私たちの母親世代や、祖母の世代、いやそれ以前にも女性で合えば閉経や更年期は同じように存在していました。
しかし、ここ10年くらいで急速に「更年期」や「更年期障害」についての情報が増えているように思います。
もちろん背景にはインターネットによる情報の普及があるでしょうが、もっと大きな理由として「閉経後の人生が長くなっている」ということが考えられます。
わずか70年前は日本人女性の平均寿命は64歳でした。
つまり、閉経してから10年程度しか余生がなかったことになります。
しかし現在は「人生100年時代」。
平均寿命は年々伸びていて、女性の4人に一人が95歳まで生きる時代になっているのです。
閉経後の人生は昔のようにわずか10年とはいかず、多くの人が30年、40年という時間を生きることになります。
こうなると、更年期に起こるさまざまな不調をいかに予防し、いかにうまく乗り切るかは非常に重要です。
なぜなら、更年期の過ごし方が、その後の人生のQOLを大きく左右すると言っても過言ではないからです。
個人差はあるが、更年期に起こりやすい不定愁訴とは?
更年期に起こりやすい不調にはホットフラッシュ(のぼせ)、抑鬱状態、不眠、イライラ、など、どちらかというと精神的な不調がよく知られますが、他にも尿もれ、性交痛、子宮脱、骨粗鬆症など肉体的な不調も多く報告されています。
しかも、どの不調も「更年期の急激なホルモンバランスの変化によるもの」が根本的な原因で、医療機関にいけば対処療法で症状を軽くすることはできますが、女性ホルモンが減少し、閉経に向かっていく、というプロセスそのものにアプローチすることはできません。
これはあくまで個人的な見解ですが、更年期障害が強く出る女性は、更年期以前にすでに生理周期がバラバラだったり、PMSや生理痛に苦しんでいる人が多いように思います。
また遺伝の傾向も強い印象があります。
若いうちから将来を見据えて生理周期やPMS、月経痛を食事や生活習慣、運動習慣である程度コントロールしておくことは、更年期障害の予防になるのではないかと感じています。
ヨガが更年期やプレ更年期に効果的な理由
ヨガの習慣が生理周期を整えるのに役立ったり、PMSや生理痛の緩和にも役立つことはよく知られていますが、近年は更年期やプレ更年期にも役立つことが知られるようになっています。
なぜならヨガには以下のような効果が期待できるからです。
呼吸と自律神経系を整えることで不調を緩和
更年期障害の原因は女性ホルモンの急激な減少ですが、この女性ホルモンは自律神経系の支配にあり、私たちが意図的にコントロールすることはできません。
閉経したくないからエストロゲンを増やしたい!なんてことはできないのです。
しかし、よく言われるように自律神経系の中で呼吸は唯一コントロールできるもの。
自律神経そのものをコントロールすることはできなくても、呼吸を整えることは結果として自律神経を整えることに役立つと言えるでしょう。
毎日短い時間でも呼吸法を実践することは、自律神経系を整えることに役だち、ホルモンバランスの変化を急激にではなく緩やかにしてくれることに役立ちます。
骨盤底筋を鍛えることで肉体的な更年期症状を緩和
ヨガのポーズの多くが骨盤底筋に働きかけます。
バンダを意識した呼吸法を行えば、それだけでも骨盤底筋は刺激されています。
インストラクターの中には「骨盤底筋を引き上げて」とか「バンダを意識して」と誘導するインストラクターもいますので、そういった指示に従うだけでも骨盤底筋トレーニングになるのです。
骨盤底筋は、会陰・膣・肛門あたりにあるハンモック型の筋肉で私たちの内臓を支えていますが、特に女性の膣などを支えてくれていて、尿もれや子宮脱の予防になります。
睡眠の質の改善で更年期症状を緩和
ゆったりとした呼吸に合わせながら、10分ほど優しいヨガをすることは、自律神経系の副交感神経を優位にするので、睡眠誘導効果があります。
寝る前にゆるめのヨガで体をほぐしながら、シャバアーサナをしてそのまま眠りに落ちるのも良いでしょう。
更年期症状の一つに不眠がありますが、不眠は他の不調の原因にもなるのでなんとしても避けたいもの。
40代以降は、寝る前のストレッチやヨガを歯磨きレベルの習慣にしたいものです。
→ストレス不眠でもぐっすり眠れるヨガポーズ3選!寝る前のヨガ習慣で睡眠不足を解消しよう
自己肯定感を高めることで更年期症状を緩和
更年期障害に悩む女性に共通するのが「女性としての終わり」や「寂しさ」を感じ、自己肯定感まで低下させてしまうこと。
閉経への不安から、無力感や孤独感に陥ることも。
でも毎日10分でも自分と向き合い、自分を大事に見つめセルフケアすることで「今のままでいいんだ」「私は今の自分が好き」と、自分を肯定することができるのです。
→【ヨガで自己肯定感UP】自己肯定感が低い方に、ヨガをオススメしたい8つの理由
骨の健康に役立つことで更年期症状を緩和
立って行うポーズを中心に練習すると、実は関節や骨の健康への効果も期待できます。
閉経前後にエストロゲンが減少することで、女性は一気に骨粗鬆症になる割合が増えます。
これはエストロゲンが減少すると骨密度が低下するからだと解明されています。
エストロゲンの減少を防ぐことはできませんが、ヨガのポーズで関節や骨を鍛えておくことは、骨粗鬆症や膝関節痛の予防にもなるでしょう。
膣ケア、骨盤底筋群トレーニングも話題
近年は尿もれや子宮脱などを予防するためのより具体的な運動として「骨盤底筋トレーニング」が話題です。
ヨガのクラスの中でも「骨盤底筋ヨガ」とか「膣ヨガ」というクラスも見かけるようになりました。
もちろん、骨盤底筋に特化することは有益ですが、普通のヨガを行うだけでも骨盤底筋はかなり使われていますので、とにかくどんなヨガでもまずは練習してみることをおすすめします。
また、男性の更年期や更年期障害もようやく話題になりつつあります。
実は女性より男性の方がプレッシャーには弱いとされ、男性が更年期障害になると、うつなどが強く出る傾向にあるようです。
男性もこれまでの運動歴などは一切気にせず、ぜひ一度ヨガを試されてみてはと思います。
誰とも競うことなく、自分のためだけに体を使い、メンテナンスする気持ちよさに心がスッと楽になるはずです。
ヨガで健康に長寿を楽しもう
人生100年時代はありがたいことですが、健康でないと楽しめません。
45~50歳はまさにターニングポイント。
この辺りから不調を繰り返す人と、いつまでも若々しさを保ち続けると人と、二極化していきます。
ヨガはどんな人にもおすすめできますが、更年期からはじめるのは、とても良いタイミングだと思います。