ヨガをしたことのある方なら誰でも取り組んだことがあると思いますが、ヨガのクラスでは「太陽礼拝を行います」という説明がなく行われることが多いので、どこからどこまでが太陽礼拝なのか、また太陽礼拝に一体どんな効果があるのか分からないという方も多いことでしょう。
そこで今回は、太陽礼拝とはどんなものなのか、得られる効果や正しいやり方について詳しく解説していきます。
メリットだらけの太陽礼拝、これを知ればきっと毎日取り組みたくなるはずです。
ヨガ初心者向き?太陽礼拝とは?
太陽礼拝は、呼吸と連動させながら、連続した12のポーズをとるヨガのシークエンスです。
シンプルかつダイナミックな動きで全身をくまなく動かしていきます。
“動く瞑想”とも言われ、心を整える効果もあります。
太陽礼拝は、ヨガアーサナの基本中の基本!
太陽礼拝の動きを軸にして、ポーズを増やしアレンジしていきます。
そのため、ヨガ初心者の方はもちろん、ヨガを長年続けている方からも親しまれています。
また、太陽礼拝は世界中のヨガ愛好家に親しまれているシークエンスです。
太陽礼拝は流派やヨガ講師の好みなどよって多少異なりますが、おおまかな流れは同じです。
筆者はメキシコやアメリカでヨガを教わってきましたが、日本のヨガクラスではしっかりと安全を配慮して軽減法で行うことが多いと感じました。
軽減法は後ほど紹介しますが、決してどちらが良いということはなく、自分の今の身体の状態に合ったポーズで行うのが理想的です。
太陽礼拝の意味と起源
太陽礼拝は、サンスクリット語では「Surya Namaskar(スーリヤ・ナマスカーラ)」といいます。
スーリヤは太陽を、ナマスカーラは挨拶を指します。
つまり、太陽礼拝は連続した12のポーズで太陽に挨拶をする動作なのです。
そのため、英語では「Sun salutation(サン=太陽、サルテーション=挨拶)」と呼ばれています。
太陽礼拝の起源は、ヨガが生まれたインドの地。
もともとは出家修行者が一日の始まりに太陽に挨拶すること、そしてその恵みに感謝し祈りを捧げることを目的に用いられていたと言われています。禁欲的な精神修行法の一つだったのです。
そして、100年ほど前(1910年頃)に、“現代ヨガの父”と呼ばれるティルマライ・クリシュナマチャリアによって現在の太陽礼拝の形にまとめられました。
そこから健康増強や、心の鍛錬のために一般的に広まっていったと考えられています。
ヨガの太陽礼拝における5つの効果
ここからはヨガの太陽礼拝で得られる嬉しい効果をご紹介していきます。
瞑想の効果が得られる(心の安定、ストレス解消、リラックス、安眠etc)
流れるようにいくつかのポーズをとる太陽礼拝は、“動く瞑想”と呼ばれることがあります。
呼吸やポーズ、自分の状態などに意識を向けることで、頭の中の雑念を自然と手放すことができるためです。
そのため、瞑想と同様にストレス解消やリラックスに役立ち、安眠効果もあります。
続けることで、気持ちが安定し穏やかな心を持つことができるようになるメリットもあります。
じっとして行う瞑想だと、どうしても頭の中にいろいろなことが浮かんでしまう方にもおすすめのメソッドです。
肩こり、腰痛の予防や解消になる
太陽礼拝はシンプルなポーズの組み合わせですが、全身にアプローチできるようにできています。
無理なく全身の筋肉の緊張をほぐすことができるので、肩こりや首こり、腰痛といった不調の予防や解消に大いに役立ちます。
終わったあとは身体が軽く感じられます。
基本的には朝時間やヨガの始まりに最適とされる太陽礼拝ですが、緊張がほぐれるので夜寝る前にゆっくりと行うのもおすすめです。
柔軟性がアップする
太陽礼拝では前屈、後屈の動きができてきます。
始めのうちは難しいと感じるかもしれませんが、続けることで誰でも柔軟性がアップしていきます。
柔軟性がアップすると、怪我をしにくくなる、疲れにくくなるといったメリットがあります。
また、動作も滑らかになり美しく凛とした印象をまとうことができます。
また、ヨガを始めたけれど何となくポーズがやりにくいと感じている方にも、基本の太陽礼拝で柔軟性をアップさせるのがおすすめです。
むくみ、冷えが解消される
太陽礼拝で全身の筋肉をくまなく動かしていくと、血流やリンパの巡りが良くなります。
体内の巡りが良くなることで体温も上がり、むくみや冷えの改善にもアプローチできます。
運動不足だった方はすぐに効果を感じられることでしょう。
ただし、1回の太陽礼拝では効果はありません。
少なくとも1週間ほどは続けてみてください。
スタイルが良くなる
太陽礼拝にはスタイルアップの効果もあります。
下半身の筋肉をしっかりと使うので、むくみが改善され、脚や顔などむくみが出やすい部分のラインが整い細く見えるようになります。
体幹も鍛えられるのでお腹周りがスッキリし、全体的にスリムな印象に。
また、太陽礼拝を続けていくと正しい姿勢が身につくようになり、スタイル美人になれます。
ヨガの太陽礼拝のやり方
ここからは、太陽礼拝のやり方を解説していきます。
冒頭でご紹介した通り、流派によっても異なるので、絶対にこれが正解というものではありません。
基本の一つとしてトライしてみてください。
プラナーム・アーサナ
やり方
- 両足を握りこぶし1個分開け、背筋を伸ばして立ちます。
- 両手を胸の前で合わせ合掌します。
- 肩の力を抜いて、耳と肩を遠くに保つようにしてあごを軽くひき、真っすぐ前を見ます。
- 頭頂を上から引っ張られているイメージで、真っすぐに立ちましょう。
- 反り腰になりがちな方は、お腹に軽く力をいれておきます。
- ここで数呼吸。気持ちを落ち着けます。
ハスタ・ウッターナ・アーサナ
やり方
ポイント
- 息を吸いながら行います。
- 合掌した手をそのまま頭上に伸ばします。
- 体側を伸ばし、上体を引き上げます。
- 肩は上がらないよう注意しましょう。
パーダ・ハスタ・アーサナ
やり方
ポイント
- 息を吐きながら行います。
- 合掌した手を下ろしつつ、股関節から折れるように前屈します。
- 指先もしくは手の平を床につけます。(つかない場合は、膝を曲げます。)
- 首の力を抜き、目線は身体と一緒に下げていきます。
アルダ・ウッタナーサナ
やり方
ポイント
- 息を吸いながら行います。
- 背中は真っすぐに伸ばしたまま、半分だけ上体を起こします。
- 胸を開き、少し先の斜め前の床を見ます。
- 指先を床につくか、難しい場合は手を膝周辺に添えます。
パーダ・ハスタ・アーサナ
やり方
ポイント
- 1つ前と同じポーズに戻ります。
- 息を吐きながら行います。
- 合掌した手を下ろしつつ、股関節から折れるように前屈します。
- 指先もしくは手の平を床につけます。(つかない場合は、膝を曲げます。)
- 首の力を抜き、目線は身体と一緒に下げていきます。
アシュヴァ・サンチャラナ・アーサナ
やり方
ポイント
- 息を吸いながら行います。
- 右足を大きく後ろに下げ、膝を床におろします。
- 両手の平を床につけ、目線を上げます。
アドームカ・シュヴァーナ・アーサナ(ダウンドッグ)
やり方
ポイント
- 息を吐きながら行います。
- 左足も大きく後ろに下げ、膝を床から浮かせていき、腰を高く上げダウンドッグのポーズ。
- 手で強く床を押し(肘は緩めておくと◎)、首の力を抜き、目線は足元へ。
- ここで数呼吸おきましょう。
→ヨガのダウンドッグとは?5つの効果と正しいやり方を徹底解説
チャトランガ・ダンダーサナ
やり方
ポイント
- 息を吸いながら行います。
- 両手の位置はそのまま、体重を前へ移行しプランクポーズ。
- 肩が手首の真上に来るようにして、お腹に力を入れ、肩からかかとまで一直線になるようにします。
ポイント
- 息を吐きながら行います。
- 脇を締めた状態で、体重を斜め前に移行しつつ肘を曲げていきます。
- プランクポーズの体幹を保ったまま全身を床に近づけていき、肘を90度まで曲げます。
- すぐに次の工程に移行しましょう。
ウールドヴァムカ・シュヴァーナ・アーサナ(アップドッグ)
やり方
ポイント
- 息を吸いながら行います。
- 手の平で床を強く押して腕を伸ばし、両足の甲で床を押し、上体を反らせます。
- 膝は床から浮かし、首を長く保ちながら斜め上を見ます。
アドームカ・シュヴァーナ・アーサナ
やり方
ポイント
- 息を吐きながら行います。
- 手の位置はそのまま、足のつく場所を足の甲からつま先に変えて、体重を後ろへ移行します。
- お尻を高く上げて、頭を下げてダウンドッグのポーズ。
元に戻る
やり方
- ここからアルダ・ウッタナーサナ、パーダ・ハスタ・アーサナ、ハスタ・ウッターナ・アーサナ、プラナーム・アーサナの順で元の立ちのポーズに戻っていきます。
- 息を吸いながら、手の位置はそのままで右足を大きく前に踏み出し、目線を上げ、半分の前屈のポーズ。
- 息を吐きながら深い前屈。
- 息を吸いながら手を回し上げ、プラナーム・アーサナのポーズに戻りましょう。
- 数呼吸置いて、太陽礼拝を続けます。
ヨガの太陽礼拝が上手くできない時は「軽減法」を使おう
太陽礼拝はある程度の柔軟性を必要とするため、身体が硬い方にとっては難しく感じるかもしれません。
しかし、「自分にはできない」「苦手だ」などと感じないで欲しいと思います。
ヨガは身体が柔らかいからできるメソッドだと勘違いされることが多いですが、全く関係ありませんし、続けることで誰でも柔軟性が高まります。
例えば、何度も出てくる「パーダ・ハスタ・アーサナ」では、いきなり深い前屈をする必要はありません。
膝を適度に曲げて、身体のどこにも負担がない状態を確認しながら前屈をしましょう。
「アドームカ・シュヴァーナ・アーサナ(ダウンドッグ)」でも、慣れるまでは膝を曲げて大丈夫です。
太陽礼拝の中でも難易度の高い「チャトランガ・ダンダ―サナ」は、最初からできる方はほとんどいません。
腕や胸、体幹の筋肉が十分についていないうちは、無理をせず膝をついて行うか、一度床まで下りてしまいましょう。
軽減ポーズを用いた方が、しっかり伸ばしたりゆるめたりといった体の使い方が上手くなっていきます。
無理に身体を反らせたりして、身体に負担をかけないようにしましょう。
太陽礼拝で毎日を快適に
流れるような動きの中で全身をほぐすことができ、心も整う太陽礼拝は、世界中のヨガ愛好家から親しまれているヨガのシークエンスです。
太陽礼拝にはヨガのポーズの基礎もたくさん詰まっているので、ヨガ初心者の方はぜひここから始めてみてください。
ヨガに長年親しんでいる方も、今一度「太陽礼拝」の魅力を追求してみてくださいね。