ここでは背中が硬いことのデメリット、背中が柔らかくなることのメリット、ヨガで背中を柔らかくするポーズをご紹介します。
背中の柔軟性こそ体の実年齢
ヨガで背中を反るようなポーズはすべて「後屈系のポーズ」と分類することができます。
後屈系のポーズは種類も多く、ヨガのクラスで後屈を入れないことはまずないでしょう。
なぜヨガではそれほどまでに背中を反る動きが多いのかというと、背中の柔軟性が心身の健康に欠かせないと考えているからです。
背中の柔軟性=背骨の柔軟性でもありますが、ヨガでは背骨の柔軟性が体の実年齢と考えるほど、背骨のしなやかさを重要視しています。
またヨガでなくても、小さい子どもが大人をパッと見て「おじさんかおばさんか」「お兄さんかお姉さんか」を判断するのは「顔」ではなく「姿勢」だとされており、年齢に関わらず背骨をすっと伸ばして美しい姿勢を保っていられるかどうかは、見た目年齢と健康状態に大きな影響を与えていることもわかっています。
そして、背中が硬い人とは間違いなく猫背の人です。
猫背の姿勢のまま固ってしまっている人が、「背中が硬い人」になるのです。
背中が硬いと老化が促進する!万病の元!その理由は?
猫背は万病の元、という話は聞いたことがあると思います。
つまり、背中が硬い人というのはそうでない人と比較して老化の進むスピードが早く、さまざまな疾病リスクが高くなると理解して良いでしょう。
背中が硬いとなぜ老化が早く進み、疾病リスクが高くなるのか?
答えは簡単で「内臓が押しつぶされ血流が悪くなり、呼吸が浅くなる」からです。
試しに今、猫背の姿勢で座ってください。
背中側は丸くなり伸び切った状態。一方、お腹が側は全て縮まって押し潰されている状態になるはずです。
足の付け根は上半身の重さで圧迫され、腸や胃は潰され、肺も特にしたのほうが潰れているので深い呼吸はできません。
おまけに首の後ろも前側に垂れ下がって後ろ側が伸び切ってしまっています。
この状態は「内臓が押しつぶされ血流が悪くなり、呼吸が浅くなる」状態で、体の隅々に酸素が行き届かず体内では酸化・炎症といった老化現象が促進しますし、筋肉も特に背中側が伸び切ったゴムのように劣化していきます。
一方、背筋を伸ばした状態では内臓が伸びて深い呼吸が体の隅々に行き渡ることが感じられるはずです。
背中側の筋肉も適正な状態で保たれており、前側に引っ張られていないので、伸びることも縮むこともありません。
首こり、肩こり、腰痛、猫背はすべて「背反らし」で解決できる
首こり・肩こり・腰痛は先に説明したように猫背が固定し、背中側の筋肉が前に引っ張られて伸び切っていることで起こっています。
マッサージなどでほぐすのも良いですが、手っ取り早く解消したかったらどんな方法でもいいので「背反らし(後屈)」をすることです。
例えば、両手をばんざいしいながら胸を天井に向けて背を逸らすだけでも「背反らし」になります。
これを3回するだけでもスッキリするはず。
また、腰痛にはヨガのコブラのポーズが良いとされますが、これも腰を反る動作です(正確には腰を立てています、反るつもりで行うと怪我につながるので気をつけましょう)。
つまり、前屈みになって伸び切っている腰を立てる(反る)ことで収縮させているので、緊張が緩和され腰痛改善につながるのです。
背中が硬い人は、まずはコブラのポーズを繰り返し練習し、後屈の心地よさを体感してほしいと思います。
そしてある程度コブラのポーズができるようになってきたら、背中の柔軟性を高めるためにおすすめしたいポーズは「上向きの弓のポーズ」です。
背中の柔軟性を高める「上向きの弓のポーズ」のやり方
「上向きの弓のポーズ」やり方
- マットに仰向けになり、膝を曲げたら踵はできるだけお尻の方に寄せておく
- 肘を曲げて両手のひらを頭の横につき(指先が肩に触れるような場所がベスト)、肘から手首は床に対して垂直にしておく
- 息を吐きながら足の裏と内腿の力を使いお尻を床から持ち上げる。さらに次の吐く息で頭頂部を持ち上げて頭のてっぺんを床につけてステイする
- さらに行けそうなら、両手と足で床を押して頭を床から離し持ち上げる。両腕はできるだけまっすぐ伸ばしブリッチの形を作っていく
- 2〜3呼吸ホールドしたら頭のてっぺんを床に下ろし、さらに背中、お尻の順番でおりて、呼吸を安定させる
最初は頭が持ち上がらないかもしれませんが、練習を続けていくうちに少しずつ頭が持ち上がるようになり、後屈の度合いが深まってくるのが感じられるはずです。
背中の柔軟性を高めるヨガの練習方法
ご紹介した「上向きの弓のポーズ」を繰り返して練習するのも良いですが、このポーズの後に必ず前屈を入れることも大切です。
例えば、立位前屈でも長座前屈でもOKです。後屈でぎゅっと縮めて背中を一旦前屈で伸ばしてあげるのです。
ヨガで背中を柔らかくする極意は、後屈の練習を繰り返すだけでなく、後屈と前屈をセットにすることで怪我や筋肉痛を予防し、バランスを整えていくことにあります。
例えば、「キャット&カウ」も「太陽礼拝」も前屈と後屈がセットになっているのはこのためです。
コブラのポーズの後にもダウンドッグかチャイルドポーズが続くのが普通ですが、これも後屈と前屈のセットになるからです。
また、いきなり後屈の練習をせず、ツイストをしてから後屈の練習をする、あるいは太ももの前を伸ばすポーズ(ランジなど)をしてから後屈の練習をするというのも効果的です。
体は全身繋がっているので、背中だけが硬いということはあり得ません。
背骨を捻ってから後屈するといつもより深く入れますし、太ももの前の緊張が取れるとやはり後屈しやすくなります。
背中が固い人必見の背中ヨガ練習方法まとめ
背中が硬い!と感じる人は、凝りや疲れを感じたらいつでもこまめに「背反らし」をしましょう。
そして、ヨガの練習では「後屈ポーズ」を多めに入れますが、それは必ず前屈とセットにする、背骨を捻ったりすることで、怪我を予防しながら心地よく後屈を行うようにしてください。
確実に背中が柔らかくなっていきますよ!