肩立ちのポーズを規則的に練習することで「生まれ変わったようになる」という教えもあるほど、ヨガでは重要なポーズの一つです。
今回は、そんな肩立ちのポーズの正しいやり方や、さまざまな効果について詳しく解説したいと思います。
肩立ちのポーズとは?
肩立ちのポーズは「ショルダースタンド」や「サルヴァンガアーサナ(略式)」「サーランバ・サルヴァンガアーサナ(正式)」と呼ばれます。
英語名の「ショルダースタンド」は、その名が示す通り「肩で立つ」というポーズの形を表現しています。
サンスクリット語の「サルヴァンガアーサナ」は、分解すると「サルヴァ=すべて」「アンガ=身体・四肢」「アーサナ=体位」で、さらに正式名である「サーランバ」は「支えられる」という意味なので「身体を支えられたポーズ」ということになり、こちらもポーズの形を表現しています。
肩立ちのポーズが「万能薬」「ヨガの母」と言われる理由
ヨガの王様ポーズといえば「ヘッドスタンド」ですが、こちらの肩立ちのポーズは「ヨガの女王様」「ヨガの母」とも言われるポーズです。
ヨガの賢人の一人として有名なアイアンガー氏は、著書『ハタヨガの真髄』の中で「母親が家庭内の調和と幸福のために力を尽くすように、このアーサナ(ポーズ)は人体機構の調和と幸福に大きな役割を果たす。ほとんどの病気の万能薬である」と解説しています。
理由として、肩立ちのポーズは「逆転のポーズ」であるため、血流が逆転することで静脈の血液(老廃物)が無理なく心臓に戻され循環が促される点や、特に首にある甲状腺や副甲状腺を優位に刺激するので、ホルモンや血圧などの調整に有効である点などにあるとされます。
健康な血液やホルモンなどのエネルギーが首や胸回りを巡ることをサポートしてくれるポーズであるため、息切れ・動悸・喘息・気管支炎・風邪による喉や鼻のトラブル不眠・腸のトラブルなどにも有効とされ、まさに万能薬のようなポーズの一つと言えるのです。
肩立ちのポーズで得られる3つの効果
(1)若返る
逆転のポーズならどれであっても若返りの効果が期待できますが、この「肩立ちのポーズ」は特別です。
ポーズをとっている最中にもっとも刺激されるのが「甲状腺」や「副甲状腺」ですが、これら小さな臓器の役割は「全身の新陳代謝をつかさどる」ことと「甲状腺ホルモンを分泌する」ことです。
新陳代謝がスムーズであることと甲状腺ホルモンが適量分泌されていることで、全身の健康が保たれているといっても過言ではありません。
また、通常であれば加齢とともに代謝機能は低下しますが、甲状腺を刺激して代謝の維持を心がけることは当然若返りにつながります。
→アンチエイジングで美肌に?朝・昼・夜で美肌になれちゃうアンチエイジングのヨガポーズ8選
(2)内臓を一挙にケア
逆転のポーズの特徴として、内臓が通常のポジションとは逆さになります。
そのため、「便秘を解消する」「子宮の位置を正常化」し、それに伴い「月経異常の改善」につながります。
また、腰回りをリリースすることで「腰痛やヘルニアを改善する」「痔の症状を緩和する」「内臓全体の解毒を促す」といった効果が期待されています。
→内臓機能を高めるおすすめヨガポーズ3選!ヨガで内臓を元気に保とう
(3)安定したメンタルが手に入る
上下逆さになった状態で顎を鎖骨に押し付け、頭への血流は少々制御することで、神経を鎮めたり、エネルギーが過剰になって起こっている頭痛を鎮める作用があります。
そして、頭が興奮状態であるが故に起こっている不眠やストレス、イライラ、短気などもこのポーズで解消することができ、継続するほどに精神的な安定が手に入るとされています。
→ストレス不眠でもぐっすり眠れるヨガポーズ3選!寝る前のヨガ習慣で睡眠不足を解消しよう
肩立ちのポーズの正しいやり方
肩立ちのポーズは習得すると効果は絶大ですが、ヨガポーズの中でも決して難易度が易しいポーズとは言えません。
正しい方法で少しずつ練習して完成を目指しましょう。
やり方
- マットに仰向けに寝る。手のひらを下向きにして床に置いておく
- 息を吐きながら両膝を曲げて胸の方向に寄せ、太ももをお腹につけて深呼吸する
- 息を吐きながらお尻を持ち上げ両手でお尻を支え、ここで数呼吸ホールドする
- さらに息を吐きながら両手で上体を持ち上げるようにし、膝から肩までが床に対して垂直になるようにし、胸と顎を引きつけておく
- さらに両足先を天井に向かって伸ばし、全身を床から垂直にしたらこの状態で数呼吸キープする
- 来た道を戻るように、両足を胸に寄せて腰をリリースしてから手を離し、足を解除して仰向けで休む
脚をまっすぐ上けるまでではなく、ポーズを解除する時もゆっくりと慎重に行うことが大切です。
ヨガの肩立ちのポーズ3つの効果と正しいやり方解説まとめ
肩立ちのポーズは、古代の賢者が人間に授けてくれたもっとも偉大な賜物のひとつと賞賛され、現代も多くのヨギー(ヨガ実践者)を魅了し続けています。
慣れてくると5分程度キープできるようになり、さらに15分ほど続けられるようになるのが理想とされています。
それを毎日継続できると「生まれ変わったようになり、心は平静で人生の喜びを感じるようになる」と前述した著書『ハタヨガの真髄』にも書かれているので、ぜひ継続して練習に取り組んでみてください。
著者のB・K・S・アイアンガー師が創始したアイアンガーヨガは、およそ90の国々で指導され、数百万人が実践に励んでいると言われています。
『ハタヨガの真髄』は、600点の写真でアサナ、プラーナーヤーマを詳しく解説。
ヨガを始めたばかりの人から指導者まで、これ1冊ですべてが網羅できる、ヨガを学ぶための最良の参考書です。
ヨガの上達のために必要不可欠な知識だけではなく、ストレスだらけの現代社会を力強く、前向きに生きるための知恵が満載。
ヨガを学んでいる人にも、新しい人生を模索している人にも、ぜひ読んでいただきたい。
94歳の現役ヨギーによる渾身のメッセージです。