リアルクラスの良さはいうまでもなく当然ありますが、今後コロナが収束しても、オンラインヨガのニーズが無くなることもなさそうです。
この記事ではオンラインヨガをどのように差別化していくかについて考察。
オンラインヨガを考えているインストラクターさんやオンラインヨガの集客に頭を抱えているインストラクターさん必見です。
オンラインヨガは、新たなマーケットとして確立された
私自身もヨガの練習生ですが、オンラインヨガはあくまでコロナ期間中の「リアルヨガの代用」に過ぎない、「オンラインヨガはコロナが収束すればニーズは減るのでは?」と、当初(2020年の5月ごろまで)は甘く考えていました。
私自身がやはり自分の恩師やインストラクターにポーズを見てもらい、体を直接手で触れてもらうことが好きでしたし、あるいは行き届いた「スタジオ」という非日常的な空間や光・香り・音楽など、五感のすべてを使ってヨガの練習をしていたからです。
いくらオンラインの利便性はあると言っても、それはスタジオでの練習にはかなわない、と今でも思っています。
しかしながら1年経ってもコロナが落ち着かない現在、私の予想は大きく外れ、オンラインヨガはある程度のマーケットとして確立されつつあります。
そもそも、一体どんな人がオンラインヨガを受けたいの?
周囲でオンラインヨガを一年近く継続している友人知人にどんな点がメリットなのかを聞くと「移動時間がかからない」「自分の好きなタイミングでレッスンが受けられる」「服装や自分の体型などに余計なストレスを感じずに済む」などがオンラインヨガのメリットだと口を揃えます。
またYouTubeやDVDとの違いについては、それらのように一方的にレッスンが繰り広げられるのではなく、ズーム等を使えばある程度双方間やりとりができ、受講側も画面オンにしておけばポーズの修正やアドバイスもインストラクターからスタジオと同じように受けられます。
参加者側が画面や音声をオフにし、受動的な態度を崩さない場合は、DVDやYouTubeでのレッスンと差がつきにくくなりますが、それでも他の参加者が画面をオンにしていたり質問をしたりすれば、その時間にしか起こりえない内容がそこに生まれ、DVDやYouTubeとは違った学びや発見があるのも確かです。
大ヒットユーチューバーの「宅トレ」はなぜ人気なのか?
コロナ禍の1年で最も登録者数・視聴者数を伸ばしたYouTubeコンテンツとして竹脇まりなさんの「宅トレシリーズ」が話題です。
先日NHKでもこのYouTubeがなぜそこまで人気になるのか、その秘密に迫る番組を特集していました。
特徴的だと感じた点は、このサイトは「運動を教えるのではなく共有する」ということです。
どうしても私たちインストラクターは、できるだけ効果が出るポーズを正しく伝える役割がある、と考えがちです。
でもこの人気YouTubeサイトでは、運動を教える事はほとんどありません。
そうではなく自分がまず動き、見ている視聴者を楽しませ、視聴者を気持ちよくする言葉がけに9割以上の労力が使われているのです。
これによって視聴者は「自分の動きが合っているかどうか」ではなく「楽しい!」「これなら継続できる!」となります。
効果が出る・出ない、正しい・正しくない、は関係ないのです。
「なんでもいいから楽しく動く!そのことに意味がある! 一緒に頑張ろう! 画面を見て動いているのはあなた1人じゃない! でも部屋にはあなた1人だから動きがおかしくたって誰も見ていないから関係なし!」と視聴者を励まし続け、視聴者を虜にしていくのです。
オンラインヨガで成功しているインストラクターはいるのか?
リアルオンラインヨガを展開している個人のインストラクターは、ほとんどの人がいつかはリアルに戻りたいと考えているのではないでしょうか。
すでにオンラインヨガに取り組んでいたとしても、その集客は、これまでの既存の生徒さんに対し「リアルの代わりにオンラインを受けてほしい」と誘導しているケースがほとんどのようです。
あるいはオンラインヨガで有名なプラットフォームにインストラクター登録しそこで許可が下りればクラスを展開するインストラクターも増えていますが、これはスタジオオーディションを受けて業務委託契約しているのと変わりません。
ある程度知名度の高いインストラクターは個人のSNSでオンラインヨガのクラスの集客をかけているようですが、やはりほとんどがリアルの代用といった印象で、そのため価格はリアルクラスの半額程度に設定しているケースがほとんどです。
ポーズ以外のことを教えられるとオンラインヨガは差別化できる可能性も
オンラインヨガで差別化、あるいはリアルクラスより金額を下げる必要がないケースとしては、ポーズのクラスではなく座学を中心にしているクラスです。
例えばヨガ哲学や解剖学インドの数秘術、ヨガビジネス、あるいは瞑想法などを学ぶ場合は、実際の体の動きがほとんど必要ではないので、移動や密のリスクを考えるとむしろオンラインの方が適しています(呼吸法だと、難しくなるようです)。
あるいは、ヨガのインストラクターには、コーチングやカウンセリングなどの講師業を兼ねている方が多いですが、こういった方々も仕事の内容は「クライアントさんの話を聞いてアドバイスすること」なので、むしろオンラインの方がマッチしているようです。
あくまでセッションがメインで、もし必要であればポーズや生活習慣のアドバイスをする。
これならヨガのポーズはメインでないので、オンラインになったからと言って料金を下げる必要もありませんし、他のヨガクラスとの差別化にもなります。
ポーズを教えたいヨガインストラクターは人気インストラクターでも厳しそう
これからオンラインヨガを始めたいと思っているインストラクターの場合、正直なところ、ポーズを教えるだけでは差別化は難しく厳しいといえます。
先日、オンラインで提供しているアロマヨガに参加しました。
インストラクターさんが事前にその日に使うアロマオイルの香りサンプルを郵送してくれたのですが、非常に手間をかけてくれているなぁと感動しました。
とはいえ、そういった手間を惜しまない事は大切ですが、そこまでしても、生徒さんにどれくらいその素晴らしさが伝わるのかはわかりません。
それにやっぱりレッスン料は2000円以下と、非常に安価でリアルクラスの半額以下でした。
レッスン料をできるだけ維持してオンラインヨガを展開したいのであれば、やはり差別化をするために座学でもおかしくない内容をプラスする、というのが1つの方法だと感じます。
とは言え、アロマの講義がついたアロマヨガでも半額以下なので、座学に何を取り入れるかはインストラクターが最も熟慮しなければいけないところでしょう。
まずSNSでファンを作ってからオンラインヨガに繋げるケースは?
これからオンラインヨガだけで食べていけるくらい集客したいのであれば、SNSである程度個人のファンを作っておく必要も当然あるでしょう。
ある音声 メディアで 45,000人以上のフォロワーを獲得しているヨガインストラクターの女性は 週三回1ヵ月2000円程度/月謝制のオンラインヨガクラスを開催し、毎月なんと300人近くの生徒さんを集めていると話します。
1回のクラスに毎回300人全員が参加しているかはわかりませんが、半分の150人が参加していたとしても相当な規模です。
画面の向こうに150人もの人が自分のヨガクラスを見てくれているのかと思うと私は恐ろしくなりますが、そもそも45,000人のフォロワー 数を考えると300人は1%以下。
決して多いとは言えません。
とはいえ、1万人のフォロワーが集まれば100人の参加者が見込める、という計算になりますから、そういうことが嫌いでなければ、フォロワー増やしに注力するのも一つの作戦と言えるかもしれません。
インストラクターはオンライン時代の戦略を立てよう
いつになるか分かりませんが、コロナが収束すればヨガに限らずやはり対面のニーズは戻ってくる可能性も十分にあると思います。
やはり人と人との直接的なコミュニケーションはどう考えても人間が生きていく上で必要だからです。
このような現状を踏まえ、ヨガインストラクターも個人個人が自分に合った方法で、賢く戦略を立てていくしかなさそうです。