ヨガを練習していると時々インストラクターが「クンダリーニ」の話をすることもあり、「クンダリーニヨガ」という流派もあるので興味を持っている人もいるようです。
「クンダリーニが覚醒すれば潜在能力を発揮し、自分を超越した高度な次元のエネルギーとつながることができる」と言われます。
ここではそもそもクンダリーニとは何かという話や、ヨガでクンダリーニを覚醒することができるのか、一般的に言われている練習方法などをご説明していきます。
クンダリーニって?! クンダリーニとは何か?
そもそもクンダリーニとは、第一チャクラ(会陰のあたり)で眠っている「生命エネルギー」と呼ばれるものです。
当然目に見えるものではないですし、普通の生活をしていて感じることはありません。
ただ、クンダリーニの「イメージ画像(ヴィジュアル)」は、ネット上でもたくさん見ることができます。
それによれば、会陰のあたりで蛇がぐるぐると渦巻き状(とぐろ)になって眠っているようなものがほとんどです。
この「蛇」や「渦巻き」は、ヒンドゥ教の聖典などから伝えられてきたイメージに由来しています。
このクンダリーエネルギーをヨガやヒンドゥー教の世界では「生命エネルギー」と理解し、生きるための活力そのものがクンダリーニエネルギーで、どんな人でもクンダリーニエネルギーは背骨の中心や、背骨の両脇を通る3本の「ナディ」やエネルギースポットの「チャクラ」を通りながら体内を常に循環していると考えます。
ところが、このエネルギーの流れやバランスが崩れると心身の不調が起こります。
ヨガではこの目に見えない内側のエネルギーを整えることを大切にしていて、ポーズや呼吸法や瞑想によってエネルギーの通り道であるナディを刺激し調整しているのです。
さて、このすでに循環しているクンダリーニエネルギーとは別に、多くの人の第一チャクラには活性せずに眠ったままになっているクンダリーニエネルギーが存在していると考えてられています。
まさに蛇が眠ったままの状態を、イメージししてください。
この蛇に似たエネルギーの塊が目覚めると、そのエネルギーはまるで蛇が首をもたげるように頭頂まで昇りつめ、それが起こった時に自分の中で眠っている超能力が発揮されると考えられています。
この眠っているクンダリーニを覚醒させることを、目的とした練習が「クンダリーニヨガ」になります。
クンダリーニが覚醒すると何が起こるの?
「クンダリーニが覚醒した」と話す数名からその体験談を聞いたことがありますが、その体験や体感には個人差があります。
例えば、以下のような体感が得られるといいます。
- 脳内で感じたことのない幸福感を感じる
- 会陰を中心に背骨が熱くなる
- 全身がピリピリ熱くなる
- 痙攣するような感じ
- 同じ世界に住んでいるのに以前とは見え方や感じ方がガラッと変わった
- 全身からパワーがみなぎっている感じがする
また「クンダリーニヨガ」ではクンダリーニを覚醒させることで真の解脱に至ることや、完全な幸福や調和を得ることを目標としています。
クンダリーニが覚醒したかどうかはあくまで自分が感じるものであり、「◯◯が起こればクンダリーニが覚醒した」というような明確な基準はありません。
またクンダリーニが覚醒することで、ひらめきや直感が冴えるようになったり、自分に自信が持てるようになるなど、人生をよりポジティブに、思い通りに生きられるようになるとされますが、一方で、見えないものが見えてしまったり、直感が冴えすぎてしまう状況に困惑する人もいるようです。
これが「クンダリーニ覚醒が危険」とされるデメリットでしょう。
クンダリーニの覚醒方法とは?
クンダリーニを覚醒させるには、ヨガのポーズ・呼吸法・瞑想が欠かせません。
特にクンダリーニの覚醒は瞑想が最も深まった時に起こりやすいので、瞑想を習慣にする必要があります。
もちろん瞑想を心地よく、少しでも長く行うためにはアーサナ(ヨガのポーズの練習)が不可欠です。
瞑想の一番難しいところは「静かに背筋を伸ばして長時間座る」こと。
座って目を閉じようと思っても、体が痛かったり、痒かったり痺れたり、あるいは思考が忙しく、落ち着くことができません。
そのためにある程度ヨガのポーズを行い、呼吸を整えることで体を整えるのです。
どんな人でもポーズの練習をした後の方が、瞑想に取り組みやすくなります。
特にクンダリーニ覚醒に関係のあるヨガのポーズは、猫のポーズやツイスト系のポーズなど背骨を大きく動かすポーズ。
このポーズを行い、鼻腔をしっかり感じるような鼻呼吸(片鼻呼吸)などの練習を行ってから、瞑想に入ると良いでしょう。
また火の呼吸という呼吸法を行うと、クンダリーニ覚醒が起こりやすくなるともされます。
これは火の呼吸で軽い酸欠状態を起こすことができ、余計な思考が強制的に中断させられるからです。
クンダリーニを覚醒させたいのであれば、瞑想時にクンダリーニが眠るとされる恥骨から丹田のあたりに手を当てて、そのエリアを意識しながら瞑想を深めるのも良いでしょう。
しかし、「このポーズとこの呼吸法をすればクンダリーニは覚醒します」という方法は存在しません。
自己流は危険とされますが、自分でコツコツとヨガと瞑想の練習を続けるのが一番です。
その先に「クンダリーニ覚醒が起こるかもしれない」と考えておくのが最も安全でしょう。
クンダリーニの覚醒を目指す必要はない?!
個人的には、クンダリーニの覚醒を目指す必要はないと考えています。
ヨガと瞑想を続けることで、ある日突然クンダリーニの覚醒が起こるかもしれません。
しかしヨガと瞑想を続けていれば、クンダリーニの覚醒とは無関係に、私たちは心を安定して保つことができ、体の健康が維持できます。
それによって、日々ポジティブに生き生きと生活することができます。
ヨガと瞑想の習慣で、クンダリーニの覚醒がなくても十分に幸せに暮らすことができるのです。
ただし「クンダリーニ」というエネルギーが存在しているという考えを、心のどこかに留めておくことは大切です。
ヨガや瞑想の練習を深めていった先で想像以上の力やエネルギーが感じられた場合、それはクンダリーニ覚醒の恩恵によるものかもしれないと安心することができるからです。
クンダリーニにこだわり過ぎないようにしよう
クンダリーニ覚醒のために、特別な練習をしたりする必要は個人的にはないと考えます。
ヨガの練習を続けていく中で自分の眠っている力がどんどん引き出されることはとても良いことだと思いますが、「特別な力が欲しい」と多くを求め、そのことに執着しすぎることもそもそも心のバランスが崩れた状態です。
クンダリーニの覚醒に執着することなく、日々ヨガの練習を続けていくのが良いでしょう。