怒り・憎しみ・悲しみは悪くない!心・体・魂の存在を理解しよう

私たちはどんな人も「良いこと」だけで生きることはできません。

生きるということは、悲しみ・苦しさ・憎しみ・悔しさなども必ず味わうものです。そこから逃れることはできません。

ヨガは先人たちの「生きる苦しみから逃れたい」という気持によって生まれたと考えられています。

やがてアーサナ(ポーズ)も呼吸法も瞑想も、苦しみから逃れるために必要不可欠だと体系づけられたのです。

ここでは一般的にネガティブに捉えられる悲しみ・苦しさ・憎しみ・悔しさといった感情や感覚をどのように受け入れるべきか、ヨガ的な考え方をご紹介。

心・体・魂の存在を理解する4ステップ

心・体・魂の存在を理解する4ステップ

ステップ1:感情や感覚の奴隷にならないよう、丁寧に言語化する

そもそも私たちは「=」感情や「=」感覚ではありません。

私たちは「心」「体」「魂」で成り立っていますが、大事な部分は「魂」です。

心も肉体も随時変化しますが「魂」だけは変わらないものだからです。

例えば「頭が痛い」「お腹が痛い」というのは間違いで、「私の頭が痛い」「私のお腹が痛い」と正確に認知することが必要とされます。

「頭が痛い」「お腹が痛い」では「私=痛い」になってしまい、その感覚の奴隷になってしまいます。

ところが「私の頭が痛い」とすることで「頭は痛いけれど、お腹は痛くない」とか「歩けるし、他はいつも通り」など、「頭が痛い」ことがあくまで全体の一部に過ぎないことを認知できるようになります。

「悲しい」「イライラする」「怒っている」「むかっとする」などの感情も同様で、この感情の言葉だけで今の自分を表現すると「今の自分=丸ごとネガティブ」になり、感情の奴隷になってしまいます。

そうではなく「○○については悲しい」とか「○○について怒っている」など、より具体的に感情を認知することが、感情や感覚の奴隷にならずに済むテクニックです。

まずは自分に何かネガティブなものが生じた時「そのネガティブ=自分の一部分に過ぎない」ことを、言葉でしっかり定義することがステップ1です。

ステップ2:他者によって引き起こされるネガティブな状況も丁寧に言語化する

ステップ1で、自分の全てに問題があるわけではないと理解できると気持ちが少し落ち着きます。

では、もっと日常的な場面で起こる些細なイライラや怒りといった「状況」についても言語化する練習をしましょう。

特に他者によって引き起こされるものです。

例えば、子どもにイライラする事例で考察してみましょう。

「今、コップの水を倒されたことにとてもイライラしているけれど、この子の存在全てにイライラしているわけではない」とか「今、子どもが泣き止まなくてイライラしているけれど、時間はかかっても必ず泣き止む」など、気持ちをより正確に言語化します。

「この子の存在全てにイライラしている」とか「ずっと泣いている」など、感情的に表現してはいけません。

こういう表現をする人は多いですが「本当に足の先から頭の先まで全てがイライラなのか?」と自分に問いかけましょう。

「ずっと泣いている」ように感じるかもしれませんが「頻繁に泣く」ことがあっても「24時間本当に泣き続けている」なんてことはあり得ません。

認知を歪ませず、正確に状況を言語化します。

他にも「いつも洋服を脱ぎっぱなしでイライラする」「私ばっかり家事をしていてイライラする」なども正確に言語化します。

「下着は洗濯カゴに入っているけれど、靴下は脱ぎっぱなしになっている」とか「今日はゴミ捨てをしてくれているけれど、それ以外の家事は私が担当になっていて損をしている感じがする」といった感じです。

このように、状況を正確に言葉にして、相手にそれを伝えるだけでもネガティブな感情は消失することも少なくありません。

ステップ3:魂の自分に見てもらう

「私が痛い」のではなく「私の体の一部の頭が痛い」と正確に認知したり、「泣いている子どもにイライラしている」ではなく「今は育児の中で子どもが泣き止まないことにイライラしている」と正確に定義できたら、その状況と自分を切り離せる1歩を踏み出せています。

感情や感覚、状況を正確に言語化できた段階でステップ3として「魂の私はどこにいるのか」を自分に問いてみます。

例えば、頭痛を感じる時。

あなたの魂はどこにいますか?魂=頭ですか?魂=痛い体ですか?

痛みを感じている肉体を所有しているのはあなたですが、痛み=魂のあなたではないはずです。

泣いている赤ちゃんを抱っこしているのは間違いなくあなたの肉体ですが、あなたにはそんな状況を客観的に見ている「魂」の部分があるはずです。

つまり「自分(魂の自分)」とは、さまざまな経験をしている肉体や感情(心)ではなく、それらを全て見届けることのできる唯一の存在です。

どんな感情や経験も自分の心と体だけで経験しているのではありません。

それを俯瞰している魂=あなたの核も、感情や経験を俯瞰することで魂を磨いているのです。

自分の肉体や心に起こるあれこれを常に俯瞰している存在=魂の方が本来の自分であることが徐々に理解できるようになると、人生はずっと生きやすくなります。

ヨガのポーズ練習や瞑想の練習で一番体得したいスキルはここなのです。

ステップ4:感情を引き受けて、馴染ませる

感情や感覚に囚われそうになっている自分を心の目(魂)で俯瞰してください。

すると、「ああ、私はこういう体験や経験をしているだけなんだ」と冷静に受け止めることができます。

冷静に悲しみ・苦しさ・憎しみ・悔しさを感じるのと、それと一体化してしまうことの間には雲泥の差があります。

感情や感覚を経験している自分を俯瞰できるようになると、全ての悲しみ・苦しさ・憎しみ・悔しさはやがて消えることも知っているので、ネガティブが和らぎます。

すると、その感情や感覚を受け止めることができます。

「そうか、こういう風に痛みを感じる経験をしているのね、無理に消そうとしないで味わってみよう」とか「そうか、こんな風に怒りを感じるのか、それを的確な言葉で伝えてみよう」とか、感情や感覚を無理に消したり爆発させるのではなく、引き受けて馴染ませていく感じです。

なぜそう感じてしまうのか?肉体や心は自己愛の存在だから

なぜそう感じてしまうのか?肉体や心は自己愛の存在だから

全ての悲しみ・苦しさ・憎しみ・悔しさは自分が自分のことを「良くしたい」「良くなりたい」という自分への愛から起こります。

肉体も心も、それぞれがそれぞれを愛しているのです。

「自分はもっと良くなりたいのに、痛い」「もっと愛されたいのに愛されていない」「もっと休みたいのに休めない」など、いわゆるネガティブな感情は全て「自分が損なわれている」ときに生じます。

でも、なぜ自分が損なわれていると感じるのでしょうか。

心も体も自分を大切にしたいからです。

しかし、魂にはそのようなジャッジはありません。

良い感情も悪い感情もなく、ただ心身が経験してくれる感情や感覚によって魂を磨いているだけです。

ですから、魂の存在がわかってくると感情や感覚に「ポジティブ」や「ネガティブ」といったラベリングをする必要もなくなり、「全てによって魂が磨かれるのだから味わえばいいのだ」と受けとめて抱き締められるようになります。

まとめ

怒り・憎しみ・悲しみは悪くない!心・体・魂の存在を理解しよう

スピリチュアルな話になってしまいましたが、ヨガを続けていくうちに「心の目(魂への気づき)」は必ず育っていきます。

いつも頭の上に「心の目」をセットしておくことで、自分を客観的にみ続ける、俯瞰することができるようになります。

魂はただの存在ですから、感情や感覚は肉体や心が引き受けてくれているのです。

心・体・魂の存在が感覚的にわかるようになると、怒り・憎しみ・悲しみを悪者にすることはなくなり、受け止められるようになります。

ぜひ、ヨガの練習を続けて魂の存在を確信してください。

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