岡清華(おかさやか)
1993年生まれ、兵庫県出身。ファッション誌BLENDAのモデルとして活動しながら、大学在学中に管理栄養士国家資格を取得。その後、カウアイ島にてアーユルヴェーダを学ぶ中で、全米ヨガアライアンスを取得。独立後、ヨガを含む “アーユルヴェーダ” の観点から「一人一人にとっての幸福、人生の豊かさや最適な心身の状態を知り、環境を持続させること」をコンセプトに、スタジオ運営、カフェ、ウェルネス空間のプロデュース、商品開発、その他イベント、セミナーなどアーユルヴェーダに付随する各事業を進めながら、「全ての人々のより良い人生をサポートし個性が輝く状態へ導く為の母親のような存在でありたい」という想いで”MOTHER” 創業。
Instagram:@okasaya
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この連載では、女性のみなさんのお悩みにアーユルヴェーダの観点からアドバイスしていきます。お悩み相談に乗ってくださるのは、ハワイ、カウアイ島でアーユルヴェーダを学んだ岡清華さん。単なる解決法ではなく、アーユルヴェーダの観点から「こんな視点もあ[…]
Q, やっぱり食べものの好き嫌いって克服するべき?
私は食べものの好き嫌いが多い方だと思います。特に野菜が苦手。大人になるにつれて食生活のことを見直す機会が増え、克服した方がいいのかなと思うようになりました。やはり野菜は摂った方がいいのでしょうか。また、克服のコツなどあれば知りたいです。
嫌いなものは食べなくても良い
誰もが、子供のころに好き嫌いをして怒られた経験があると思います。
しかし、好き嫌いは体の反応としてすごく自然なものです。自分に必要でないものは体が自然に拒否しているということなので、克服すれば良いというものではありません。逆に、本来は、カラダは自然と本当に必要なものを食べたいと感じるものなのです。
最近では、「これがダイエットに良い」「これが体に良い」と、情報ばかりが入ってきて、惑わされやすいですよね。そうして頭で考えて食を選んでいるときは、心と身体が乖離した状態となり、逆に自分の体を害するものを食べたくなるような反応が起きてしまったりもします。
体と心が統合されると、自然と自分の体に必要なものを欲するようになり、自分の体に必要でないものを「おいしくない」「気分が悪いな」とに感じるようになります。
そのため、相談者さんは食べ物の好き嫌いが多いとおっしゃっていますが、特に体が食べたくないと反応しているのであれば、食べなくても大丈夫です。
情報に惑わされて、野菜を摂らなくてはいけない、などと義務感を持つこともあるかもしれませんが、人と合わせる必要はなく、自分の感覚にもっと従ってみてもいいと思いますよ!
代わりに摂るものを考えてみる
野菜も摂り方次第です。グリーン系の生野菜や、根菜類の温野菜など野菜の種類や調理法によって様々あります。自分の食べられるものの中で工夫して栄養を摂ることもできますよ。
例えば、野菜でなくても海藻類や、雑穀や玄米を混ぜたり、味噌や豆を摂るだけでも、野菜とまったく同じとはならなくても、それに近いミネラル等の栄養は摂れたりします。
アーユルヴェーダでは、緑豆という豆、ミルク、ギーというオイル、米、良質の小麦、の5つさえあれば、人間は完全に生きていけると考えられています。私は管理栄養士でもあるので、「本当にそれだけで栄養素大丈夫なの?」と思ってしまっていたのですが、それぞれの性質をみていくと身体の構成要素を満たしていたりするのです。
実際に私は、この5つの食べ物を中心の食生活を送っていますが、栄養障害を感じたこともなく、必要ない筋肉や脂肪が体についたり、必要なものが足りないと感じたこともありません。食べる種類が少なかったとしても、本当に必要なものが必要なだけ摂れていれば良い。
食事にも知足的な考え方をしています。選択肢が少ないことにより、無駄な悩みや無意識の飲食が減って、快適さが向上するのを感じていますよ。
「常識」を疑ってみる
実は、栄養学というものは戦後すぐに栄養失調ベースで作られたものです。
また、人体のメカニズムを感覚的側面で本質的に捉えているというよりは、政治的な側面が強いことも否めません。海外から輸入したものを消費するため、ミルクを飲む・小麦製品を食べるなどといった文化が生まれていったりしました。
このような背景を考えていくと、今まで得た情報により常識と思っていた「健康的な食事」よりも、自分の体の反応をもっと大切にすべきことを感じられると思います。これに限らずですが、自分の生活を、他人の価値観に照らし合わせるのは良くありません。自分の感覚の方を優先してみましょう。
私は、朝昼晩、毎日だいたい同じ時間に、同じ量(朝は少なめにこれくらい、昼はこれくらい、といったように)を食べることをおすすめしています。
さらに、消化をよくする為に、よく噛んで、唾液と混ぜてから飲み込むという”食べ方”にも意識を向けられる反応や、求めている反応に、もっと意識を向けてみていただけるといいですね。
実は、何を食べるかよりも、どう食べるかの方が大切です。食べられるものを適切な量だけ食べて、健康になっていただきたいです。
自分の反応を大切にした食べ方を目指して
実は私は、コンビニ食を半年間食べ続けてみた時期がありました。そんな食生活を続けていると、便利さや時短がもっとも食を選ぶ上で重要なポイントになってしまい、食への態度が変わってしまいます。
新鮮な野菜や自分で作った出来立ての命あるものを特に求めなくなってしまっていたのです。今振り返ると、当時は本来の食の意味や命の意味などを感じることもできず、自分の体と心の乖離が起きていたのだと思います。
自分の心と体が離れていってしまうと、どうしても体を害するものを欲しがったり、必要なものを取り入れるのが億劫に思えたりもするのです。
食べたあとに、体も心も心地良いなと感じるものを食べることが大切です。食べている瞬間だけ気持ち良いものではなく、食後も心地よさやエネルギーが続くもの。
たとえば、良質なもので食べ方に気をつければお米だけでも良いと思います。体調が、食べたあとずっと心地良いなと思えるようなものであれば、それが野菜でなかったとしても心地よく心身共に健康に生きていけるものです。
そして、できればなるべく新鮮なものや、誰かが作ってくれた作りたてのものなどの生命力のあるもの、生きているものを食べることを、野菜を食べる以上に大切にしてみてくださいね。