ヨガに興味を持つ方の中には、この坐骨神経痛をなんとかしたくてヨガをはじめるという人が少なくありません。
ここでは坐骨神経痛や坐骨神経痛をヨガで緩和する方法などをご紹介します。
坐骨神経痛ってどんな症状なの?
坐骨神経痛は病名ではありません。
頭痛や腹痛・肩こりのように、症状を現している言葉です。
つまり頭痛や腹痛と同様に、原因を突き止めたり原因となっている部位を特定するのが厄介な症状の一つです。
一般的にはお尻や太もものの後ろ、ふくらはぎや踵などに痛みや痺れ、あるいは麻痺が生じている状態で、人によって「踵が痛い」「ふくらはぎが痛い」「膝が痛い」「腰が痛い」とさまざまな症状を訴え、それらが複数箇所に起こる場合もあります。
これらを総称して坐骨神経痛と呼んでいるのです。
ちなみに国内に3,000万人もいるとされる腰痛患者の半数が坐骨神経の症状も持っているとされるので、腰痛との関係性も高いといえるでしょう。
ただし痛みの特徴として、刺すような鋭い痛みであることや、痺れや張りといった違和感がなかなか取れないことなどがあり、ぶつけた時の痛さや疲れた時のだるさ、慢性的な重さを感じる腰痛とは明らかに違う痛みを訴えることが特徴です。
なぜ坐骨神経痛が起こるの?
医学的には、坐骨神経痛の原因はヘルニアや腰椎のすべり症、脊柱管狭窄症、お尻にある梨状筋の炎症、股関節の炎症など骨格や筋肉の異常によって、坐骨神経が圧迫されることで下半身に痛みや痺れが起こると説明されています。
そのためレントゲンを撮って痛みの原因を診断し、対処療法を行うことで痛みを緩和させることになります。
それでもよくならない場合は手術などのステップに進むこともありますが、基本的には対処療法で痛みを緩和させるのが一般的。
また坐骨神経が通る場所は冷えやすい場所でもあるので、寒さが厳しくなると痛みが出やすくなるという人も少なくありません。
特に整骨院ではマッサージや温熱療法、赤外線などの治療を行うことで血流を促進させ痛みを緩和させる方法をとるケースも主流です。
鎮痛剤や温熱療法などで痛みを緩和させるのも一つですが、坐骨神経が圧迫されないような正しい姿勢を常に意識することや、日頃から冷えを防ぐことも根本的な改善に必要です。
→坐骨神経痛に効くヨガポーズ3選!辛い痛みをヨガで和らげよう
ヨガで坐骨神経痛のケアができるって本当なの?
ヨガは坐骨神経痛の予防や症状の緩和にはとても効果がありますが、「正しく行えば」という大前提があります。
坐骨神経痛を起こしている人はそもそも坐骨神経周りに歪みが起こっていますので、歪んだままヨガをすることは逆効果になることもあるのです。
まずは自分の坐骨周りの状態を把握することが大切です。
坐骨神経の場所を知る
ネットで検索するとすぐに見つけることができますが、まず坐骨神経がどこを通っているか、その場所を把握しておきましょう。
腰の下の方(おへその真後ろ)あたりの仙骨(肛門の上のたいらな骨)の両側からお尻を通り、さらに太物の後ろ真ん中あたりを通って、膝のところで2つに別れ、膝の外側からふくらはぎ外側を踵まで降りる神経と、ふくらはぎの真ん中から内側のラインを踵まで通ります。
そのため痛みが出やすいのが「腰」「お尻」「腿の特に外側」「膝」「ふくらはぎ全体的」「踵や足先」になります。
坐骨と腰痛のズレをセルフチェック
例えば、座った時に足を組むと、上にした方の脚の坐骨が上がり、下にした方の脚の坐骨やお尻が圧迫されやすくなります。
こういった習慣が坐骨をずらします。
坐骨は本来、座った時に肛門を中心に左右均等に並び、体重も均等にかかるはずですが、座った時に、どちらか片方のお尻に体重がかかるような癖がある場合は、ズレが生じやすいのです。
壁に背中をピッタリくっつけて脚を前方に投げ出す「長座」をした時に、左右どちらかの足が長い場合も、坐骨や骨盤のズレのサインです。
まずは自分の脚の長さの左右差を把握すれば、短い方の脚の坐骨が反対の坐骨より上にあることが自分でわかるはずです。
それは最終的に肩や顔の歪みとしても現れます。
坐骨神経が通る場所のはりや冷えをチェック
坐骨神経の場所がわかったら、お尻や太ももの後ろ、横・ふくらはぎなどを触ってみましょう。
痛みがある部分を触ってみると硬かったり冷たかったりすることも多く、ここが神経を圧迫しているのか、と自分でイメージすることができるはずです。
特に、仙骨周りは痛みがなくても脂肪がつきにくく冷えやすい場所です。
太ももの後ろ側も座っている時間が長い人ほど運動量が少なく冷えやすくなっています。
この辺りを重点的に温めることも予防に効果的です。
坐骨神経痛におすすめのヨガポーズとは
個別のポーズを行う前に、ヨガのどのポーズを行う時も、坐骨を左右で揃えることを意識しましょう。
例えば、座ったまま捻る簡単なポーズでも、右に捻るときは左の坐骨が前に出やすくズレが生じやすくなります。
座ったまま右手を左に伸ばして側屈するだけでも右の坐骨が浮いて、左坐骨にだけ体重がかかりやすくなります。
坐骨神経つがある人は、どんなポーズでも坐骨に均等に体重をかける、坐骨を左右揃える、を意識しましょう。
さらに、お腹を引き上げて、お尻に全体重をかけないこともポイント。
姿勢が悪い人は上半身の重さが全て下半身にかかり、ますます神経を圧迫してしまいます。
この2つを意識した上で坐骨神経痛まわりをほぐす3つのポーズをご紹介しましょう。
ワニのポーズ(仰向けのツイスト)
やり方
- 仰向けに寝たら、右足の裏を左膝に乗せ、左手を使って息を吐きながらゆっくり右膝を左床に倒していく。
- 膝を無理に床につけようとせず、右肩が浮かないところまで倒す。
- ツイストの形ができたら、床に対して骨盤と坐骨が垂直であるように意識する。柔軟性が高い人ほど、上の腰が左に持っていかれてずれやすい。
- 形ができたら片方1分ほどキープしつつ深い呼吸を行い、腰の神経を呼吸でリラックスさせる。
- 反対脚も同様に行う。
→ヨガのワニのポーズとは?5つの効果と正しいやり方を徹底解説
ヒップオープン(ナンバー4ストレッチ)
やり方
- 仰向けで両膝を立てる。
- 右のくるぶしを左の膝上に乗せて、脚で「4」の字を作る。
- 左足を浮かせ右脛を自分の胸と平行になるように引き寄せて右のお尻から太ももの後ろ、まさに坐骨神経が通る場所を意識してストレッチする。
- 呼吸に合わせて1分程度キープしたら反対あしも同様に行う。
片足の長座前屈
やり方
- 長座から右膝を立てて、膝を外に倒す。右足の裏を左足の内側付け根部分に押し付ける。
- お尻は床に対して真っ直ぐ垂直にセット。
- そのままゆっくり前屈をして腰や伸ばしている左足背面のストレッチを感じる。
- 伸ばしている左足は内股やガニ股にならず、真っ直ぐにし、踵で見えない空気の壁を押すようなイメージを持つとさらに脚の背面が良く伸びる。
ストレッチで坐骨を整えよう
いかがでしたか?
お尻や脚の背面をストレッチし、血流をよくするポーズが他にもたくさんありますが、坐骨や骨盤をずらさないように丁寧に行いましょう。
日中には腹巻や、下着の上から仙骨にカイロを当てておくのも冷え予防におすすめで、これだけでも坐骨神経痛が気にならなくなる人が多くいます。
運動量が減り冷えが進むと、誰にでも坐骨神経痛が起こる可能性があるので十分に対策して過ごしましょう。